変わりゆく世界と日本             東京工業大学  池上教授

   ・福島原発の事故の時、専門家が説明していたが、専門用語が連発されて、分からない状況になった。この時、文科系と理科系の

    架け橋が必要と思った。そんな時に誘われたので、2年前から東京工業大学で教えている。東京工業大学の学生は優秀と思うが、

    典型的な理科系の人が多い。大学では厳しく教育している。

   ・メディアが進歩すると共に、思わぬ動きが出てきている。難民が非常に増えている。最近の難民はほとんどがスマホを持っている。

    難民キャンプで取材していた時、家族に出会えたと言って喜んでいたので、何か取材になる話があるかと思ったら、スマホで連絡

    して出会えたとのことであった。ドイツに行くと、申請が受け付けて貰えて、住宅が貰えて、月4万円が貰える。更に、仕事を見つけて

    くれるという噂が広がっていた。先に行った難民がスマホで情報を流しているのである。スマホの充電が心配になるが、NPOの支援

    団体が充電を支援している。料金はプリペイドを使っている。そのため、スマホを頼りに動くようになっている。アラブ民族の大移動

    が起きているのである。民族が違うし、宗教も違う人をヨーロッパはどう受け入れるのか覚悟がいる時期が来ている。これが日本に

    向かってきた時にどうするのか。来年はこの動きが強くなると思っている。

   ・グーテンベルグが活版印刷を発明した。それまで、日本では源氏物語を書き写していた。書き写す時に間違えて、色々な源氏物語

    が出てきた。手軽に印刷できるようになり、宗教革命が起きた。それまでは神父が信者に対応していたが、聖書が印刷され、みんな

    が読むようになり、何が書かれているか分かるようになった。ルターの批判が広がっていった。プロテスタントが出て大きく変わった。

   ・ラジオが出てきて、ラジオドラマを聞いて、パニックが起きた。ドラマでは異星人が地球に来て、荒らしているというと内容で、真実と

    思った人が出てきて、パニックになった。ルーズベルト大統領が、日本とヨーロッパで戦っていて、ラジオで団結を求めてきた。それ

    により、アメリカの団結が進んだ。テレビを最も上手に使ったのが、ケネディ大統領である。白黒テレビでは、ネイビーブルーの服で、

    白いワイシャツ、赤いネクタイの効果が効果的であるということを選挙で使った。ニクソン氏はグレーの服を着ていたが、演台では

    映えるが、テレビではボケるのである。また、強いライトを浴びるので、ケネディ大統領はドーランで汗を抑えていたが、ニクソン氏は

    汗だくになった状況が映し出された。その後、パワースーツが出てきた。テレビで失敗したのはベトナム戦争だった。ベトナム戦争で

    はテレビで悲惨な様子が映ったのがお茶の間に入ってきた。これにより、ベトナム戦争の反対運動が起こり、撤退することになった

    この後、戦争の映像を映さなくなった。戦争の映像を映しても、悲惨な場面は一切なく、ピンポイントな場面のみを映すようになった。

    上手くいっている映像のみを見せるようになり、世の中の人はこれを認識するようになった。

   ・ベルリンの壁についても、衛星放送により、東ドイツの人が西ドイツの放送を見られるようになったことから起きた。当時、東ドイツ

    の人が海外に出掛けたいと思うようになっていた。そのような時期に、報道の人が間違えて、外に出られるようになったと発表した。

    東ドイツの人は東ドイツの放送は見ても検閲があるので、信用していないが、西ドイツの放送を聞いた人たちが一斉にベルリンの

    壁に向かった。警察は準備が出来ていなかったので、そのままベルリンの壁が崩壊した。

   ・アラブの春でも同じようなことが起こった。若者が店を出そうとしたら、婦人警官に賄賂を要求され断ったら、品物を取り上げられた。

    警察に訴えたが、駄目だったので、焼身自殺した。友人が焼身自殺をすると聞いて、その様子を撮って、Facebookに投稿した。

    しかし、Facebookを見る人は少なかった。しかし、アル・ジャジーラが衛星放送したので、アラブ世界全体に流された。抗議のため、

    金曜日の集団礼拝の後に集まることにしたので、たくさんの人が集まり、アラブの春へと発展した。チュニジアは上手くいったが、

    シリアは上手くいかず、難民が出るようになり、スマホで大きく動いていった。

   ・活版印刷、ラジオ、テレビ、スマホが出来ても、こんなことになるとは思っていなかった。開発者と違う使われ方をして、世の中を

    大きく変わってきたことが見て取れる。最近は、ムーアの法則のように、加速度的に広がっている。昔、ポケベルが出てきて、会社

    員
は何処にいるのか報告するようになったが、記者は、ポケベルで連絡がくるようになり、これまでの会社に何処にいるか連絡する

    ことから解放されたと思った。ポケベルが鳴ると、公衆電話で連絡していた。携帯電話が出てきて、働き方が変わった。これから

    先の技術の方向は分からなくなった。技術の日産で売っていた時、トヨタが出していたSUVに新しい技術がないと対応しなかった。

    また、アップルがiPODiPADiPhoneが出てきたが、それらを分解しても新しい技術はなかった。新しい技術がなくても、お客様が

    あったらいいなと思うものは伸びていく。しかし、あったらいいなと思うものがなかなか分からない。製品が出てきて分かる状況である。

    あったらいいなと思うものは、既存の発想ではなく、新しい発想から出てくると思う。

 (質疑)青野社長:当社の製品は社内の情報共有のために作ってきたが、仕事の情報をクラウド化していくと、会社の枠を越えること

            が出てきている。更に、会社の情報ソフトが地域の情報に拡がっている。どのように考えたら良いか悩んでいる。

      池上様:ワープロが出てきて、パソコンに変わっていった。更に、スマホに変わってきている。最近ではスマホでテレビを見る

           ようになり、2極化が出ている。ツイッターでは社会的な垣根がなくなる。このような変化を柔軟に受け入れる柔らかが

           必要である。そのためには、将来予測出来ない時には、日々の変化に対応してことが重要である

 「感想」 池上さんのお話は筋が明確なので、まとめ易かった。言っていることは何となく分かるが、技術者から考えると

      どのように取り組むべきかが何となく分からない感じになった。