在宅避難時の対応と準備について(案)
マンション住民の災害時の在宅避難
マンションの住民は災害時には在宅避難が推奨されていますが、災害発生後の在宅避難の対応を説明しているもの
は少ない。大規模災害では在宅避難が1週間以上になると言われていますので、在宅避難について考えてみました。
在宅避難の順序と対応
1.自分の身を守る:落ち着いて自分の身を守ることが第一です。
大地震では慌てて怪我をする人が多いので、落ち着いて大きな家具や電化製品から離れ、柱の下で頭を守る。
火を使っていても無理して火を消そうとしないで、自分の身を守ることが第一で、地震が少し落ち着いたら火を消す。
2.灯り:夜、停電になると室内は真っ暗になり何も出来なくなりますので、まず灯りを枕の近くに置いておくことが大事です。
照明:ローソクは長時間利用出来ますが、大きな余震があり、火災の心配があります。
電池で使える照明が有効ですが、普通の照明は4時間程度しか持ちませんが、LEDのランタンでは75時間以上使える
商品がありますが、安いLED照明でも24時間と長時間点灯する商品がありますので、事前に準備し身の回りに置いておく。
3.家族の安否確認と救助
同じ家にいる家族の安否確認を行い、怪我したり、家具などの下敷きになている場合は救助する必要があります。
大きな怪我をしている場合や家族では下敷きから救助出来ない場合は119番に電話して救助を求める必要があります。
火災が起きている場合は廊下にある消化器で消火しますが、自分で消火出来ない場合は119番に救助を求めます。
大地震では救急車が直ぐ来ることは難しい場合が多いので、近所の方やマンションの災害本部に応援を求めます。
4.避難場所の確保
大地震では大きな家具や電化製品、食器などが壊れて部屋に散らかる場合が多く、安全な場所の確保が必要です。
余震が来ても避難できる安全な場所を確保するには、事前に大きな家具を置かない部屋の確保が大事と言われています。
建築家に話では阪神・淡路大地震ではマンションは壊れなかったが、大きな家具や電気製品が飛び散り部屋に居られず、
マンションの廊下で何日も避難生活をする家族がたくさんいたということでした。大規模災害では避難所は混雑して対応が
不足するため、マンションの廊下に避難した方が安心だったということです。
5.避難場所の確保:部屋の掃除
・現在の建築ではマンションに大型の家具や電化製品を固定することは出来ないので、大規模地震では大型家具やピアノ、
重量のある大型家電などは凶器になる恐れが強いということです。
・余震の恐れもあり、2次災害を防ぐため、慌てず、身の安全を確保して、怪我や感電のリスクを考えて片付けます。
部屋を掃除する場合は皮手袋の上に厚手のビニール手袋でガードして雑巾でぬぐい、その雑巾は破棄します。
小さなガラスの破片は箒で集めますが、見えない破片は掃除機で処理する必要があります。この時、スリッパの準備
が必要です。倒れた家具は、中に入れているものを段ボールに取り出してから、家具を元に戻します。
・東京都ではごみは4日目以降に回収を開始する計画ですので、1週間は自宅でごみを保管する必要があります。
6.暖房・冷房の確保:災害で電気、ガス、水道が止まった時の復旧は電気、水道、ガスの順に復旧する傾向があります。
東日本大震災では電気は3日後に78%、1週間後は98%復旧し、水道は3週間後、ガスは5週間後に99%が復旧しました。
光熱暖房:当面の対策として煮炊きするためガスボンベのコンロが有効と考えられます。
しかし、コンロは時々使っていないと緊急時に使えない恐れがあります。コンロの耐用年数は10年と言われています。
一人暮らしの場合は固形燃料コンロも有効とのことですが、変質し易いので密封して安全な場所に保管する必要があります。
7.トイレの確保:大人のトイレ使用回数は1日に4~7回と言われています。取り敢えず簡易トイレは1週間分の準備が必要です。
大地震ではマンションの配水管が壊れている恐れがあり、確認が出来るまでトイレで水は流せません。しかし、マンションの
室内トイレは壊れていない場合が多いので、非常用簡易トイレを利用する必要があります。紙おむつも有効な時があります。
7日間を想定すると非常用簡易トイレは一人当たり50枚程度用意しておく必要があります。港区で配給される予定です。
非常用簡易トイレを準備したら、事前に利用方法を確認しておくことも大事です。保管したごみは普通のゴミとして出せます。
8.水の確保:水道設備が壊れた場合は復旧に時間が掛かる見込みです。給水車などが来るまで、1週間の水を確保します。
災害時でも大人一人当たりに必要な水は3Lが必要なため、1週間以上の避難では1人当たり20L以上の水が必要です。
そのため、普段から飲料する水は多めに準備しておき、日頃から利用して、新しい水の確保に努める必要があります。
食器を洗う水や手洗いの水や身体を拭く水は別に確保する必要があります。給水の状況も把握することも重要です。
9.食料の確保:都内では物流は3日くらいから回復し始めるので、1週間の食料を保管して置けば良いと言われています。
食料等は物流の停滞で一時的に止まるが倉庫等には十分確保されているため、物流が回復すればお店に出てきます。
食料は、冷蔵庫、冷凍庫、カップ麺や缶詰などの順に食べて1週間で足りない場合は非常食を準備する必要があります。
停電した場合、冷蔵庫の温度は真夏でも1日くらいは10度を超えるので、冷蔵庫の食べ物を早めに消費した方が良い
との報告があります。冷凍庫は開けなければ2日程度は0℃以下に保たれますので、冷蔵庫のものを食べた後に冷凍庫の
食べ物を食べるようにし、冷凍庫のものが少なくなったら冷凍庫の温度が上がってくるのでまとめて消費する必要があるとの
ことです。冷凍庫には凍った水を保管し、冷凍庫内の冷凍期間を長くする工夫をすることも大事との報告があります。
冷蔵庫や冷凍庫の食べ物がなくなったら、カップ麺や缶詰のものを食べてなくなったら非常食を食べる方が良いとのことです。
冷蔵庫や冷凍庫、カップ麵や缶詰などがたくさんある場合は、大量の非常食を保存する必要は少ないと思います。
10.医薬品の確保:災害時には病院は救急救命が優先され、慢性疾患については当分の間受診出来なくなります。
大災害後に薬局が開いていても、薬局には薬の備蓄がなくなります。
そのため、慢性疾患などで飲んでいる薬は3日から1週間の予備薬を用意しておく必要があります。
普段利用していない薬局で薬を購入することが必要になることもありますので、お薬手帳を携帯しておくことも重要です。
怪我:怪我には消毒液、ガーゼ、包帯、塗り薬、絆創膏、鎮痛薬、ハサミ、ピンセットを保管しておきます。
病気:大地震後には衛生状況が非常に悪くなることが多いので、風邪薬、解熱鎮痛薬、胃腸薬、便秘薬、下痢止めなど
の薬を保管しておく必要があります。
11.情報の入手:外出している家族や親族などの安否確認、電気・水道・ガス・道路などの復旧状況を確認します。
停電が発生していても長時間利用できる電池で動くラジオは有効な方法です。防災ラジオが港区で1千円で購入できます。
充電機能が確保できればスマホも有効とのことです。SNSやLINEが災害時に役に立ったという報告があります。
☆大体、以上のことを考えましたが、災害時には自助、共助、公助の順位に行われることが前提になりますので、大規模地震の
直後には自助が中心になります。各々の人が助かるための自助を考えた場合、事前の準備が大事と感じます。