日本経済の新たなビジョン デフレ突破 第三次産業革命に挑む-   NTTデータ 斎藤精一郎所長

1.日本経済の低迷

   ・最近は日経平均もダウも大幅に高くなっている。阿部首相が出てきて、みんなが大いに期待するようになってきた。

    経営的な“うつ状態“から”そう状態“になりつつある。小泉首相の時を考えると、株価は7000円から2倍になった。

    2000年だけでも40%も株価が上がっている。それで、日本は復活したと考えて、日本政府が景気対策を止めたら、日本

    の景気はガタガタになった。景気が良くなったため、企業は事業体質の改善をせず、従来のまま投資してしまった。

   ・2003年にBRICという言葉が出てきた。2005年頃にはBRIC’が大きく成長した。リーマンショックで日本の供給過剰

    も人員過剰も表に出てきた。しかし、不良債務問題があり、日銀が悪者にされた。

   ・日銀の政策は現実にはまだ動いていない。期待感だけである。金融だけで本当に回復するのかという話が出てきて

    いる。今年は財政も100兆円が出てきている。財政的な取り組みは今年だけである。来年は増税がある。

   ・日本企業の競争戦略は変わったのか良く見えない。日本の事業改革が打ち立てられるかが重要になっている。

    事業のスクラップ&ビルドが必要である。小泉首相の時期にアップルはiPhoneを出していた。サムソンが競争製品を

    出してきた。しかし、日本の企業は旧来型の設備投資を行い、事業構造を変えることが出来なかった。

    今回も日本の企業の事業改革が出来なかったら、また、急速に悪化することになると考えられる。

   ・日本の株価は最も高い時に比べると1/4から1/3に下がった状態であるが、世界では45倍になっている。給与は

    下がっているたけである。そのため、日本としては、実質成長率は2%は必要であるのに、0.7%と低調である。

    金融対策が足りないと言っているが、マネーは出ているが、需要が伸びていないのである。このような状況を考える

    と金融が原因ではないのではないかと思う。少子高齢化により、国内マーケットは急速に小さくなっている。そのため、

    企業は海外に出ている。何故、日本の家電は負けているのか、その理由は競争力がなくなっているのである。

    プライベートブランド等でも低価格戦略が進んでいる。直ぐ真似が出来る製品を作っていては競争力は強くならない。


2.日本の企業の事業構造を変えないといけない

   ・金融対策も必要であり、やる気を出すことも良いが、給与を上げることが根本である。競争力をつける必要がある。

    独創的な製品を出していく必要がある。多くの企業が真似される製品ばかりをだしている。真似し易い製品は賃金   

    の安い国の企業が作くるため、 競争力を強く出来ない。今の日本で競争力のある製品は自動車とカメラだけである。

    アメリカの製造業は他の国に真似出来ない製品が多い。新興国が真似出来ない製品を作ることがポイントである。  

    もう一つはオープンかどうかである。組織をオープンにして、競争力をつけていく必要がある。

   ・製造業は終わったと言うが本当か?

    iPhoneは未熟練者が作っている。それを実現するためには、製造するための工作機械をアップルが作っている。

    高度な製造業には、周辺に新しいサービス業や製造業に波及させることが出来る。製造業があるからこそ新しい

    世界を作っていると言われている。高度な製造業が周辺の儲ける企業を作っている。

   ・日本は、ハードとソフトが依存する関係にする必要があることを忘れている。

    新しい製造を支える高度な人材を育てること、集めることが必要である。日本だけで探すので良い訳ではない。

    このように見てみると第三次産業革命が起こっていると思われる。第三次産業革命はデジタル&ウェブである。

    製造業の復権が起これば、流通業やサービス業にも波及していくと考えられる。

   ・二つ目の戦略は、海外戦略を経営の中心にしていかないと生き残れない。その理由は以下の5点である。

    ①賃金格差は将来とも残る。最近は中国の賃金が上がっていると言われているが、中国が高くなると、ミヤンマー

      など次々と賃金の安い国が出てくるため、賃金格差は残ると思う。サービス業は上流化し、製造業化している。

    ②国内マーケットは縮小していくが、海外のマーケットが大きくなっている。海外に直接投資して、次の事業転換を

      考えるべきである。

    ③キャッチアップで出来た技術は真似されるが、新興国ではそれらの技術が必要となっている。キャッチアップされて

      日本では必要性がなくなった技術は、新興国では製造に活用でき、且つ儲かるものである。

    ④新しいところに出ると新しい出会いが出来る。それに伴い、新しい結果が起きる。

    ⑤日本の海外投資は遅れ過ぎている。考え方を変えないと駄目だ。1900年代のキャッチアップが上手くいったので、

      国内ですべてを行なうような閉じこもる感覚になっている。もっと、海外に目を向ける必要がある。

   ・新しい事業構造のポートフォリオを作ることが必要になる。

    市場環境が大きく動いており、事業構造を変えないと駄目だ!


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感想]

   ・小泉時代の反省とこれから取り組まないといけない課題を説明してくれたので、分かった感じがした。

    しかし、具体的な内容や取り組みになると、じっくり考えないと理解し難い感じであった。