デジタルトランスフォーメーションで共に創る未来 NEC 新野社長
1.はじめに
・実世界の出来事をデジタル化してサイバー世界に取り込み、人・モノ・コトを深いレベルでつなげる
ことにより、新しい価値を生み出すことで、私たちの生活やビジネスをより良く変えていくことにして
いくことがNECの考えるデジタルトランスフォーメーションである。
・NECは7つのテーマを定め、お客様と共創しながら、安全・安心・効率・公平と普遍的な社会価値創造
を提供していきたいと考えており、デジタルトランスフォーメーションに取り組んでる。
・7つの社会価値創造テーマは、2015年に国連が作った「持続可能な開発目標(SDGs)」の17のテーマ
とも親和性が高いと考えている。世界規模の社会課題の解決に向けた動きと合わせ、NECはお客様
とデジタルトランスフォーメーションにより、より良い未来を創りあげていきたいと考えている。
デジタルを活用することで社会や企業にどのような変革が起こるのか、事例を通じて紹介したい。
・NECは住友グループのメンバーであり、1942年から2年間は住友通信工業KKと名乗っていた。住友の
家訓は、事業精神、信用を重んじる、浮利に走らず、自利利他であり、NECもこの精神を守っている。
2.デジタルを活用した変化
・NECでは、実世界のデータを見える化し、分析して、新たな価値を付加し、それをベースに実世界で
対応することに取り組んでいる。NECはお客様との共創のために、NEC自身が先ずデジタルトランス
フォーメーションに取り組んでいる。この取り組みには我々の強みであるAIを最大限活用している。
NECが取り組んだ4つの変革事例を説明する。①営業・マーケティング改革、②設計・開発の変革、
③サプライチェーンの変革、④働き方改革 の4つである。
・1つめの「営業・マーケティング改革」では、お客様のデータを分析し、AIの活用により、見込み顧客
の発掘が4倍になる成果を上げた。Webサイトなど、様々な顧客接点から得られる情報をAIにより
分析し、お客様のニーズに合致した提案を行い、エンゲージメントを向上させた。
・2つめの「設計・開発の変革」は、ソフトウェア開発マネジメントの事例である。NECでも失敗プロジェクト
が多発していた。過去のバグやレビューのデータをAIに学習させ、3年分のデータで予測モデルを作り、
プロジェクトの成否を進捗25%時点で80%判定することを可能にした。生産性向上と顧客満足度向上
につなげることが出来たと思う。
・3つめの「サプライチェーンの変革」では、受注から生産までの工程での在庫をAIで分析した。一部の
業務では、従来の人手に比べて月々の月末部品在庫を金額で45%が削減できた。
・4つめは、「働き方改革」の事例である。これまで人手で行っていた伝票の確認をRPA(ソフトウェア
ロボット)で自動化することで、全体で70%の処理削減を可能にした。従業員がやりがいをもって取り
組めるような業務にシフトすることができるようになり、全体としての生産性が上がっている。単純に
ロボット化しても駄目であり、RTAと一緒にして改善することで、IDCのアンケートで1番になった。
・NECは、自社の取り組みで蓄積したノウハウの活用とAI技術とソリューション提供の両面を強化して、
お客様のデジタルトランスフォーメーションの実現をサポートしていきたいと考えている。
3.2030年の日本やその他の先進国の社会課題に向けて
・2030年には日本の人口が減少し、世界の人口が増加する見込みであり、課題が出てくる。日本は
人口が1億14万人になり、高齢者が3人に1人が65歳以上になる。生産人口の割合が1:1.25になる。
2人で2人を支える時代がくる。労働力減少により、様々な業種で現在提供されているサービスだけ
でなく、社会システムそのものの維持が困難になると予想される。AIを活用することで、人がやるべき
ことに人的資源を集中することが求められる。3つの分野でどう変わるか考えてみる。
・製造分野では、AIが品質検査業務を支援する。画像認識とデープラーニングにより検査費用は60%
削減する。金融分野では、インターネット経由の取引件数が数千万件/日を超え、取引額は45兆円
になっており、不正取引の数も膨大になっている。人手での対応が難しくなり、早急な対応が求められ、
NECは東京証券取引所様と不正取引を検査した。RAPIDのAIを活用した結果、沢山の不正取引を見つ
けた。2017年9月からはSBI証券様、楽天証券様などで、金融・証券業務にAIを導入して売買審査業務
