2020年後の世界経済の潮流             東洋大学 竹中教授

    ・朝鮮半島の問題や中東の問題、ヨーロッパの問題など、世界には色々な動きがあるが、景気の問題から話をする。

     景気とは空気の景色ということであり、全体的雰囲気が含まれている。一応の見方があり、月例経済報告を見ると良い。

     内閣府が景気動向指数に基づき毎月まとめ、経済財政政策大臣が閣僚会議に報告して、了承されて公表される。

     消費や投資なども具体的に書かれている。今は緩やかに回復しているとなっている。世界の主な意見と同じになっている。

     20089月にリーマンショックがあってから10年になる。リーマンショック後、ゆるやかな回復が続いている。IMFの言っている

     3.9%が達成できれば、リーマンショック前の状況に戻すことが出来る。日銀の黒田総裁もダボス会議で強気で楽観的

     言い方をした。IMFのラガルド務理事が景気の良い時に雨の修理をしましょうと言っている。雨になると修理が出来ない。

    ・日本にはIR法案など重要な問題はあるが、モリカケの話を続けている。日本の現況はそんなところであり当面の問題はあるが、

     日本の経済は穏やかに成長していくことになると思う。今の日本には3つのリスクがある。リスクの一つは、北朝鮮問題である。

     1994年に遡ると言われている。1994年に北朝鮮が核開発をはじめる問題が起きた。カーター元大統領が行って、核放棄で

     合意した。その見返りとして、米国による北朝鮮への軽水炉及び代替エネルギーの供与などを支援することになった。しかし

     その裏で核兵器の開発を進め、2006年に核実験を行った。今は核兵器を作っている。これまで北朝鮮は裏切り続けている。

    ・トランプ大統領は国民に見える業績を上げたいと考えているので、動きはトランプ大統領次第である。もう一つ忘れてならない

     のは後ろに中国がいることである。中国は北朝鮮のようなクッションが欲しいと考えている。北朝鮮iに対しては、核兵器を完全

     に廃棄し、元に戻らないようにすることであるが、それをチェックすることが大事である。チェックするには中間の官僚が必要で

     あるが、今のトランプ政権では中間の官僚がいないため、チェックする体制が出来ないと考えられる。

     もう一つのリスクは経済的なリスクである。アメリカの金利が上がることである。世界の資産市場に大きな影響がある。なぜ米国

     の金利が上がるかというとアメリカの法人税を35%から21%に下げたことにある。日本でも法人税を下げたが、35%から30%にした

     程度である。他の国も法人税を下げている。短期的にはアメリカの経済は良くなるが、長期的には金利が上がる。また、赤字が

     膨らんでいく。金融政策は連銀が行っているが、金利が上がった。日本にはどんな影響があるかと考えると3つの可能性がある。

     3つ目は新興国のお金が米国に流れることになる。新興国ではインフレになるので金利を上げる必要があり、景気が悪化する。

     短期的には良いが、長期的にはショッキングなことが起こり始めている。

    ・先日、上海に行ってきたが、シェアバイクが流行している。とてつもないの規模で起こっている。すべてスマホで決済している。

     日本はスマホ決済が遅れている。キャッシュレスの大きさが次の経済に大きく影響している。キャッシュレスが進んでいるのは

     韓国である。経済危機の時に国が支援して進めたので普及率が90%を超えている。次が北欧である。その次は中国である。

     日本では20%である。キャッシュレスにより、ビックデータを手に入れることが出来る。中国では政府がビックデータを貯めている。

     ビックデータがあって初めてAIが出来るために、ビックデータを貯めている。日本の成長戦略でもキャッシュレスをどう進めていく

     かが大きな課題である。今回の成長戦略でもキャッシュレス化を20%から40%に進めることにしているが、方法は分かっていない。

     日本ではATMが増えている。世界ではATMは減少している。日本ではまだお金が信用されて使われている状況である。

    ・ビックデータが東京にもている。羽田の入国手続きが大きく変わっている。どの国でも入国審査は重要であるが、顔認証の人工

     知能が判断するようになっている。羽田空港では数年前から指紋認証が行われたが、今は入国手続きで顔認証で判断している。

     羽田空港にはパナソニックの装置が導入されている。ニューヨークではNECの技術が利用されており、日本の技術は進んでいる。

