ロボットとの対話から生まれるビジネスチャンスとは 大阪大学 石黒教授
・今日はロボットとの対話から生まれてくるビジネスチャンスについて、これまでの研究を説明したい。
最近、音声認識デバイスが各社から出てきているが、はやらないと思う。音声認識デバイスでは
100%を要求されるが,100%のレスポンスは難しいと思う。アマゾンから音声認識デバイス“エコー”
が販売されているが、限界があると思う。音声認識では人との対話が必要になると思う。音声認識
以外のものと複合的に組み合わせて使われると思う。パターン認識を長いこと研究してきたが、
100%は難しい。人間らしい関わり方になる。トータルに人とコミュニケーションするロボット作ってきた。
・人は人を認識する脳を持ち、人にとって最も関わり易いのは人である。人によく似たロボットを作ると
最初は気持ちが悪いと言うが、その内、みんな受け入れるようになる。人を知るためにロボットの
研究をしてきた。ロボットを作って人間を知り、ロボットを作るヒントを得た。iPhoneは非常に売れて
いるが、iPhoneを作ったジョブスは人が何を求めているか考え続けてきたことがポイントだと思う。
・2000年頃からインタラクションの研究をしてきた。ロボット工学と人間科学の融合を研究し、仮説と
検証を続けてきた。従来の産業は、ロボットと一線を画して研究してきたが、これからは人を取り込む
ことになる。その例として、おねだりロボットをNTTと一緒に開発してきて、NTTが販売している。
英語の勉強は人前で何回とやることは恥ずかしいが、ロボットとなら気にすることはなく、上手くいく。
レストランでは人不足のため、外国人を使っているが会話は難しい。インバウンドでは何か国の言葉
を使う必要があり、色々な言葉に対応出来るロボットが役に立つ。高校生が集まるとスマホばかりを
いじっていて話が進まないが、ロボットが入ると会話が弾むようになる。
・作業を手助けするロボットもあるが、人に関わるところでも使える。ロボットは感情表現を豊かに出来る。
感情は人と人をつなぐことが出来る。微笑んでいるロボットを見ると人は微笑えむようになる。アイドル
には人は非人間性を要求するので、アンドロイドの方が良いと思う。ハリウッドの映画にロボットが出て
くると世界は破滅するが、人とアンドロイドが共演して助け合う日本の映画“さようなら”を作った。
・人工生命の研究が進んでいる。機械人間では生命の枠だけを与えて、後は自分で学習させていると、
非常に人間らしくなるので、可能性が出てくると思う。アンドロイドでは、落語の業を再現したり、過去の
人を再現することが出来るようになる。
・自律的に対話する方法は2つある。チャッドボットはかなり進んでいる。4000パターンくらいで自律的に
対話できるようになる。カジュアルな会話をするロボットPITを作っている。深い議論ならば、人間より話
を続けることが出来る。意図欲求の階層モデルのロボットでは、欲求を満たすために感情的表現を使う
ようにしている。課題を設定し、深く対話するように出来ている。
・人と対話するロボットの原理として、人と対話するには何が必要になるか考えてみた。
一つは人の存在である。観察に基づく認識と、想像に基づく認識があるが、想像に基づく認識の方
が人には受け入れられ易い。想像で関わる遠隔ロボット(テレノイド)では、人は分からないところは
良い方に考える傾向がある。そのため、誰でもが受け入れてもらえるロボットはハグビーのようになる。
人間は、声、見せかけ、臭い、触覚のうち、2つを組み合せるとその人と認識するようになる。
二つ目は対話による理解である。すべてを理解していないと対話が出来なかと言うとそうではない。
音声認識しないでも、2つのロボットがいれば対話は出来る。対話はストリーを共有することである。
聞いているだけでも対話に参加している気持ちになる。洋服を売るアンドロイドが月に60万円くらい
売ったことがある。人は会話すると買わないといけないと思う傾向がある。発話なしに対話することが
出来る、タッチパネルで意思決定することである。人間同士でタッチパネルで会話すると一度は険悪
になり、その後、仲直りすると非常に上手くいく。人間でストリー作りが出来ないが、ストリーに乗って
いるだけの場合も多い。コミュニケーションの研究は愛の研究である。対話は、元来、人と人をつなぐ
ためにあるが、ロボットとも良い方向に行っていると思う。
「一言」石黒教授の話は色々なことを話してくれるので面白いが、今日は短時間に詰め込んで
話をしていた感じで、メモを取りながら聞くのでは理解できないところが多々あった。