アートの経済学:アジア現代アート市場の最近状況
1.アートマーケットの仕組み
・これまでは美術館が今後残すべき作品を決めて、保存するため、作品の評価を指導してきた。しかし、アジアの
マーケットでは香港のクリシティーズというオークションが指導的な立場で牽引している。欧州では、美術館や
ギャラリーで作品を紹介して、マーケットを形成しているが、アジアでは、日本を除くと美術館などはない状況で
あるため、オークッションが中心になっている。中国の市場はオークションから始まっているという感じである。
・アジアの市場規模は5兆円規模になっており、中国が33.7%、アメリカが33.72%となっており、中国が伸びている。
アーティストトップ500では、4割が中国人となっているが、欧米が評価する人とマーケットが評価する人が違って
いる状況である。貧富格差が大きいところにコレクターが多い。例えば、マレーシアでは5〜6人のコレクターが
マレーシアの作品すべてを買っている状況となっている。インドネシアではもう少しインタナショナルな感じである。
・投資的な需要が強いのは中国が多い。中国では美術の楽しさというよりリスク分散と考えて買っている面が強い。
台湾ではグローバルな視点で欧米や日本に売っているコレクターがいるが、これらの人はマーケット寄りになると
価値が下がると考えている。中国は戦略的に中国の作品の価値を上げる取り組みをしており、最近は美術館を
作って、価値観を作り上げるというイメージがある。
2.日本は何故市場が小さいのか
・日本人が美術を買うのは、第1位が自分で持っていたいということ、第2位は住居に飾ることである。資産と考える
のは第6位で数%である。中国は昔、欧米の人が買ったので、自分の国の作品を守るために、戦略的に価値を
上げている。香港やシンガポールでは外貨を稼ぐために、積極的に取り組んでいる。シンガポールは国が指導
して取り組んでいる。香港は後ろに中国があり、アーチストは一杯いるので、国は放置している状況である。
しかし、シンガポールは人を集める必要があり、国が積極的に取り組んでいるが、自由さは少ない感じである。
韓国は格差が大きく、お金持ちがステータスとして美術品を買っており、一部の人に握られている状況である。
アジアのマーケットは、欧米と華僑ネットが台頭してきたところにインドネシアやアフリカが出てきている状況である。
・日本では美術家がギャラリーに属することが増えている。欧米を追っかけてきた日本が、自国のアーチストをどう
育成していくか考える必要がある。日本には大きなオークションはなく、香港やシンガポールには追いつけない。
・アートフェア東京は、東京ならではのフェアにしていく考えになってきた。日本国内で光が当たっていないものを
掘り出して行く考えになってきた。売上も10億円位の増加した。海外では数百万からの製品しか出品していないが、
アートフェア東京では5万円くらいのものもあった。古美術も色々出てきた。百貨店や日経なども参加している。
アートフェア東京は古美術や近代アート、現代アート、工芸品などがミックスして面白い形になってきたと思っている。
・日本は買うのが好きで、各地域の美術館などが沢山美術品を持っている。中国の貴重な美術品も沢山持っている。
日本中にある美術品が整理されていないので、集めて整理して展示できるようにすることが必要と考えている。
「感想」
最近、IT分野でデザインが重要な役割をするようになったので、アートの市場や経済はどのようになっているか
聞きたいと思った。内容的には分からないことが多かったが、知らない分野の話だが、面白かった。