ビジネスと社会のインフラとしてのクラウドが創造する価値

ソフトバンク 孫正義社長      .

1.ソフトバンクのロゴ

   ・孫さんは海援隊に信奉しているので、海援隊の旗印をソフトバンクのロゴとした。海援隊は海外のものを積極的に

    取り入れて、日本を急速に発展させた。 ソフトバンクはオラクルの日本の最大ユーザである。

    日本を愛する人は日本の製品のみを使うことのように考えられているが、オラクルも海外の製品かも知れないが、

    世界で最も進んだ技術を使い、日本で最も進んだものを作ることが日本を愛することではないかと考えている


2.ソフトバンクの
30年ビジョン

   ・新30年ビジョンでは、クラウドを人類最大の資産にしたいということにした。ソフトバンクのグループ会社としては

    1000社あるが、すべて会社をクラウドにする予定である。

   ・30年先のビジョンは難しいので、300年先の世界を考えることにした。脳細胞は300億個のニューロンがくっついたり、

    離れたりしている。1チップのLSIが脳細胞を超える時期を計算すると2018年になった。2018年を過ぎると1チップが

    人間の脳細胞を超える。300年後は1垓(ガイ)の3乗個になる。1=1兆×1億である。

    この時期になると人間の脳が得意としたことを脳型コンピュータで実現するようになる。今までのロボットは人間が

    教えたことのみをやっていたが、知的ロボットが実現する。人間に優しいロボットが実現する。原発の事故対応の

    ように、人間では解決できないことを実現するかも知れない。テレパシーが人と人をつながる世界が実現されるかも

    知れない。平均寿命は200年になるかも知れない。このようなことを考えると30年後の世界はシンプルな世界である。

    情報のビックバンが始まったばかりである。

    CPU30億から100万倍の300兆になり、メモリは32GBから100万倍の32PBになる。通信速度は10Gbpsから300万倍

    3Pbpsになる。3万円端末は、現在の音楽1.2万曲から5000億曲になり、新聞は6年分から3.5億年分になる。

    超高速ネットワークがあらゆるものがライフログとして管理できるようになる。そのため、あらゆるものに、チップが

    つけられるようになる。教育も医療も、ワークスタイルも決定的に変わると考えられる

3.ビックデータの活用

   ・5年間でデータの通信容量は60倍になっている。音声のトラフィックは5年間で1.3倍しか増加していない。

    ソフトバンクはデータ通信を扱う事業を目的としてきた。それも無線で通信する事業に重点を置いている。

    次の5年でもデータの通信量は60倍になると考えている。ビックデータから宝を見つけるためには、ビックデータを

    科学的に分析する必要がある。ソフトバンクではビックデータを宝とするために、自分自身で活用してみた。

   @電波の改善

    ・ソフトバンクではパケット接続率を調査した。より少ない設備投資で、より早く、No.1のパケット接続率を実現した。

     すべてのアプリ通信ログ、1.9億件を調査して、3社のパケットがつながったかどうかを調べた。

     すべての地域で、30分後、移動した時には、その時点で、接続状況を調べ、10秒間接続しない場合は通信不可

     として、接続率を調べている。このデータを見て、どちらに投資するかの判断に使い、投資効率を上げている。

     このデータを調べて、他社より劣っているところに、基地局を設置しており、他社より接続率が良くしている。

    ・この結果、全国の平均でソフトバンクは96.7%、ドコモが96.2%KDDI96.0%となっており、一番良くなった。

     都市部や地方、主要駅など、時間毎に、調査して、他社より遅れているところに基地局を設置し、改善している。

     iPhone5についても、全国ではソフトバンクが97.6%、KDDI95.9%となっており、ソフトバンクが良いことが分かる。

     iPhone5LTEエリアでの比較も行っている。効率の良いLTEを利用しているか、既存のPDCを利用している

     これらのデータから調べて、設備の改善を行い、KDDIより効率的にサービスを実現することが出来ている。

    ・ビックデータを解析することが出来た成果である。時間帯別のパケット接続率も調べると、朝の時間帯でドコモに

     負けている地域が分かったので、改善している。ソフトバンクでは頭を使って投資するから、効率的に投資できる。

   Aツィート解析

    ・孫さんはツィータを積極的に使っており、孫さんのフォロワーが非常に多い。お客様に電波改善の実感があるか

     に関する8200万件分のデータを解析した。自然言語解析により、感情のポジティブとネガティブを分析している。

     孫さんは、この分析の結果をお客様満足度向上に活用している。

    ・インターネットで最初に選挙に勝利したのはオバマ大統領である。これからは選挙でもインターネットの情報を

     自然言語で分析するようになると考えている。

   B行動ターゲティング

    ・Yahoo Japanでは月間500億ページビューの行動履歴を分析している。その結果、効果的な広告を出すことや

     ピンポイントで広告を出したいと考えている。

    ・スマホの乗り換えキャンペーンでは、ソフトバンク以外のユーザに絞り込んで広告を出している。電子クーポンを

     使った結果、当初目標の2.5倍の集客を実現した。ソフトバンクの純増No.1は頭を使っているからである。

  ・ソフトバンクの最大の資産は、ビックデータ+科学的検証 であると考えている。

   情報革命により人々が幸せになることを目指している。

  
 [感想] 孫さんの話は非常に迫力があった。このようなデータの分析は各社とも実施していると思うが
      成果を数字につなげているソフトバンクは面白いと思う。昔ならNTTがこのような話をするのに
      時代が変わったのかと感じた。