チーム力を最大限に導くプロフェッショナルの行動力とコラボレーション
ソニーコンピュータサイエンス研究所 茂木健一郎様 、
1.スティーヴ・ジョブスは最大のイノベータ
・スティーヴ・ジョブスはプログラムを作らなったし、ハードも作らなかった。職場を歩き回ってみんなを引っ張っていった。
ステーブは米国のイノベーターの中で最も偉大な一人であり、いたずら心を持ち、既成のルールを書き換えていった。
・ステーヴ・ジョブスは散歩することに興味を思っていた。重要な判断をする時に散歩することは脳科学的に意味がある。
歩くことで脳には、禅と同じ効果のある歩行禅ということが起こり、脳の中心部分の「デフォルト・ネットワーク」という
部位が活性化する。デフォルト・ネットワークは、感情、運動、記憶といった脳の重要な部位を繋ぐ役割を果たしている
が、何もしていない時に働くことが面白い。
現実社会について考えていないアイドリング状態の時に、脳はメンテナンスしているのではないかと思われている。
・散歩している時は脳はリラックスしている。脳の活動が止まっているのではなく、ランダムな情報を無意識に処理して
いるのである。ステーヴ・ジョブスが一人で歩きながら、アップルの将来を考えたり、判断しているのである。
・何か重大な決定をしようとする時に、どうしても資料に頼ったり、ネットワークにつながっていようとする。でも、本当に
大切なことは、自分の心の中で起こっている。あるいは、相手の心との響き合いの内に、一緒に歩くことで、その響き
合いの中に耳を傾けることができるのである。
・「歩行禅」という言葉があるように、歩いている時に、人の心は空っぽになる。心を惑わす小さなことは消えていって、
本質的なポイントだけが見えてくる。このために、ジョブズが歩きながら重要な分かれ道を選んでいたのだと思う。
・「魂の探究」(soul
searching)という言葉がある。自分は、そもそも何を夢見て、こんなことをやっているのか。
これからやるべきことは何か。そんな探究の舞台が、ジョブズ氏にとっては「散歩」の時間だったのだろう。
・人柄というものは、ほんとうに小さなことに表れる。重要な決定をする時に、立派な建物の中の机に座るのではなく、
郊外の気持ちの良い空気の中を散歩することを選ぶという点に、スティーヴ・ジョブズの本質が示されていると思う。
2.イノベーション
・偶然の幸福を掴むというが、偶然を幸福にする時の能力である。偶然をイノベーションにつなぐには、@行動すること、
A気づき、B受け入れること、の3つである。
@秋元康さんは、常に何かをやっている。幸運は常に行動している人にしか訪れない。成功するためには、目的に
向かって、何んでも良いから行動することである。じっとしていても、幸運は向こうからやってこない。行動するのに、
特定の目的や理由は要らない。とにかく行動することで、確率的、偶然的出会いのイベントが演出されるのである。
A行動する中で、さまざまな出会いがある。自分が出会ったものの存在、意味に気付かなければならない。
・気付くためには、自分の周辺視野にあるものに目を配る必要がある。今自分が目的としていることばかりに気をとられ、
他のものに目を配ることができないと、偶然の幸運を取り逃す。何か特定のものに「居付いて」しまってはいけない。
・脳は気づかない!テレビ番組でも行っているように、人間は視野の中で大きな変化が起こっていても脳は気づかない。
ごく当たり前の現象の中での変化にも気づかない。周辺視野が大事であるが、集中していると見えない。
・全体を柔らかに見ていると、気づくことが多い。最大のパフォーマンスを上げるのはフロー状態であると言われている。
フロー状態とは、集中しているけれどもリラックスしている状態であり、努力することなく自然に、脳や身体が最大の
パフォーマンスを発揮できると言われている。フロー状態で成果を上げるにはスキルを上げることである。
・集中と緊張は違う。緊張してしゃちほこばっている状態を「集中している状態」と勘違いしているが、これは違う。
集中しているがリラックスしている時は、変化に気づき易い。脳が最も創造的になっているのはフロー状態にある。
Bイノベーションは従来のルールを破ることが多い。インターネットも当初は届いたかどうか分からないので、メールは
使えないと言われていた。ソフトウェアのダウンロードもパッケージがないと駄目と言っていた。
・受け入れるのが難しいのは感情の問題である。これを飛び越えた人がイノベーションを起こせると考えている。
・新しい出会いは、自分の人生観、価値観を変えるものが多く、受容して変化する勇気がなければ意味がない。
大きなイノベーションを起こせる人は、小さいイノベーションを沢山起こせる人である。
・このように、行動、気づき、受容が三要素となる。人生を変えるような大きな出会いは滅多にないが、この三要素を
サイクルとして毎日回していることで、いつか自分に訪れる最良の機会をつかむことができるのである。
3.チーム力
・チームでどう能力を発揮するかということは、脳科学で大きなテーマになっている。アメリカのシリコンバレーでは個人
の能力でやっていくのではなく、人のつながりによってやっていくことが強い。友達のネットワークが拡がっていく。
・MITでチームの能力を立ち上げるにはという研究をしている。チームが能力を発揮するのは、チーム全員が能力が高い
こととか、リーダーの能力が高いということではない。メンバーの変化を気づくレベルが高いメンバーを集めると効果が
高いことが分かった。ソーシャル・センシビリティー:これはメンバーがお互い何を感じているか? 何を考えているか?
今どういう気持ちなのか?そういうことに対する感受性のことで、集団の能力と一番関係があるということが分かった。
お互いにチームのメンバーが感じていることを理解する能力が高いことが大事である。明確にはなっていないが、何と
なく問題があると感じているとか、全体の意思疎通や士気が下がってきたとか、ということを理解することである。
・日本人は他の人の気持ちを捕まえることが得意であり、日本の競争力を強化するには、ここがポイントであると思う。
しかし、日本人は近い人のセンシビリティーは高いが、少し離れた人への感度は低いので、ここを改善する必要がある。
[感想] 脳科学者の茂木さんのお話は面白い感じがしたが、内容は分かったような感じはするが、具体的に何を言っているか
と考えると、もう一つ分からなくことが多かった。言葉の意味もはっきりしない部分が多く、インターネットで調べながら
まとめることになった。