人工知能はビジネスをどう変えるか? 日立製作所 矢野技師長
・人工知能と働き方改革の2つは何故を考えると同じだと思う。人工知能やAIの話は良く聞くが、何故を言う話は多くない。
今の社会は変化と多様性に富んでいる。技術は指数関数的に変化している。ゲノム解析が2000年に始まり2007年に
1%が解析できた時に、この状況では700年かかると言われていたが、指数関数的に考える人は半分終わったと考えた。
現実は今はほとんど解析は終わっており、指数関数的に考える人が正しかった。今の技術進歩はこのように指数関数
的に進歩しているのである。
・社会も標準化と横展開から実験と学習へと変わってきている。紙の上で考えても、やってみないと駄目だということである。
実際にやってみることが出来ない場合があり、その実験場が人工知能である。ルール指向からアウトカム指向に変える
必要がある。アウトカム指向では目的をはっきり決める必要がある。
・従来のシステムは生産性を上げるために、作業をルール化し、それを実現するために開発してきたので硬直化しており、
少し変えようと思ってもたくさんのソフトウェアを作り直す必要がある。人工知能はデータから学習するマシンなので柔軟
である。コンピュータから人工知能に変わるということは、ルール指向からアウトカム指向になる必要がある。
・アウトカム指向によるシステム開発では、最初に目的と入出力を人が決める必要がある。人工知能では目的が明確なほど
良く、アウトカムの定量化に依存している。定量化出来ないものは人工知能には適していない。人工知能は問題が複雑な
方が良い。人は経験的に分かってくると実験しなくなり、考えていない領域が増えてくるが、人工知能はすべてで実験する。
・企業ビジネスのデジタル化は、PDCAのDoは中心だったが、PDCA全体をサイクル化することになる。今は、Doのところに
沢山のデータが貯まっている状態であり、これをPDCA全体で活用することになる。AIは専用AIと汎用AIに分類される。
専用AIはデータを収集し分析するが、課題や目的を広げていき汎用AIに発展していく。人工知能では複雑な動作でもソフト
ウェアの規模は大きくならない。大体1000行くらいでできる。
・AIはアウトカム指向だから、変わるのは働き方改革である。アウトカムは何かを考えないといけない。そのためにはルールを
見直さないと駄目だ。最終的なアウトカムは人を幸せにすることである。アウトカムを分かるようにすることが大事である。
・昔半導体を開発していたが会社が半導体を止めた。その後、何に取り組むか考えた時に、人間のデータが大事と思い、研究
するようになった。人間のデータを分析していると、無意識の行動が多様化している組織の幸福感が高いことが分かった。
組織内の行動の多様化と組織のハッピネスはリニア相関である。ハピネスの高い組織は生産性が高い。アウトカムは組織の
ハッピネスである。最近、スマホでハッピネスの測定が可能となってきたので、日立の中で実際に調査している。
「一言」日立のAIに対する考え方は他社と少し違っていると思っていましたが、今日の話を聞いてある程度納得した。
人工知能は作業のルールを見直すことで、AIは人の幸福を求めることだと割り切って考えていることだった。
アウトカムが定量化できない時は人工知能は適していないとか、人間のデータから組織の幸福度を測ると
いう取り組みは非常に面白いと感じました。