地球と未来フォーラム 「環境と企業」   脳科学者  茂木健一郎様

 1.歴史的な行事の継続

    ・伊勢神宮に行ってきた。伊勢神宮は20年毎に建て替えているため、世界遺産にもなっていないし、国宝にもなって

     いない。伊勢神宮は、これらの評価に対して超越した状況であると考えられる。特徴的なことは、この建て替えで

     働いている人は普通の人で、エリート集団ではなことである。更に、伊勢神宮の木材はすべて再利用されていると

     のことであり、非常にエコになっている。これが1300年も続いていることは、人の権威や能力を超えた何かがある。

    ・21世紀の環境を考える時のヒントがあると思う。人間の脳はかなりいい加減なところがある。

     ハイブリッド車はかなり走ってもガソリンが減らない。ハイブリッド車は人の運転技術による効率化を越えている。

     20年毎に遷都するには、何年も前から木を育てる必要がある。これを1300年も継続するには、突出したリーダーが

     指導しても、継続することは難しいと思う。

    ・研究室で研究に協力してくれた人に寄付を頼むと、非常に面白いことが分かる。研究室に入ってきた時に、暖かい

     飲み物を飲んだ人ほど、多くの寄付をする傾向がある。暖かい飲み物を飲み、身体が暖かくなると、人に優しくする

     傾向が強くなるようである。人間の脳は理性的でなく、身体状況により影響されているのである。


 2.環境と企業

    ・環境は一人一人の努力に頼るようでは難しい。環境問題はブルーオーシャン(競争のない未開拓市場)である。

     アップルが成長したのはブルーオーシャンであった。誰もやっていない時にスマートフォンに取り組むことであった。

     急成長しようと思ったら、ブルーオーシャンに参入することである。どんな人が運転しても安全で省エネが出来る

     車はブルーオーシャンだ。ITが上手くいくのは、オタクとヤンキーがいることである。イノベーションを起こすには、

     オタクとヤンキーが大切である。

    ・イノベーションを起こす重要なことは、アクション、気づき、受け入れることである。そのためには、周りに柔らかく、

     心を向けることが大切である。全体を柔らかく見て、何気なく気になったことにタグをつけることが大事である。

     何となく違和感があることがある。これが大切である。環境に優しいイノバベションは自分自身から出てくる。

     比叡山で千日回峰行を2度も満行した酒井雄哉大阿闍から歩行禅という話を聞いた。歩くことで、禅の境地

     になることがある。感情にタグ付けするには、居ついてはいけない。ストレスがたまる人はデフォルトメンテナンス

     が出来ていない。頭を空っぽにしている時ほど、気づきが生まれることになる。我々が全体性を感じることが、

     環境対応することになる。人間と自然、社会との因縁など、色々なことに対し全体的に感じることが必要である。

    ・相手の気持ちを感じて上げることが、効率が上がる。会社でも何となく周りの気持ちを感じる時に効率が上がる。

    ・伊勢神宮の遷都は一人一人の能力を超えたシステムの力であると思う。成果主義や能力主義でなく、みんなが

     やるということが大事である。地球の未来に向かって、大らかな気持ちでやるようにしたいと思う。

 「感想」茂木さんのお話を聞くのは面白いが、まとめるのは難しい。今回は、伊勢神宮の遷都について、130年以上続く
      システムという考えを踏まえて、環境や企業の取り組みについて説明されていて、面白いと思った。