脳と創造性     茂木健一郎様

 1.人工知能の進歩

     ・人工知能の研究が進んでおり、東大の入試も対応しようとしている。技術の変異点が近づいている感じである。

      IQは集中力の深さに関連があり、頭良くしようと思うならば、集中性を上げることである。

     ・集中することは人間よりコンピュータが優れている。繰り返しの計算でもコンピュータは飽きることはなく実行する。

      ムーアの法則があるのだから、コンピュータが人間に追いつくのは、瞬間である。その後、ドンドン差を拡げられる。

      人工知能が進んでいくと、コンピュータのIQ4000とか5000の時がくると、人間は何をすればよいのか。人工知能

      の考え方は昔のままであるが、CPUが非常に進んだので、人間に近づいてきた。将棋でも人間が考えられるのは

      2手から3手先までである。色々なことで人間が選択を考えていても、3つか4つから選択している。コンピュータ

      何万以上もことを考えることが出来る。コンピュータは創造性があるのではなく、しらみつぶしに計算することが得意

      でその中から確からしいものを選ぶことが出来るのである。将来、医師もワトソンを側に置いて判断するようになる

      と思う。文科省が大学入試を改革しようとしている。点数を競っても意味がなくなる。改革には根本的なところから

      見直す必要がある。


 2.コミュニケーション能力

     ・常識ということが人工知能は苦手である。人工知能の学会では、人工知能で台所に行ってコーヒーを入れることが

      出来るか検討している。コーヒーを入れる方法は色々あり、使う器具も違うので、判断させることが難しいのである。

     ・コミュニケーションや常識は人工知能は弱い。男性は製品の性能の数字などを気にするが、女性は感性的にみて

      判断するので、男性はオタク的でプログラムが好きであり、女性はコミュニケーションが好きである。コンピュータは

      男性の頭を進化させたようなものである。サヴァン的な人には、本すべてをスキャン的に記憶するのは得意な人が

      いるが、特異な能力を持つサヴァン的な自閉症の人はコミュニケーションは弱い。

     ・イギリスのチューリングという天才数学者が、今日のコンピュータの原型となる理論をつくった。今日のコンピュータ

      はチューリングのモデルに基づいているとも言えるが、人間とコンピュータが直接コミュニケーション出来ているかを

      判断する「チューリングテスト」と呼ばれる試験に合格するコンピュータは、未だ実現していない。

     ・人間はコミュニケーションという能力では人工知能に勝てるかも知れないと思う。猿の毛づくろいは、人間の雑談

      匹敵する。猿の脳が大きくなるに連れて毛づくろいする仲間の数も増えてくる。人間の脳は雑談するために発展して

      きた。オックスフォード大学のダンバーの意見では、猿のづくろいのかわりに人間のおしゃべりが進化してきたので

      あり、人間大脳新皮質の大きさから推定すると、人間150の仲間と毛づくりが出来ると言われている

      毛づくろいには貸し借りあり、バランスが大事である。毛づくろいには仲間のバランスシートを考えられることが要求

      される。技術的なことは陳腐化するが、毛づくろいのネットワークは簡単には置き換えることは出来ない。
     ・毛づくろいのポートフォリオには、自分の意見と違っている人も結構いる場合がある。脳のことから考えると嫌いな人

      は自分が出来ないことが出来ることである。イノバーションとはドットとドットを結ぶことだが、違う考えを持つことと結ぶ

      ことで新しいことが出てくる。ジョブスはガチガチのコンピュータとアートを結びつけたことがみんなに受け入れられた。

      自分と違和感があることとつなぐことでイノベーションを起こすキッカケになる。コンピュータには中学生との毛づくろい

      は出来ない。雑談の7割はうわさ話であり、不幸な話が多い。何故、不幸な話が多いかというと、自分にもいつ不幸が

      降りかかるか分からないので、自分に不幸が降りかかってきた時のシュミレーションしているのである。そのようなこと

      がイノベーションでリスクをとることを考えることになる。


 3.イノベーションと創造性

     ・イノベーションを起こす人は友達が多い。独創性は一人で作るものではなく、色々な人とネットワークを通して出てくる

      ものをアウトプットするわけである。色々な人がいた方が情報が集まってくる。更に、安全基地を持てるのである。

     ・安全基地があることで冒険することが出来る。安全基地は根拠のない安全に自信を持てるようになる。脳の感性の

      回路は安全基地に見合うものしか動かない。子供の安全基地になるのは、見て上げることである。部下も同じである。

      ドーパミンの安全基地には褒められると強化される。どういう方向に褒められるかにより、強化される能力が変わる。

      行動した直後に褒めることが大事である。このタイミングが難しい。誉める時はサプライズがないといけない。

     ・俺がビックになるという人は、自分が可愛いのである。自分だけの一人分だけのエネルギーだけしか出てこない。

      他人のためということになると、何人分、何十人分のエネルギーが出てくる。更に、他人のためということには多様性

      が出てくる。他人の考えを理解するミラーニューロンを使う。自分とは違う他人の好みなどを理解しなければならなく

      なり、色々な人から感謝されることが多い。そのような中から創造性が出てくる。

     ・IT技術の進歩により、ホワイトカラーの仕事がこれまで大きく変わったようなことが、これから起ころうとしている

      このため、生き残るには毛づくろいであり、そのバランスシートである。

     ・幸福を邪魔する要因は何が幸福かと決めつけることである。宝くじに当たっても、当たらなくても幸せ度は変わらない。

      また、若い時に結婚して子供を産むことが幸せと考えていて、そうなっても、そうならない場合でも、幸せ度は変わら

      ない。何が幸せかと決めつけることが幸せを邪魔していることになる。

     ・メーテルリンクの「幸せの青い鳥」のように、幸せを求めてさまざまな場所を旅し家に戻ってくると、幸せの青い鳥は、

      最初から自分たちの家にいたのだった。この話のように幸せの条件は既に足元にあることが多い、ということである。


「感想」最近、気になっていた人工知能が進歩して、色々な仕事がコンピュータが行うようになると、人間は何をすれば良いのか
     考えていたので、興味を持って聞くことが出来ました。茂木さんは色々な話をするので、まとめてみると良く理解していない
     ことが多かった。インターネットで調べながらまとめてみたが、まだ、良く分からないところがある。