2020年に考えたい、お金の未来の歩き方   東洋大学 竹中平蔵教授

 1.はじめに

    現在は大きな節目であり、来週はダボス会議がある。このような時期なので今日は2つのポイントで話をする。

    一つは、今年の日本経済は背中合わせの経済になるということである。産業界の動向として経済の傾向が弱く

    なっていることであるが、財政で経済を強くすることの2つが背中合わせになっており不安定に動くと考えられる。

    もう一つは2020年代が始まったという捉え方である。

 2.今年の経済動向

    今年の景気については73の割合で心配している。全体として弱い基調になっている。リーマンショック以降、

    11年間着実に景気回復を続けてきた。景気は循環するものであるから下がることを覚悟しておく必要がある

    1年半前から米中問題やイラン問題など、景気が腰折れしていることが起きている。しかし、米国のエコノミスト

    強気感じである。名目成長率が名目金利より高くなっている。名目成長率と名目金利は同じであるべきなので

    成長はまだ続くと考えている、トランプ大統領は大幅な減税を行うと思う。大統領選挙の年なので経済を支える

    思う財政赤字をすと金利は上がるはずだが、まだ金利は上がっていないので、まだ成長すると考えている。

    IMFの見通しでは2020年の経済は成長すると考えている。2019年は3%だった2020年は3.4%の見込みである。

    日本も良く似た状況である。景気指数は悪くなっているが、政府の見通しでは緩やかに回復していると言っている。

    成長率も2019年は0.7%だったが、2020年は1.4%の見通しである。日本政府も財政も大判振る舞いをしている。

    今年の予算は1027000億円だったが、その前に5兆円の補正予算を組んでいる。小泉内閣の時は80円台

    だったのでここ数年で30%伸びている。今年はだらだらやっていけると思う。

 3.中長期的な見通し

    平成が令和に変わった。元号は歴史認識には便利である。元号を使っているのは世界中で日本だけである。

    元号がもっと長かったのは昭和である。平成は4番目に長かった。平成の感じはバブルが崩壊した後のブルー

    である。平成の間に法律2000になり、昭和の終わりに1000だったので、2倍になった。昭和の時には

    言われなかったパワハラやセキュリティなどの新しい言葉が平成には出てきて、社会の概念が大きく変わった

    日本の労働時間は20%減少した。貯蓄率は高齢化が進んでために20%から4%に大幅に減少した。昔の日本

    は長時間労働で、高貯蓄の社会であったが、今は長時間労働、高貯蓄ではなくなった。人口は平成の初め

    終わりでは同じである。米国の人口は30%英国15%増えている。難民も多いが、高能力の人材を取り入れて

    きたのである。日本では人手不足になってきたので、30万人を受け入れると言っているが、米国や英国に比べる

    少ない。平成は変わった動きをした30年であることが分かる。

    最近、色々と言われているが、安倍内閣は思い切ったことをしてきた。株価は3倍になり、失業率は2%になった

    今を良くすることに頑張った。投資にはこれから良くするためにやることが出来る企業とやれない企業を選別する

    こと大事です。平成30年はデジタル化の時代で、最近10年はAiなどが出てきた。インターネットが出てきたの

    1990年であり、日本に1995windows85入ってきた。最近、この話を若い人にしたら知らなかった。若い

    とは感性のギャップがある。2012年にディープラーニングが出てきた。人工知能が学習できるようになった。今では

    顔認証が出入国に使えるようになった。これからは人工知能とビックデータを使って色々なことが出来るようになる。

    20世紀はいつから始まったということだが、1910年代に世界戦争があり、1920年には米国が世界の中心になった。

    理想主義の大統領が続き人権を守った。日本でも松下電器と日立製作所が出来た。1923年に関東大震災があり、

    人々郊外に移った。そのため、東急や西武、阪急などの電鉄会社が伸びた。阪急がターミナル型の百貨店

    作った。その後、東横や西武百貨店が出来た。1920年代には地下鉄が出来、山手線が完成した。日本で

    初めての自動車がダットサンで作られ、NHKが放送を開始した2020年代がはじまったという認識を持つべき

    ある。人工知能、ロボット、IoTビックデータ、シェアリングが出てきた。携帯電話は格好いい電話と思って買って

    きたが、電話ではなくパソコンだった。そのため、携帯電話が新しい時代の道具として成長してきた。

 4.まとめ

    グーグルの株は1010倍になった。今後もこのような企業が出てくると思うので良く選択する必要がある。

    今ある職業47%が消えると言われている。花形の職業の銀行の貸し付けや公認会計士なども含まれる。

    人はクリエイティヴティに専念できるようになる。日本の成長率は3倍くらいになるとも言われている。このように

    社会は大きく動くと思われる。

    米国は特殊な動きをしている。欧州や日本は株価30%くらい上がったが、米国の株価は60%上がっている。

    米区の企業は無形な投資をしている。一つはデータベースに対する投資であり、2つ目は研究開発、3つ目

    人的な投資である。日本は人的投資や組織に対する投資はほとんどしていない。米国は銀行ではなく投資会社

    が資金を出している。

    今年のダボス会議では50周年でトランプ大統領も参加する。安倍首相は国会があり出席しない。今年の講師の

    テーマはサステナブル、インタルテである。環境の面から見ると大きな意味を持っている。健康経営も大事に

    なってくる。優秀な人が病気になると企業の業績に大きな影響を与える。そのため、健康管理は大事である。