日本の歩むべき道 小泉元総理
・総理大臣の時、世界の最先端のITを築くための会議を立ち上げた。本部長になってくれと言われたが技術は
分からないので断ったら、何も言わなくて、聞くだけで良いと言われたので本部長になり、みんなの話を聞いた。
今では、日本はIT先端国になった。日本は目標を立てれば実現するとことでは凄い国だと思う。
・今日は今考えていることを話す。政治関係では原発ゼロを実現することに力を入れている。現職の時は原発
を推進してきた。4年前に福島原発の事故が起きた。一度、事故が起きると大変なことだと思い、本を読んだ。
総理大臣の時には、原発は安全、低コスト、クリーンということで説明を受けたが、勉強すればする程、べてが
嘘だったと思った。
・安全については、アメリカのスリーマイル島で事故は起きた。チェルノブイリ事故が起きており、今でも人が住め
ない状況である。日本は安全だと言っていたが、4年前に福島で事故が起きた。その他、人為的事故を含める
とかず数えられない事故が起きている。このようなことを見ると日本は原発はやってはいけないと思った。
アメリカや中国は広大な土地がある。日本はカルフォルニア州くらいであり、国土が非常に狭い状況である。
・最終処分場はアメリカでもソ連でも決まらない。日本は震度7以上の地震が10年間に5回も起きている。自然は
想定外である。原発は絶対に事故を起こしてはいけないもので、一度事故を起こすと50年以上住めなくなる。
関東大震災からもまだ100年経っていない。絶対安全な産業はない。原発は範囲の大きい被害を出す産業だ。
昨年、原子力規制委員長が川内原発の基準をパスさせたが、安全だとは言っていない。
・昨年、世界で初めて核燃料を捨てる場所に決まったオンカロに行ってきた。オンカロは島の下の岩盤の400m
の地下に大きなスペースを作り、円筒に入れて保管する。10万年保管することが必要であるので、水の問題が
まだ残っている。日本では400mも掘ると水が出てくる。ここを掘ってはいけませんと何語で書くか心配していた。
何万年後には言葉がどのように変わっているか分からないとのことであった。オンカロでも原発2基分しか保管
できないとのことである。ことほど左様に原発産業は難しい。
・自分は間違ったと思った。これを改めなければいけないと思い、運動している。運動に対して批判が出ている。
一番目の批判は廃炉のための技術者の確保とその後の産業をどうするかということである。これからはテロ
対策は必要となる。一人では決められないので、多くの国民が知恵を出して取り組む必要がある。やると決めた
のが政治であるのなら、止めるのも政治が決める必要がある。
・原発を止めると貿易赤字が増えるという意見もあるが、食糧も赤字である。国民が必要だから貿易赤字になる
のだから、輸入を止める訳にはいかないと思う。これまで、日本人は知恵を出して乗り切ってきた。電力は独占
だからやってきているが、これからは競争することになる。日本の最終処分場も自治体に任せておくと決まら
なかったので、国が決めていくと言い出したが、自治体が支援しないと決められないと思う。
・原発はコストが安いというのも嘘だった。今は金融機関は原発関係については融資していない。原発で必要な
費用は国民が出すしかない状況である。ドイツは原発をゼロにすると言ったが、まだ、原発が動いている。
日本は原発を止めるとは言っていないが、1年半も原発なしでやっている。更に、原発以外の再生電力が色々
と出てきている。ミドリムシまで出てきており、飛行機の原料にまでなる感じである。自動車も燃料電池に取り
組んでいる。原発が止まって困るのは、電力会社の経営者だけである。日本には自然エネルギーが沢山ある。
・日本はピンチをチャンスに変えてきた。最大のピンチは第2次大戦である。敗戦後、敵だったアメリカを味方に
変えて、発展してきた。戦後の産業界のピンチは石油ショックだと思う。それまでは、石油は安くてどんどん
使ってきた。1973年の中東戦争で石油が2ドルから10倍以上に上がり、狂乱物価になった。そこで、買占めと
売り惜しみ防止の法案を作った。石油はどんどん入ってくると思っていたので、@備蓄をしなかった、A消費を
抑えなかった、B別のエネルギー対策をしなかった。これらの取り組みをしてきたので、先日の石油高の時も
混乱は起きなかった。石油ショック後、先進国の首脳が集まり、第一回のサミットを行った。その結果、省エネ
対策が進み、依存度が70%から40%に減少した。その穴埋めを原子力がやってきた。変えれば良いと思う。
・1971年に固定相場から変動相場になり、1ドルが360円から120円になっているが、日本はピンチを乗り切って
きた。原発ゼロも決めれば、自然大国になると思う。
・今、グローバル時代と言われているが、日本独自のものも出てきている。日本の精神的なものが業績を出ている。
渋沢栄一が武士道精神に通じる“論語とそろばん”という本を出した。この本は最近、再販売しされている。
論語の思いやりと信用が経済を発展させるという考え方であり、日本人には論語の精神を持っている。
尾崎行雄は連続当選25回、60年の記録を持っている。今、憲政記念館になっている尾崎記念館の記念碑には
尾崎行雄が90歳以上になり、なくなる年にもかかわらず、“人生の本舞台は常に将来に在り”と言っている。
今日は若い人が多く集まっている。常に、向上心を以って頑張って欲しい。
「感想」今日の話を聞いて、政治家の姿勢が明確に出されている感じがした。将来を見通して、必要な目標は決める
必要があり、決めたことが間違っていたら、改めるという姿勢である。また、ドイツは原発を廃止すると決めたが、
まだ動いていることや、日本は原発廃止と決めていないが、既に1年半原発なしでやっていること、日本には
色々な再生電力が出てきていることも考えて、原発ゼロを目指すべきだと言っていた。日本はピンチをチャンス
に変えてきた国であるので、原発ゼロを決め、自然大国にするべきだということで、何となく理解できた感じがする。