デジタル産業革命を支えるNEC ~安全・安心・効率・公平な社会の実現~ 新野社長
1.世界を取り巻くメガトレンド
・世界の人口は70億人であるが、2050年には90億円になる予定であり、1.3倍になる。都市部の人口は35億人であるが、2050年には
63億人になる予想であり、1.8倍になる。そのため、モノの移動は2.4倍になり、食料は1.7倍、廃棄物は2.1倍になると言われている。
地球の資源は有限であり、すべてを賄えるかということには課題がある。
・ICTの能力は非常に進んでおり、スパコンは57万倍になっている。ネットワークは10万倍になり、IoTの情報は6500倍の44兆Bになる。
今後、インターネットにつながるものは530億個になると言われており、将来は、我々が認識しないものもつながるようになり、思いも
しないことが出てくることが考えられる。
・先日、韓国のイ・セドルがAIに負けた。最初はチェスがAIに負けた。2013年に将棋でAIが勝った。AIは10の100乗にするのに、10年も
かかった。しかし、将棋では10の140乗が必要だが、3年でAIが勝った。AIは非常に急速に発展している。
2.NECの取り組み
・NECは社会の価値創造を7つの分野で行う考えである。NECは何を提供するのかということである。IT分野は今までは企業が主体で
あったが、今は個人が無料でデータを仕入れられるようになったので、参入できなかった領域に低コストで参入できるようになった。
設備投資がいらないで、ビジネスに参入できるようになった。これは産業革命であると捉えている。
・NECはデータを見える化し、予知、予見に対処する考えである。NECではデータを活かして、新たな価値を作っている。1つはAIであり、
2つ目は確実につなぐことである。3つ目はセキュリティの問題であり、今後重要になると考えている。
・NECはAIを数十年にわたり、開発してきたが、ブランドを持っていない。今年はNECはAIをブランド化し、WISEと名付けた。まず、顔認証
をサービスすることにしたが、時空間の認識と組み合わせて特定の人を見つけることが出来るようにした。テキスト合意分析技術により
キーワードだけでなく、検索できるようになる製品を提供している。
・AIはNECだけで開発するのではなく、大阪大学と共同開発している。産業総合研究所や東京大学とも共同開発をしている。人間の脳は
20Wの消費電力で動いており、非常に効率的である。今のAIは非常に大きな電力を必要としているので、今後は効率的な動作を行う
ような研究を東京大学と共同で行っている。
・次はコネクティブティ:つながるであるが、NECは設立当初から取り組んできている。はやぶさは色々とトラブルがあったが、最後まで
通信がつながっていたので帰れたのだと思う。海底ケーブルも世界中に敷設されており、既に、25万kmが敷設されており、地球6周分
の長さである。NECはSDNも提供しており、様々なつながるを実現している。
・セキュリティは色々なものをつなげる中で1つでも穴があれば大きな問題になる。サイバー攻撃やウイルス、内部者の不正行為など、
色々なトラブルがある。そのため、入り口で防ぐのは難しいので、自己学習型システムで異常を検知している。正しい情報の知識を
持ち、現状を分析しており、異常を見つけると、異常な端末だけを切り離していくことで、全体には影響を与えないで対応できる。
3.NECの開発している事例
・都市の安心・安全に対する取り組みとして、アルゼンチンのディグレ市では盗難などが多かったので、顔認証や行動異常検知により、
盗難などを減らすことが出来ている。
・ニュージランドのウェリントン市では、スペインのオペレーションセンターで処理している。自国内で処理するのでh鳴く、海外で処理を
している。土地情報省とオークランド市、クライスチャーチ市を結んで、交通渋滞や防犯に取り組んでいる。幅広くつながることで効果
を上げている。
・カゴメとAIで農業に取り組んでいる。ポルトガルやオーストラリアなどで実施しているが、過去のデータがなくても多数の仮想空間で
シュミレーションすることで効果を上げている。
・アサヒビールでは、精度を上げることで、欠品を少なくしている。ここでは異業種混合学習技術を使っている。
職能のバリューチェーン全体をつないで最適化している。また、食料廃棄率が30%と言われているので、効率化したいと考えている。
・NECだけでは難しいので、パートナーと協力していく考えてある。ユーザ会には3000社がおり、もの作りプロジェクトには1660社がいる。
・これまでの価値創造に比べて、やりたいことが分からない状況である。そこで価値創造として、デザイナーを含めた共創プログラムを
実施している。しかし、アイデアが出てきてもビジネスにつながるかどうかは分からない。そのため、仮説検証の仕組みを作っている。
新しいサービスを創り出すコンサルティングサービスも実施している。インドのデーリームンバイでの物流システムの高度化の事例が
ある。このシステムでは、コンテナにタグをつけて、モノの動きを見ている。
4.デジタル産業革命後の世界に向けて
・NECはデジタル産業革命後の世界がどのようになるか考えている。IoTやロボット、AIが進んでいく。2040年にはAIは人間の能力を
超えると言われている。このような進展により、リスクや脅威が出てくる。どのような明るい未来あるのかNECは提案したい。
将来の課題は、プライバシーや倫理観の問題であり、NECはトップランナーとなるため、NEC未来創造会議を立ち上げた。目標は
2020年であるが、この年は東京オリンピックの年であり、スポンサーとして色々な形で貢献したいと考えている。
「一言」NECのC&CフォーラムでNECの新野社長のお話を聞いた。NECがAIに積極的に取り組んでいることが説明された。
NECが取り組んでいる事例も多く説明されたが、AIがどのように役に立っているのか、どのような問題が出てきているのか
の具体的なイメージは良く分からなかった。日立の東原社長が、日立のAIは汎用AIであり、目標設定と最終判断は人が
行うのが特徴だということを話していたが、この考え方とは、AIの課題も含めて、少し違っているように思えた。