インフラで未来を支える
〜“人が生きる、豊かに生きる”ための社会価値創造を目指して〜  
NEC 遠藤社長

 1.世界の動向と今後の取り組み

   NEC4月に中期計画を作ることにした。その中期計画で、人が生きる、豊かに生きるための社会価値創造

    目指してということをテーマとした。ICTの技術がますます重要になってきた。これまでのNECの経緯を振り返る。

    @小林社長が最初にC&Cの重要性を宣伝した。21世紀の初めにはいつでも、どこでも、誰とでも目指した。

    AITとネットワークの技術が飛躍的に進歩した。ネットワークは千数百倍になり、CPUやメモリも進歩した。

    これらの能力を使い切ることにより、新たな価値を作ることが出来ると思う。

   ・世界を見ると、人口は70億人であるが、2050年には人口は30%増え、都市化率も30増える見込みである。

    その時にはエネルギーや水、資源などのインフラが今と同じくらいの規模で必要になってくるが、今のままでは

    対応することは出来ない。そのため、ICTを使うことが大切になってくる。ICTを使い切ることで新たな価値が出て

    きて、ICTによる社会インフラの高度化に貢献している。このような取組みはNECだけでは実現することは難しい。

    最も大事なことは利用する人との協業により、必要なインフラを作り出すことである。

   ・ビックデータについては、今ある大量のデータを分析しておき、これから出てくる大量のデータの中からルール

    や関連性を見つけて、ビジネスにつなげていくと考えている。ビックデータの分野では、大量のデータを集めて、

    分析し、価値あるものにしていく必要がある。

 
 2.
ICT活用の変化

   ・これまでは、ICTは効率性のために使われてきた。そのため、CIOの人達が貢献してきた。最近のICTは新たな

    事業やビジネスを作ることが出来るようになってきた。CIOの人が貢献する分野が拡がっていると思う。

   ・CIOCEOの人がICT注力する必要が出てきたと思う。ICTの価値創造により、ビジネスがある段階で飛躍的

    に成長するようになり、不連続なビジネス遷移が起こると思う。

   ・ICTを通して生まれる価値としては、高効率性、新価値の創造、安定性などがあり、リアルタイム、ダイナミック、

    リモートがポイントとなる。不連続な価値遷移を与えるICT革新として、データ利用の価値に2つの側面がある。

    一つはプラットフォームが作る価値であり、もう一つはデータが作る価値である

    ロボットの重要な部分はバッテリーである。それにセンサーである。データをサーバに送って処理すること

    可能性が出てくる。リアルタイム、ダイナミック、リモートによりクラウドを使い切る必要がある。

    その先のことを考えるとキャパシティが不足する。

   ・過去のデータの流れとどこが変化しているかを見つける。これICTを使い切る技術により、病院や流通など

    効率化とそれに向けた分析が出来るようになっている。

 3.プラットフォームの技術革新

   ・ネットワークとしては、SDNによるダイナミックなITネットワークの最適化にNECは取り組んでいる。SDNでは

    これまでハードウェアでやらなければならないことを、ソフトウェアで出来るようになった。SDNの可用性により

    流れているデータや情報を分析して、最適なネットワークを柔軟に短時間で実現できるように出来る。

   ・災害などにより必要となる帯域が変われば、SDNの瞬時に切り替える技術により、災害に強い社会インフラ

    を実現することが出来るようになるなど、SDNにより、ICTの社会インフラを実現する。


 4.大量データから生まれる価値

   ・データから生まれる価値には2つある。一つは沢山のデータを集めることによって出てくる価値である。

    例えば、沢山のワイパーの動きのデータを集めることで、沢山のワイパーが早く動いている地域には雨が

    強く降っていることが分かるように、どの地域にどれだけ雨が降っているかが分かるようになることである。

   ・もう一つは膨大な過去のデータによってアルゴリズムを推定して、ある方程式を見つけたり、法則を見つける

    ことがある。最近では、データの関連性を見つけて、法則を見つけ出すことが出来始めた。大量のデータを

    そのまま使うことで精度の高い法則性が見つかる。例えば、匠の技は、沢山の経験から何を使えば良いか

    を見つけている。最近、将棋の対戦でビックデータを分析することにより、匠に近づくことが出来たと思う。

    今後、医療の分野では、ビックデータが使えるのではないかと考えている。

   ・1つのセンサでいくつの情報が取れるかとか、消費電力が重要ようになるかなど、センサの小型化、軽量化、

    省電力化がポイントになる。しかし、センシング技術が持つ学習能力により、新たな価値が出てくる。

    例えば、人の動きの理解により、安心や安全を実現できる。センサに学習能力を持たすことにより、異常や

    危険の早期発見が出来るかも知れない。人間のパターンを学習することにより、新たな価値を読み取れる。

    センサに学習能力を持たすことにより、1つのセンサにより有用なデータを取り出すことが出来るようになる。

   ・ちょっと先を予測することに対応することで安定化が実現できる。基本的で本質的なことを予測することで、

    世界のトップレベルの技術を色々な分野で実現している。中国電力の島根原子力発電所では、毎秒沢山の

    情報がセンサから出てくるが、過去の沢山のデータを分析して状況を整理することで、出てくる情報を瞬時に

    分析して対応できるように中国電力の人と協力して実現している。

    更に、異種混合の学習として、色々なデータを組合み合わせて関連性を見出すことの開発に取り組んでいる

   ・目指すターゲットを決めたら、使えるのではないかと思う。周辺環境や条件をどうすれば良いか考えたい。

    データから法則を発見しても、関連性はNECでは分からない。お客様と一緒になって実現するようにしたいと

    思う。その分野で高い専門性を持つ人(ドメインナレッジ)とNECが相互に協力して真の価値を作りたいと思う。
 「感想」
   NECの遠藤社長が早口で熱心に説明されており、分かり難いところも沢山あったが、楽しくお話を聞くことが出来た。
   遠藤社長の話では、NECは今後要望される社会インフラを実現するためのプラットフォームとビックデータに重点を置く。
   プラットフォームとしてはSDN技術により、お客様が必要とするネットワークを実現することに取り組む。
   データの処理としては、過去のビックデータを分析し、お客様と一緒に法則を見つけ出し、新しい価値を創造することで
   あり、このような法則を使い、リアルタイムのデータの変化を分析して、安心や安全を実現することであると感じた。
   NECらしい事業の方向になったのではないかと思う。