AIが大学受験を突破する社会変化      東京大学 新井教授

   ・私が話題になったのは、2011年に“ロボットは東大に入れるか”という本を出した時だと思う。


    その後もAIの研究を続けてきており、今日は、話題になっているAIはどんな風に作るかという話をする。


    最近Deep Learningについて、教科書で説明されている、ビックデータを作り、ニューラルネットワークで


    新しい概念を作るという話は3年前のものである。統計的機械学習は大きく変化している。


  
 ・数学には、論理と確率、統計の3つの言葉だけである。17世紀まではパスカルの論理だけであった。


  
  数学では、入出力はX→Yで表す。関数f:x→はどんなものかというと、ある確率分布に従って出現


  
  するとしたならば、確率に従って出てくるということである。その関数がどのようなものかは分からない。


  
 ・良い関数とは、関数の元で運用した時の誤りが少ないものであり、すべての関数の中で最も期待損失


  
  が少ない関数である。期待損失はすべてのデータで求めなければならないが、すべてのデータで損失


  
  を求めることは不可能である。Deep Learningは使う人の職人的なチューニングで辿りつくことが多い。


  
 ・Aiはどう作られているかということであるが、2011年にIBMのワトソンがクイズに出て、王者に勝利した


  
  時から話題になった。クイズでは質問の最後はThis~で答えを求めていたので、答えは固有名詞か


  
  数字であることになる。IBMのワトソンは質問の中で多く出てくる名刺に関連の多い固有名詞から


  
  選んで回答するようにしていたと思われる。今のAIは英語も日本語も理解出来ないので、質問の内容


  
  は理解できていないと思う。センター試験の7割が正誤判定の問題であり、ロボットは対応できる。


   ・新井教授はSiriGoogleの開発内容は知らないが、数学では実験が出来るので、推測は出来る。  


    東ロボでは、記述式試験は解けないのではないかと言われるが、コピペで偏差値
52になっている。


  
  機械翻訳では言語モデルが使われている。言語モデルには確率と推論が必要になってくる。ロボット


  
  は機械翻訳が出来ても、自力では小説は書けない。Google認識も正確性はないと考えられる。


   ・ロボットに学習させるには教師データが必要であり、教師データをたくさん覚えさせる程、能力が


  
  高くなるが、教師データをロボットは作れない。ロボットには目がない。東ロボが自然言語で数学を


    解いたことがあるが、答えは合っているが、人間と考え方が違っているので、内容は分からなかった。


  
  それでも東ロボは偏差値が57を超えた。これは東大に入る学生の中間レベルである。現状のAIは人間


  
  を超える程、知的にはならないと考えている。人口知能はホワイトカラーの上位2割に入ると思う。

 
  
 ・私が東ロボのゴールを2021年にしたのは、高校生が激減する年になる。日本の企業が期待する学生


  
  は全然足りなくなる。そうすれば、企業の活動も低下して、経済の成長も出来なくなる時期が来ると


    思った。
AIは新しいものは生み出さないが、上手く使うと生産性は飛躍的に上がる。


   ・これからの人間は、Aiと差別化できる能力を持つことが求められる。AIを使いこなすには、


 
    ①適切なフレームを決定し、入出力を明確に決める必要がある。


     ②ロボットを活用す
るには教師データを人間が作る必要がある。


  
   ③何が正解なのかは人間的考えでなければならない。   


   ・ドイツがインダストリアル4.0に決めたが、これは大企業しか対応が出来ない。日本に多い中小企業

 
  
  を活かすには、オープンシステムしかない。AIは儲かるかと言えば、プラットホームなどは無償で

 
    公開されており、ソフトウェアだけでは儲けるのは難しいと思う。


   ・数学で考える関数で、確率分布は物理現象で適用できるものであり、社会現象ではロングテールで


  
  ある。ロングテールでは時間と共に減少する割合が少なくなると信頼性が下がる場合がある。


    汎用
AIシンギュラリティは数学的積み上げでは出来ないと考えられる。しかし、数学的には分から


    ないことでも、工学的には可能になることがある。飛行機が何故飛ぶかはまだ数学では分かって


  
  いないのである。男のロマンであると思う。日々の倹約の中で生活してる女性にはできない。

  
  「一言」新井教授のお話は面白かったが、何となく、分からないところが多かった感じがする。

      でも、今の人工知能についての報道は期待過ぎている感じが強いと思う。