第4次産業革命進行中 新しい時代を拓くには? 石倉洋子一橋大学名誉教授
1.第4次産業革命進行中
・北朝鮮問題や中東の問題など色々なことが起こっている。世界はつながっているのに、激しい断絶が起きている。
次第に進んでいる地球規模の課題が出てきている。気候変動も起きているが、EU・NASDAという考えも変わって
来ている。米国とEUも危険な関係になってきている。背後にはテクノロジによって起きている。今までとはスピード、
スコープ、システムの規模が大きい。日本の企業を見ていると、スピード感がない。時間に関する考えも違っている。
働き方改革と言って、日本では残業を減らすということを言っているが、問題は生産性を上げるということである。
手段の民主化によって、誰でもアイデアを実現することが出来るようになった。個人のデータや行動が見えている状況
ある。何を見て、何時どう判断するかが重要であり、先送りが一番いけない。タイミングが大事になってきている。
2.企業は何をすべきか
・破壊される業界があり、新しく生まれてくる業界もある。業界の境界がはっきりしなくなっている。刻々とルールが
変わっている。今までのルールでは絶対勝てなくなっている。プラットフォームのビジネスが出てきた。中核の企業
になるか、パートナーになるのか考えなければならないが、どちらでも良い。長期的に見て世界をより良くする価値
が必要となってくる。自社の強みは何か、何がユニークなのかを把握する必要がある。これがないと中核の企業に
なれないし、パートナーとしても続かない。これからは、共通の目標を目指すコラボレーションになっている。自社だけ
では出来なくなっている。
・将来の仕事を考えてみたが、ソーシャルスキルとシステムスキルの中でどんな役割を果たすが要求されてくる。日本
人は、若い頃からソーシャルスキルは育てられており、ある程度は持っていると考えられる。しかし、システムスキルは
開発されていない。システムの全体像を答えられる人はいない。今はどんな問題があり、どうすれば良いのか、どんな
技術を使うと実現できるのかということを考えられる人が必要である。昔、産業クラスターということが考えられていた。
世界何処にいても良いということだが、地理的に近い方がベターという考えだった。今は技術の進歩により、そのような
距離的な優位差はなくなってきた。
3.古くて新しいエコ・システムの考え方
・エコシステムとは起業やイノベーションを進める一つの方法である。新しい価値を生み出すバリューチェーンから顧客
への価値を中心に置く共有価値の創出がエコ・システムである。日本では金儲けだけを考えている企業は少ないが、
海外ではこれが起きている。顧客の価値を高めたり、世の中のためにならない企業では事業が続かない状況になって
いる。グローバルと言っても近い方がベターと言われてきたが、今はバーチャルな結びつきが出てきている。ビジネス
エコシステムでは多様なプレイヤーが協働することになるが、多様なプレイヤーの協働から新たな利害の対立が出てくる。
共同目的が達成できているか測定することが必要になってくるが、協働目的の達成状況を測ることが厄介である。何を
測定するのかを明確にし、実際に測らないといけない。スピード感が必要なために、測ることは結構難しい。
4.個人の役割
・基本になるのは人の問題である。色々なことを経験して、色々な見方が出来る人が必要である。誰と協働するのか、誰と
競争するのか見えにくくなっている。幅広く見る必要があり、同じ企業の人では出来ない。共有価値をどう定義し実現する
かが大事であり、ここが人間の知恵が活かせるところである。個人が鍵である。講師は、グローバル人材になるということ
をやっている。そのために、プロジェクトを他社の人と一緒にやる経験を積ませている。
平岡社長との対談
(平岡社長)ユニシスでは、ビジネスエコシステムに取り組んでいる。初めからビジョンがあったわけではないが、色々なことを
やってきて、整理するとビジネスエコシステムのイメージが出てきた。ユニシスでは、様々な業界の顧客とのパートナー
シップがあり、完遂するシステム能力があり、新しい価値を作るシステム構築力があるので、積極的に取り組みたいと
考えている。調整能力を持つ人、ビジョンを共有することを第一に考えている。
(石倉)共有価値は初めからある訳ではなく、試行錯誤しながら作り上げていくものであると考えている。価値の共有は政府が
やれば良いと言っても、国境があり難しい。自分の企業はこんな会社であると決めつけると上手くいかない。柔軟な働き
方が重要である。価値観の変化やテクノロジの進化などにも対応する必要がある。今は最初から分かってるものがある
わけではなく、やってみないと分からない。だから早く手を付ける必要がある。正しいものを見極めようとすると間違う。
「一言」石倉講師からレジメが渡されたので、レジメを見ながら聞いていましたが、レジメの方向ではあるが、話の内容が具体的
だったので、聞いた時のメモを基にまとめました。聞き違えや話が抜けている部分があり、多少分かり難くなりましたが、
非常に印象深いお話でした。