の工数大幅削減に向け実証実験を開始した。医療分野では、デジタルホスピタルに取り組んでいる。
患者の不穏行動の監視を行い、不穏行動の予知として、40分前に71%の検知が出来た。退院後の
予知でも84%を実現した。課題先進国である我が国での取り組みを、労働力減少に直面する他国の
課題解決につなげていきたいと考えている。
・世界に目を向けると、2030年の世界人口は85億人と推計され、都市人口は50億人に増加する見込み
である。旅行者も18億人と増加する。その結果、都市間で人とモノの移動が増加することによる様々な
問題が起こる。空港では、スムーズな入出国と安全安心の両立が要求される。グローバル化するテロ
対応が必須になる。海外からのテロリスト流入だけでなく、自国のテロリスト流出にも対策が急務である。
NECの顔認証技術を活用した出国管理システムが空港が直面する課題に対応している。米国ワシントン
のダレス国際空港など複数の空港で、顔認証を活用した出国管理システムの実証実験を行っている。
将来的には、顔認証でのチケットレスな搭乗も視野に入れて取り組んでいる。
・街中では犯罪予測システムによりパトロールのルートを作成している。イベントでは、高精度な人物
の特定を高速で行い、50万人のウオッチリストをリアルタイムで監視し、照合に成果を上げている。
4.未来社会に向けてNECの価値提供
・NECはセンシング技術や画像認識技術を使い、実世界のデータを見える化し、分析・対処すること
で新たな価値を生み出している。そのコアとなるのが最先端AI技術群「NEC
the WISE」である。
これまでのAIはコンピュータの処理能力不足で止まっていた。一番大切なものはセキュアな社会を
どう担保するかである。AI技術のNEC
the WISEがどんどん増えている。これまで使えるデータになら
なかったものが多かったが、AIによりデータを使えるものにしている。デープラーニングでは効率化
が図られるが、AIが何故答えを出したか理解できるようにする技術も大事だと思う。NECは見える化/
分析/対処のプロセスに、No.1/Only1の技術を保有しており、課題やニーズに対応して、技術を組み
合わせ、価値提供している。NECは「見える化」に強みを持っている。その代表格が「顔認証技術」で
あり、米国政府機関が発表するベンチマークテストで4回連続1位を獲得した。現在は、NECの見える
化技術の応用により、価値創出に取り組んでいる。
・NECは顔認証技術を応用した遠隔視線推定技術により、視線から人の気持ちの見える化に取り
組んでいる。この技術を活用することで、例えば、マーケティングやおもてなしなど、安全・安心だけ
ではない様々な価値創出が可能になる。
・NECがご提供するのは、AIだけではない。デジタル時代の「つながる」を実現するコンピューティング
とネットワーキングの技術を保有している。10/25に発表したスパコンや、今後実用化される5Gの
ネットワーク技術など、デジタル時代に必要な膨大なデータを扱うために必要な技術を強化している。
・最後は「安全」を守るセキュリティである。マルウエアが毎時1千個開発されている。未知のウィルス
による脅威が大きくなる。10/24に発売したActSecureセキュリティ異常検知サービスは、これまで対応
が難しかった未知のウィルスへの対応を可能とした。ActSecureセキュリティ異常検知サービス」は、
NEC
the
WISEの一つである自己学習型システム異常検知技術を活用することで、通常状態を学習し、
リアルタイムでその状態と現在の状態を比較することで、通常状態と異なる動きの挙動を“異常”と
して早期検知する。社内で検証した結果、”異常”の検知からサイバー攻撃の全体像特定するのに
要した時間が、これまでは5日間かかっていたが1.5時間に短縮できた。
5.最後に ~さらにその先の未来を見据えて~
・NECは2050年を見据えて、有識者による「NEC未来創造会議」で40年先、50年先の未来像を探って
います。このようにNECは未来社会を見据えながら、デジタルを活用し社会的課題の解決に貢献し、
みなさまと共創してより良い社会の実現に取り組んでいきたいと考えています。
「一言」NECのフォーラムの最初に講演された新野社長の話を聞きました。たくさん事例を出して説明して
いたので分かり易い感じがしましたが、メモを整理しようと思うと良く分かっていないことが多い感じ
しました。インターネットで社長の講演メモがあり、整理するのに利用しましたが、私が取ったメモを
異なる部分が多い感じがしました。