    ・日本でも大きなチャンスがある。それが起こるのが都市である。世界で最も大きな都市圏は東京、千葉、神奈川、埼玉である。次

     はボストン、ニューヨークである。この二つの人口はドイツの国の規模に相当する。第4次産業革命が数年内に入ってくると思うが、

     その結果で生き残る地域や企業がはっきりしてくると考えられている。日本の成長戦略テルアスワンス?の導入を主張した

     現状では人が死ぬと役所や税務署、銀行など20ケ所くらいに届ける必要がある。引越しをした時も、20ケ所くらい届けていく必要

     がある。役所に届けたら税務署などはすべて処理できるようにすると大いに助かる。すべてを繋げてやれば出来る筈である。

    ・アメリカの職業の半分が2040年までになくなると言われている。他の国でも調査したが、同じである。タイプライタはワープロが出て

     きて、職業は既になくなった。企業はすまざしい競争になる。長期的に先を読むことは大変だが、2024年にインドの人口は中国

     抜き、2028年にはインドのGDPが中国を抜くと言われている。10年単位で見ると大きく変わる。毎年2%づつ伸びると30年後には2

     なる。複利の計算が宇宙の最強の論理と言った人がいる。

     日本と米国の金利差が拡がるとドルが上がり、円が下がることになる。日本の株が下がる。

    ・1998年には金融国会があった。そのころ政策新人類が出てきた。その一人が安倍首相である。1988年はバブルの絶頂期だった。

     株が3万円を超えた。東京で100年以上続いた企業を調べると不動産賃貸企業が最も多かった。セイフティネットが欲しいと思った

     時は不動産である。良い不動産を持っていることがポイントである。

    ・投資する企業のヒントはビックデータの司令塔とかかわっていく必要がある。ビックデータの司令塔の最初は道路である。道路には

     国道、県道、市道と色々と別れているので、国、県、市町村、自動車会社を含めてビックデータの司令塔を作った。こういう仕組み

     を活用していく企業は要注意である。レギュラトリーサンドボックスはテストベットを行うための制度であり、イギリスで考え出された。

     シンガポールでも取り入れらており、三菱UFJ銀行や日立がブロックチェーンの実験を行っている。日本で実験が出来ないのは日本

     に制度がないためだと言われたので、日立の中西社長から安倍首相に説明して貰って2つの法案を提案した。1本の法案は通った

     が、もう一本の法案がまだ通っていない。2本揃う必要がある。最近はスピード感が大事であるが、日本は遅い。既に10ケ国以上が

     実施している状況である。

    ・学び直しをやらないといけない。今までは20年勉強し、40年働き、10年老後を過ごすということであったが、人生100年時代になると

     従来の考えでは駄目になると思う。ビックデータが出てきた。AIも出てくる。これらに対応するためには、学び直しをする必要がある。

     リカレント教育をするために国は金を出すことにした。昔のキャッチコピーに“残業する程、暇はない“というのがあったが、これからは

     働き方を変えないといけない。生まれた時からインターネットがあるミレニアム世代は、昔の世代と違って、政府を信用していない。

     若い人と年齢の高い人のギャップが大きい。若い人が提案することで自分が理解できないことも認めて進める必要が出てきた。

     アマゾンなど、最近成長している技術の多くは日本で生まれたが、日本では伸びなかった。そこが課題である。

    ・モリカケ問題について、なぜ起きたのかを考えると官邸の失敗がある。防衛ラインをどこに張るかである。防衛ラインを遠くに張って

     どんどん押されているのが現状である。防衛ラインとして、会ったことがないという回答すること、会ったが話は出ていないということ、

     会って話は聞いたがはねつけたという3つの回答があると思う。小泉さんなら、会って話は聞いたがはねつけたというのではないかと

     思う。総理の案件についても、規制改革はすべて総理の案件である。多くの人から話は聞くが最終的には自分で正しく判断すると

     回答するべきある

    「一言」 久しぶりに竹中さんのお話を聞いた。いつもと同じ歯切れの良い話をしていた。最近は色々な問題があるので、分野毎に
 
        切り分けて話をしてくれたので、何となく理解できた感じがする。しかし、新しい言葉多く出てきたので、インターネットで調べたが

        見つからない言葉もあった。