Orchestrating a brighter world 世界の想いを、未来へつなげる   NEC 遠藤社長

 1.ICTが生み出す価値の源泉

    ・人と地球にやさしい情報社会をイノベーションで実現する必要がある。2050年の地球は人口が70億人から90億人に

     なり、都市部は35億人が63億人になると言われている。そのため、エネルギーは現在に比べて1.5倍が必要となり、

     食糧は1.7倍に、水は1.6倍が必要になる。日本の人口は12千万人が8千万人になる見込みであり、現在の70%

     になるが、現在のインフラを支える必要がある。地球規模では2倍の要求に対応できるインフラを効率的にする必要
     が
ある。日本も現在の60%の人口で支えられるインフラを実現する必要がある。

    ・安心・安全をICTが支えていくことになる。NECでは新しいブランディングの言葉“Orchestrating a brighter world“を

     考えた。社会価値創造の7つのテーマを策定した。@ 地球との共生を目指すSustainable EarthA 安全・安心な

     都市と行政基盤を作るSafer Cities & Public ServicesB 安全で高効率なライフラインを生みLifeline Infrastructure

     C情報・知識を連鎖させるCommunicationD 産業とICTが新結合するIndustry Eco-SystemE 枠を越えた多様な

     働き方を創造するWork StyleF 個々の人が躍動する豊かで公平な社会を実現するQuality of Lifeである。


 2.
ICTが生み出す新たな価値

    ・ICTが生み出す価値の源泉は、リアルタイムとダイナミック、リモートである。有効な情報を活用することで価値を提供

     する。情報の分析、推測、予測、対応することを行うが、予測と対処をリアルタイムにダイナミックにやることになる。

    ・リモート性について考える。ロボットを考えると、ロボットはセンサを持ち、判断するが、ロボット内ですべて行う必要は

     なく、データをサーバに送ってサーバが予測、対処することが可能となった。3Dプリンタでは脳と行動が分離している

     ので、モノを作りたい時、ソフトウェアを伝送路で送ると海外でも作れる。リモートが医療分野に入ると出先サービスが

     都会でも、島でも、同じようにできるようになる。

    ・リモート性は伝送路が大きな役割を果たす。海底ケーブルは20年で20倍になり、ワイヤレスは10年で10倍である。

     コンピュータパワーは1990年から2013年は性能が500倍になっている。ソフトウェアはコンピュータシステムのパワー

     としては57万倍になった。これらの技術を生かすことでリモート性は大幅に進むと考えられる。

    ・ダイナミック性は、情報の分析、見える化、予測をする必要があるが、コンピュータとソフトウェアの力が必要であり、

     リアルタイムに処理する。ネットワークにつながる端末は43億台である。IPアドレスでは100億台になっている。ネット

     ワークを流れる情報は2013年には4.4GBであるが、2020年には44GBになり、10倍になる。しかし、データの5

     しか有効に使われていない。情報を有効に使うことが今後の課題である。

    ・ビックデータの価値には2つあり、@データが大量に集まることで出てくる価値、A長い間、蓄積されてきたデータの

     価値がある。沢山のセンタのデータを集めて相互関係を見ることで、暗黙知が明示知になる。非常に沢山のセンサー

     からのデータを集めて分析すると、大規模なシステムの総合的な稼働状況や故障の予測が出来るようになった。

    ・長い期間に蓄積されたデータを活用した例としては、将棋がある。これまではアルゴリズムを作って予測する

     ソフトウェアとして提供してきたが、部分集合体では全体を見ると誤差が出てくるため、プロに敵わなかった。

     過去のデータをすべて参考にして演繹的、帰納的考えを取り入れた結果、プロ棋士に対応できるようになった。

     医療でもすべての医者が名医になれないが、ビックデータに問い合わせることにより、医者をサジェションする

     ことで名医に近づくことが出来、高度な医療をできることになる。


 3.価値創造を支えるNECICT

    ・NECが持つ技術に何があるか考えて、NEC神奈川データセンタを作った。1万uのスペースに3000ラックを

     搭載している。1ラックに704サーバを格納することが出来る。これにより、NECクラウド Iaasを作り上げたいと

     考えており、明治フレックスで利用が始まった。コンピュータを最大限に使い切る高並列処理技術を考え出した。

    ・ネットワークはリアルタイム性が求められるので、ハードウェアで対応していたが、SDNはデータそのものを見て

     判断して対処することにより仮想化できる。ネットワークをソフトで処理するようになり、多数のネットワークを

    仮想化して1つに出来るようになる。帯域をダイナミックに変更できるので、災害に強いインフラが出来る。JR

    日本の東京駅の構内共通ネットワークを実現した。オペレーションコストが下がり、柔軟性が出来るようになった。

   ・ビックデータの分析では、データを集めて分析して価値を作りだせる。NECは顔認識を30年やってきて、相関関係

    をとってきた。NISTでの顔認識技術のベンチマークテストで最高の性能を出している。


 4.NECが取り組む7つの社会的創造テーマ

    異種混合学習技術で、システムの変化や異常を早期に検出できる。例えば、中国電力の島根原子力発電所で

    有効性を確認している。4千のセンサーからのデータを分析しており、7日前に異常が分かるようになった。

    すべてのデータを場合分けして、全体を見ることが出来るようになった。NECフィールディングでは棚卸し部品を

    20%くらい削減した。大林組ではビル電力需要予測により、電力のピークシフトが出来るようになった。

   ・ソフトウェアはどこまで出来るようになったかを示す例として、画像データ処理が良いと思う。画像、映像情報を

    ベースにしたセンシング技術が進んでいる。GAZIRUというソフトウェア技術は、モバイル端末からの画像データ

    を様々な画像を形状などの特徴から高精度に分類し、画像認識できるようになった。顔認証技術はユニバーサル

    スタジオの顔パスに使われている。また、ワンカメラでスピード感や速度を図るようにした。

   ・NECは経済活動、働き方、生活を豊かにするため、ICTを活用して安心・安全・公平・効率的な社会を目指していく。

    また、皆様にリアルタイム、ダイナミックを進める技術を提供する考えである。

 「感想」遠藤社長はたくさんのことを短い時間に説明したいという感じだったので、分かり難いところが多々あった。
     そのため、NECの資料を参考にまとめてみた。論理的でない部分もあるが、出来るだけ聞いた感じの内容を
     まとめてみた。NECではリモート、ダイナミック、ビックデータ技術に注力する感じであった。