1.世界に挑む
・私自身が、わが社に思っていることであるが、世界に挑む、ことである。
・アベノミックスということで、もう一度日本の景気を伸ばそうとしているが、最終的なところは成長戦略だと思う。
日本が成長していかなければならないと思っている。前回経済が成長した時は日本が大きく世界に打って出ると
いうことだったと思う。今回は、デジタルかdieだと考えている。デジタル化しないと駄目になる。現在、日本の電機
業界が苦労しているが、それはデジタル化の遅れだと思う。積極的にデジタル化して、世界に挑んでいかなければ
ならない。 日本経済は長らく停滞してきた。少子高齢化が進む日本が世界に打って出ることは必要不可欠である。
デジタル化を進めるには、ソフトと連携し、ビックデータを活用し、クラウドを活用することに、もっと挑む必要がある。
・ソフトバンクは世界に挑むことにした。スプリントの買収は、途中で色々とあったが、予定通り、7月11日に完了した。
ソフトバンクは世界で3位の売上を持つ会社になり、世界に目を向けることにした。これまでは日本で3位か2位かと
言ってきたが、もうそんな国内での議論はどうでもいい。世界で3位だ。計り方の物差しを変える必要がある。
・スプリント買収後のソフトバンクグループのユーザー数は9804万加入となり、ドコモをはるかに凌いで、米国2位の
ベライゾンに迫るところまで来た。ベライゾンの加入者数は9893万であり、米国2位のベライゾンに近づいている。
スプリントは世界31ケ国で事業を行っており、ネットワークは全世界165ケ国に直接つながっているという強みがあり、
ソフトバンク+スプリントで大きく羽ばたいていきたいと考えている。このスプリント買収は、世界へ挑戦する日本企業
に貢献していく上でも、大きな意味を持っていると考えている。
・挑戦することによってのみ、自らに未来を切り開いていき、大きな成果が得られる。
2.30年ビジョン
・ソフトバンクは3年前に新30年ビジョンを作った。迷った時は、もっと遠くを見ると大きな流れがクリアになる。その前に、
300年後の社会を徹底的に考えてみた。人間の脳細胞は300億個である。脳細胞はニューロンで情報を流したり、
切ったりしており、トランジスタと同じ働きをしている。20年前に試算した結果、1チップのトランジスタの数が300億個
を超えるのは2018年だった。2018年が2〜3年前後しても大きな変化はない。人間の脳細胞の数は2000年前と同じで
ある。2018年から更に30年経つと1チップに搭載されるトランジスタの数が人間の脳細胞を大幅に超えることになる。
300年後には1垓の3乗になる。1垓とは、1兆×1億を示す単位で、人間の脳細胞の数をはるかに上回る程の規模を
1チップのコンピュータが持つようになる。このように大きくなると自己学習するようになると思う。脳型コンピュータは
必ず産まれると思う。脳型コンピュータを搭載したロボットは人間より進んだものになる。人間とロボットは共存しない
といけないと考えている。大きな災害や介護、環境保護などに脳型ロボットは人間を補助してくれるようになると思う。
・通信事業とっては、チップと人間の脳が1000kmも離れたところで現在よりも超高速で交信するようになる。
医療も大いに進んで、人間の寿命も大幅に伸びる。300年後には寿命は200歳になる。このように300年後の社会を
考えるとサイエンスフィクションのような世界になる。30年後のことを考えると退屈する程、当たり前と思うようになる。
・スマートフォンについても30年後には、CPUの能力とメモリ容量は現在の100万倍になり、通信速度は300万倍になる
時期が来る。30年後のスマートフォンは人間の脳を超え、3000兆個になる。“スーパースマートフォン”が出てくると、
クラウドと境目のない世界が出てくる。あらゆるものがログとして蓄えられる。教育もはるかに進化し、世界の子供達
が自動翻訳をしながら繋がっていくようになる。ワークスタイルも進化し生産性が爆発的に成長する。
3.ソフトバンクの取り組み
・ソフトバンクではビックデータとクラウドを活用している。ビックデータとクラウドにより、もっと有益な型で活用したり、
問題を解決することができるようになる。ソフトバンクの課題として解決したのが、電波解析である。
1ケ月に7.5億件のデータをかき集め、瞬時に解析し、活用することにした。300億レコードで競合会社のデータまで分析
したのは初めてである。本当に改善したのか、どこに穴があるのか調べている。1ケ月に7.5億レコードを調べるのは
初めてであり、これを基地建設などに活かして、通信接続率がNo.1になったと言っている。このようにビックデータが
本当に役に立つのか、自らが先に立って調べている。
・ビックデータを活用した2つ目の例として、ツィターの解析を行っている。お客様が実際に電波改善の実感があるのか
どうかを調べている。ツィターやFacebookへ投稿している1億2000万件のデータを解析している。自然言語処理により
前向きな投稿と後向きな投稿を判断し、感情の分析を行い、パケットの接続が改善していることを確認している。
・ソフトバンクではiPhoneやiPADが出た翌月には、全社員に配布し、デバイス+クラウドを活用している。社内では紙を
廃止し、デジタル化することにより、ワークスタイルを変革しており、いつでもどこでも、会社のディスクにいるのと同じ
ように様々な仕事ができるようにした。その結果、営業担当者の訪問件数が2.5倍になった。
JR東では、7000台のiPhoneを全乗務員に持たせており、マニュアルを閲覧できるようになった。
・ワークスタイルも世界標準にし、距離や国境の境目がなくなる。紙ベースの提案書をなくし、iPADで行うようにするため、
社内に動画を作る部隊も作った。デジタル化は我々の生活やビジネスを大きく変えてきたが、このデジタル化革命は
まだ道半ばである。さらに変革は進んでいく。
・挑戦することで、初めて見えてくる景色がある。更なる、情報革命に向かって共に、挑戦していきたいと考えている。
情報革命は人々の幸せを提供するためである。
[感想] 孫社長の話を聞くのは昨年に続き、2回目であるが、話し方が上手いと感じた。言いたいと思われる内容は
色々な人から聞いたことと同じようであるが、30年先のビジョンや300年先のイメージを出し、説明しているのは
おとぎ話のような面もあるが面白かった。