イノベーションで差をつける 三菱ケミカル 小林社長
・来年4月に経済同友会の代表幹事になる予定である。同友会は政治的に中立であるということだが、是々非々だと考えている。
経済成長を直す基本は起業であると考えている。政治は日本国を考えていく必要があるが、企業はグローバルで決算出来る
のだから、どこの国でも良いことが異なっている。政治は選挙に勝てないといけないので、基本は日本である。政治は、消費税
を1年半延期して、特別な制約をつけないで、選挙に持って行く力を持っている。企業はこのようなことは出来ない。
小林社長としては、2020年にプライマリーバランスを持って行くには、消費税を延長しない方が良かったと思う。来年の8月に
ストリーを作らないといけないので、大変だと思う。収入が減るのだから、支出を抑える必要が出てくる。
・持続可能性の危機として、以下の10項目があり、順位をつけて対応できる赤字のところから取り組んでいる。
@ 主要国の財政危機 A 構造的な高失業率/高不完全雇用率
B 水危機 C 極端な所得格差
D 気象変動の緩和/適用の失敗 E 異常気象の頻発(例、洪水、暴風、火災)
F グローバルガバナンスの失敗 G 食糧危機
H 重要な経済メカニズム、制度の崩壊 I 政治、経済の重複不安定化
・これからは差異化の必要性が高まってくる。
LED、Liイオン電池、SI太陽電池 : デジタル化、モジュール化が進む中、他と異なる競争力、価値の創出が必要である
モノつくりからコトづくり : 農業、製造業、サービス業+ICTで、モノだけでない、コトを作っていくことが必要である
Hyper-Connectivity : インターネット、ITを使って、ビックデータによるサービス化がポイントになる
・事業では、最も強いところは隠しておき、弱いところは他と手を組んでいくべきである。イノベーションはどんなに早くても10年
以上はかかるので、直ぐに成果が出る差異化が当面は必要である。IoTなど色々と言われているが、これらはすべて端末に
なる。そのため、人工知能等を取り組み組み込んでいった人が将来目立ってくるようになる。
・誰にでも出来ることは真似されるため、早くする必要があるのに、これまでは自社ですべてを行うということで遅れていた。
今までは、ビジネスモデルが旧態依然としていたので、敗けた。早くするには、他の知恵を借りすしかない。そのため、産総研
や大学と手を組むしかないと思う。
・ヘルスケアプリケーションとして、シックケアからヘルスケアを目指している。株式会社生命科学インスティートを2014年4月に
発足した。血液などを自分で採取して、送ると検査して健康状態を知らせることにより、従来は病気になってから治療する
シックケアであったが、病気になる前にヘルスケアを出来るようになった。これにより、医療費を大幅に削減できると考えている。
今後、産業化する領域としては、予防医療、先制医療、個別化医療があり、効率化する領域としては、在宅医療、遠隔医療、
再生医療がある。血液検査により15種位は分かるので、ヘルスケアが出来るようになった。三菱ケミカルは液体を分析する
のに、強いので、血液も液体であるので、血液解析に取り組むことにした。
・2020年にプライマリーバランスを実現するには、入ってくるものが足りないので、出ていくものを抑えるしかないと思う。
アベノミックスはロボテックス、ヘルスケア、ICTを使ってやっていくことは明確にしている。更に、国民背番号制により、
行政を効率化すると言っている。政府が言っても効果が出ないと駄目なので、地方と手を組んでいく考えである。
Q.サラリーマンは何をするべきか?
A.休日などを使って、もっと勉強していって、生産性を上げるしかないと思う。
Q.経済的な幸せとはどのように考えるか?
A.食べるものも豊かになり、お金もそれなりに貰っているので、今、やっていることを楽しくすることであると思う。
Q.わが国は何故国内志向になっているのか?
A.若いうちに世界に出ていくことが必要だと思う。外国に行くと、幸せの代償であるということを強く感じる。
先日、中先生に呼ばれてスエーデンのノーベル賞の授与式に行ってきた。ノーベル賞というのは素晴らしいビジネス
モデルだと思った。表彰されるのは10数人であるが、国王が表彰し、パーティに参加している人はスエーデンの人が
千人以上集まっていた。国をあげての大掛かりなお祭りという感じだった。
C.小林社長は逆算で経営をやってきている。30年先から逆に見ていて、今何をやらないといけないかを考えている。
「感想」小谷さんと対話の中で小林社長がお話をするという形式で進められたので、まとめると何となく分かり難くなった。
しかし、小林社長の話は非常に面白く、感心するところがたくさんあった。特に、持続可能性の危機という項目を
リストアップされたのはなるほど思うことが多かった。質疑も面白い回答で良かったと思う。