イノベーティブな企業改革        富士ゼロックス 古森会長

   ・富士ゼロックスでは本業のフイルム事業で、売上の6割、利益の7割を上げていたが、2000年から急速に減少して、

    2014年には1%になった。この時、企業は成長し続けなければならないと考え、企業価値を守っていく必要があると

    考えた。そのため、世界で戦っていける技術は何かと考えた。フイルムは抗酸化技術が重要であり、世界的に競争

    できる技術を持っていた。人間の肌とフイルムの劣化を防ぐ技術は似ているので、この分野に進出することにした。

    人間の肌を守る酸化力の高いアスタキサンチンは肌に馴染まない。しかし、ナノレベルまで細かくすると親和性が

    良くなることが分かった。フイルムは物質を非常に細かくする必要があり、ナノにする技術を持っているので、これを

    活用して化粧品を作って、事業を立て直していった。

   ・富士ゼッロックスはコダックを追いかけていて、2001年には抜くことが出来たが、この時期にフィルムは減少し始めて

    いた。急速に事業転換する必要が出たが、実現できたのは決断だと思う。決めなければいけないが、迷いが出る。

    失敗を心配するより、事業を成功させれば良いと考えて決断した。新しいことをやる時は失敗は一杯あるが、失敗と

    考える必要はない。しかし、致命的な間違いはしてはいけない。M&A40社くらいした。M&Aは山を5合目から登る

    のと同じであり、スピードを上げることが出来る。富山薬品を買収したことから医薬に乗り込むことになった。化学の

    領域では写真と医薬は似ている。研究開発費は10年間の累計で25千億円になっており、売上の8%を充てている。

    事業は常に製品を改造していかないといけないと、同時に、未来を志向していかないといけないと考えている。この

    2つのことをやらないといけない。基本的には研究開発は企業の生命線である。

   ・技術を何故、オープンにするかというと、一社だけでは解決できないことが多いので、オープンにして発展させていく

    ことが必要だと考えている。基本的にはニーズとシーズがあるが、今の状況はすれ違いがあると思う。早い段階から

    ニーズとシーズをすり合わせていくことを考えていかないといけない。そのため、オープンイノベーションハブを作った。

   ・今の日本に対する提言としては、“上向き、前向き、外向き”のマインドチェンジが必要だと思う。日本企業は強いという

    ことを自覚していく必要がある。迷うことはたくさんあるが、心を決めることは難しいことではなく、やれば良いと思う。


  「一言」今日は日経プラス10の講演を聞きに行った。小谷さんと山川さんが古森会長にインタビューする感じで、お話をされた
       ので、まとめ難かったが、一応、聞いたことをまとめた。急速に事業転換した考え方は面白かった。