世界の最先端技術を探る~激変する時代で勝ち残るために~    MITメディアラボ  伊藤所長

   ・MITメディアラボはものをつくることで学ぶという考えで設立されたので、研究と学位をとる教育が一体になっている。

    MITメディアラボは公的なお金を一切貰ってなく、企業のお金で運用している。それもあり、特定の分野に縛られない

    ようにしている。当初はパソコンやウエラブルなどに取り組んでいたが、今は色々な企業で取り組むようになってきた

    ので、バイオに取り組んでいる。みんながやらないことをやっていき、みんながやるようになったら止めていくのである。

   ・MITメディアラボとインターネットの考え方は似ていると思うので、説明する。インターネットが出てくる前の時代は、世の

    中はゆっくり動いていたが、インターネットが出てくると、世の中は忙しくなり、生き残るのが大変になってきた。今残って

    いる会社はどんどん変わってきている。インターネットが出てくると数十万円でインターネットができるようになり、通信

    事業者ができるようになった。規格を簡単にすると安くなる。コストが安くなると、通信が非常に安くなり、ただになる。

   ・ムーアの法則でコンピュータの性能が上がり、オープンソフトでソフトが安くなり、ネットが安くなれば、イノベーションの

    コストが大幅に下がる。Googlefacebookyahooなどはパソコンを持ってきてサービスを作っており、投資家からお金

    を集めないで、サービスが出来るようになった。学生たちが作ったものに投資家が投資をして上場するようになった。

    これまでサービスを行う時は大企業から投資をして貰って、システムを開発しているので、大企業が中心となっている。

    インターネット時代の企業には大企業はいない。インターネット時代は、押す(push) よりも引く(pull) 特徴がある。

   ・2011311日の大震災の時に、インタビューを受けていて、放射能が気になった。色々と聞いてみたが分からなかった。

    そこで色々な専門家をつないで情報を集めた。それを利用すると放射能を測定する機器が既にあるもので安く作れた。

    測定器を沢山配り、自動車で回って測定して貰ったら、政府が発表している情報より正確な地図上のデータが出来た。

    お金はほとんどかからなかった。この特徴は、事件が起きてから人を集めて、手に入る技術と手の空いている人で取り

    組んで出来たことである。この時った放射能測定器は、ソフトだけでなく、ハードもオープン化した。

   ・今、深センに学生を送り込んでイノベーションを起こそうとしている。深センでは小さな町工場がたくさんあり、色々なもの

    を簡単に作れる。深センでは、特許や著作権などには問題があるが、今では新しい製品を作り出すようになっている。

    中国の工場では作業環境が悪いと考えられているが、深センの小さな工場では、ボスも従業員3食を一緒に食べて

    ものを作っており、作業環境は悪くない。シリコンバレーではイノベーションを起こすことでベンチャーが動いたが、これ

    から深センみたいなところでもそのようことが起こると思う。

   ・今は微生物を使って出てくる素材でものを作ろうとしている。遺伝子のブロックで機能を調べて、ブロック化していくことが

    ベンチャーで出来るようになった。遺伝子解析も、組み立てる装置もポータブルで安価になってきた。IGEMは遺伝子工学

    のコンペだが、高校生でも出来るようになった。数百億円かかってやってきた遺伝子工学が高校生でも家庭でも出来る

    ようになった。しかし、遺伝子がほとんど同じでも、病気が出てきたり、出てこなかったりすることが報告されている。理由

    は分からない状況であり、遺伝子工学だけで上手くいくかは分からなくなっている場合も出ておる。今後、持病がメインの

    時代になってくると病院だけでなく、生活環境など全体を見る必要が出てくる。持病に対処するには、病院と薬だけでなく、

    家庭、生活、食物などトータルに対処する必要がてくる。

   ・デジタルキャッシュはかなり以前から取り組んできたが、なかなか利用が出てこなかった。最近、ビットコインのコストが

    下がってきたので、人気が出てきた。銀行や証券会社もデジタルキャッシュのコストが下がってくとで、従来とは同じには

    出来なくなる。

   ・インターネットでは、イーサーネットが1994年に出てき3COMという企業が出てきた。TCP/IPのプロトコルが1994に制定

    されてCISCOという企業てきた。HTTP/HTMLの規約が1990制定されてAmazonが出てきた。1996年にセキィリティ

    の規約が制定されてPayが出てきた。規約が決まり、規約を管理する機関があるから、インターネットは安心して使える。

    昔、NTTCaptainを開発したが、規約からオペレーションすべてをNTTが行ったので、非常にお金がかかり普及しなかった。

    ビットコインはまだ初期の規約が決まっていない。非営利と営利のところがあり、考え方とものの作り方が分かれている。

    これから、色々な会社やデジタルキャッシュが出てくると思うが、どんどん淘汰されていくことになると思う。

   ・学習(leaning) と教育(education) について考える必要がある。今の若い人は何を考えているか分からない。

    今までの教育は百科事典をすべて読んで、それから物を作るという形だった。教育は昔から変わっていない。MITメディア

    ラボではクリエイティブティが重要だと思っている。しかし、今の教育はものを覚えたり、ルールを理解させたりしており、

    ロボットを作っている感じがする。先生が教えていても学生の脳はほとんど活動していない場合が多い。寧ろ、仲間と一緒

    にやる覚える。パッション(熱意)があれば覚えるし、興味があれば覚える。クリエイテブな人は遊び心が豊かである。

    今の教育はロボットやコンピュータが出来ることを教えているように思う。今の環境を踏み越えていく必要があると思う。

    地球は色々なものが複雑に絡んでいるが、全体としては安定している。これからの社会もそのような時代になると思う。

   ・自動運転の車で、そのまま行くと障害物に衝突し、乗っている人が死ぬ。避けると人をひいて死なせるという場合に自動

    運転車はどちらを選ぶのかということがある。自動運転の判断を求められているが、これは倫理観をどちらにするかを問

    れている。市場任せの倫理で良いのかということであるが、技術者や社会だけでなく、みんなが一緒に考える必要がある。

 「一言」今回の講演のためにボストンから来られたということであるが、伊藤さんのお話は面白かった。

     しかし、「お話の内容で飛躍すると感じるところが多く、言われてることが分からないことも多かった。

    最後にこれkらの技術進歩では、倫理観をどのように考えるか大事だと思いました。