崔真淑の企業分析術 H28..9.7
1.利益は意見!キャッシュが現実!
・今日はみなさんが投資する時に、負けないための企業分析術を説明する。株式投資をする時に、企業業績を見ると思うが、
企業業績の予想を出すのは日本くらいである。米国でも業績予想を出すがもっとアバウトなものである。
利益は会計基準で動かせるので、実際のキャッシュを見ないと駄目だと思う。昔、上場企業のカネボウが決算期末の3月末
に化粧品専門店に仕入れを急速に増やすように依頼して、4月になると大量の返品を受け入れるということを繰り返していた。
カネボウは増収増益を目指していて、売上の数字を作っていたのである。これはやってはいけないことである。カネボウの
売上高は増えていたが、現金は入っていなかった訳である。現金が回収出来てこそ、安全安心な会社であるということである。
・何を見れば現金が回収できているかどうかが分かるかということであるが、大学でも会計操作を見破る方法を研究している。
見るべき指標は3つだけである。一つは、売上債権が平均的に何日後に回収されいるかを表す売上債権回転日数である。
2つ目は棚卸資産を平均的に何日分、保有しているかを表す指標の棚卸資産回転日数である。在庫がどれだけ積み上がって
いるかが分かるが、企業の業種で日数は大きく変わるため、前期とどのように変化したかを見ると良いと思う。
3つ目は仕入債務を平均的に何日後に支払っているのかを表す指標の仕入債務回転日数棚卸資産である。仕入れ債務を
売上高で割り、365日で割って算出する。掛けで商売のできる会社は強い会社である。仕入れが掛けで対応できるため、会社
に現金が残っていることになるため、企業は積極的に投資できるのである。
・D社は東京ガールズコレクションを運営している会社を買収したり、色々なキャラクターを開発している元気の良い会社で、業績
は右肩上がりである。売上は年々増加している。しかし、内容を分析すると売上債務回転日数が急速に長くなっている。これは
キャラクタは積極的に開発しているがヒットしたキャラクタは少なく、現金の回収が遅れていることになっていると思われる。更に、
負債を調べてみると、直近の短期負債が急増している。ビジネスモデルの方向転換をしているが、上手くいっていない感じである。
株価は軟調である。現在、この会社の株を買うのは見合わせたいと思う。
・決算書のどこを見るかというと、一番目は売上債務の増減額である。次は、棚卸資産の増減、仕入債務の増減である。例えば、
Y電機の決算書を見ると、前期に比べると掛けでの売上が増えている。また、棚卸資産が大幅に減少しているので、見かけ上の
売上を増やしているのではないかと思われる。
2.コーポレートガバナンスと企業価値
・アベノミックでは女性の活用を提唱している。ノルウエーでは女性の役員比率を40%以上に義務付けた。そのため、これまでの
男性の役員は大幅に退任して、新しく女性の役員を登用する必要が出てきた。企業の経営が混乱してきたので、非上場企業が
大幅に増えて、上場企業は減少してしまった。女性の役員を急に増やすことが良いかどうかは疑問もある。
・米国ではオールドボウイズ企業が多い。年寄った男性の役員ばかりの企業のことで、なかなかものが言えない雰囲気がある。
女性が経営陣に入ると社長にものを言えるようになるということが出てくることは考えられる。しかし、急には難しいと思う。
3.感想
・崔真淑さんの話は企業分析術というテーマでした。内容的には負けない投資術という話でした。企業の状況を見る時は会計報告
だけではなく、キャッシュの動きを見ることが大事だということでした。内容は初歩的でしたが、大事なことでした。特に、崔さんは
若い女性が起業して頑張っている感じがしました。もう一つのお話はアルコニックスの正木社長の講演でした。2000年から日商
岩井から転出され、会社を起し、みずほのファンドが投資してくれたので、上場一部の会社にすることが出来たということでした。
ざっくばらんな話し方をする社長で、アベノミックスはそろそろ行き詰まりになってきたとか、安倍首相も頑固になりつつあるという
意見こは納得できる感じがしました。