日本の安全保障問題について 竹門会 安部さん
1.国際社会と日本
・日本国憲法は理想主義的な国作りの試みであり、非軍事、経済を中心とする国つくりを目指したものであった。
そのため、日本の平和主義は憲法と日米安全保障条約が基盤となっている。憲法9条で武力を放棄しているが、
憲法の前書きでは、諸外国が平和主義を目指していることが前提になっていることはあまり知られていない。
・日本の平和主義は次の5つの考えを基にしている。(1)平和外交、(2)国連を基本とする、(3)自由主義的なメンバー
である、(4)アジア太平洋の国である、(5)平和貢献は経済援助を行うことで対応する。
・北朝鮮は核とミサイルの開発を進めており、既に日本は射程距離に入っていることを考えて対応する必要がある。
・中国も核開発を進めてきた。中国は大幅に軍事力を強化しており、それに伴ない、国の拡大を求めている。
中国の海洋進出は日本列島とフイリピンをつなぐ第一列島線と、小笠原列島、グアム、インドネシアをつなぐ第二
列島線があり、第一列島線では米空母や原子力潜水艦の侵入を阻止し、制海権を握ることを目指している。
・米国が歳出削減を迫られており、軍事も削減しなければならないため、これまでのように海外を支援することは
難しくなっており、米国の本音としては、アジア各国が独自に対応してほしいということである。
2.日米安全保障体制
・日米安保条約では、日本と米国の双方の集団自衛権は前提になっているのに、日本が集団自衛権を守って
いないので、条約の前提を守っていないことから、米国が日本を守ってくれるかどうか分からない状況である。
・米中は米ソと異なり、米国と中国との経済の結びつきが強くなっていることと、中国がアメリカ国債を1兆ドル(20%)
も持っているため、米国が中国に強引な対応をすることは難しくなっていることである。
・中国は中華思想のもとに世界に覇権を拡げている。そのため、これまでの枠組みを壊しながら、新しい枠組みを
求めている。そのために、現実的なとりくみが出来るかの心構えを日本人に出来ているか問われている。
3.在日米軍
・在日米軍は横田に司令部を置き、3万6700人が日本に駐留している。横須賀の第7艦隊が東太平洋地域を管理
している。日本が自主的に防衛を実施するには、米軍の費用を負担する必要があり、日米同盟から自主防衛へ
の代替費用を試算すると4兆7億円になる。
4.その他
・日本のマスコミ等が、安倍首相が日本が自立することを目指すと、日本が右傾化していると言っている。
現在の日本は米国に依存して自分の国を国民が守ることをあまり考えていないので、自立することを右傾化と
言っているので、気を付けないといけない。自分の国を国民が守るのは当然である。
[感想] 外務省OBの安部さんの話を聞くことが出来て、参考になった。安部さんは何となく元気がない感じがした。
憲法に前書きに重要なことが書かれているとか、日米安全保障条約の前提など、今まで知らない話を
色々と聞くことが出来て、面白かった。しかし、このような話が世間に出ていないことが不思議でもあった。
これは官僚の問題ではないように感じた。