加速する技術革新の先にある淘汰と創造 NTTデータ 岩本社長
1.IT革命の真っ只中!
・3Dプリンタで自動車を作ったということが報道されているが、3Dマニファクチャリングと言った方が良いと思う。
1920年にフォードがティラーシステムの大量生産方式を完成させ、その後、量産化と共にコストが下がってきた。
3Dマニファクチャリングでは、設計、部品加工、組立の工程から、設計以外の工程がいらなくなっている。
・ITパワーがあらゆる分野に入っている状況であるが、それに伴い、多くのものが淘汰されている。
急速に成長するITパワーは成長と淘汰を進めており、将来の社会はどのようになるかNTTデータでは検討している。
2.IT技術の特異点
・技術的に特異点までテクノロジーはどのようになるか考えてみた。
ITの3大要素技術はCPUとストレージとネットワークである。それに端末もITの構成要素と考えても良いと思う。
これらはすべて指数関数的に伸び続けている。その中で、ムーアの法則は終わるのかという議論が出ている。
・カーツワイルは収穫加速の法則を提唱している。収穫加速の法則は、一つの重要な発明は他の発明と結びつき、
次の重要な発明の登場までの期間を短縮し、イノベーションの速度を加速することにより、科学技術は直線的では
なく、指数関数的に進歩するという法則であり、新しいパラダイム変革を起こすと言っている。
・CPU以前の時代でも、リレー計算機や真空管、トランジスターがあり、これらも指数関数的に成長していた。
これまでCPUの進化を見てみると、リレー計算機が登場し進化してきたが、進歩が低下すると、真空管が出てきて
指数関数的に成長する。真空管の進歩が停滞するとトランジスターが出てきて指数関数的に進歩した。トランジス
ターの技術革新が停滞するとICが出来て引き継ぎ、進化してきた。
このように考えるとICの技術的な進歩が停滞すると、新しい技術が出てきて引き継がれると主張している。
3.人間はどうする!
・カーツワイルの収穫加速の法則は、生命進化プロセスにも適用されると言われており、DNAの成立、生殖という
発明、発明を作る発明としての人間の誕生などを一元的に捉えている。このプロセスの継続により、人間の脳の
能力を数値化すると、早ければ2020年前半、遅くとも2045年にコンピュータが人を追い越すと予測している。
・2013年4月、日本の将棋のプロがコンピュータにに負けた。自動運転するGoogleカはまだだと思ったが、22010年
には1600kmも走ったと言われている。ITの知能が急速に進化していることが分かる。
・ITは多くの分野で特異点となっている。その時、人間はどうするのか考える必要があると考えている。
19世紀は肉体労働の単純作業を機械化により自動化してきた。20世紀は知的な単純労働をITにより自動化した。
ITの進歩により、膨大なデータの処理では人の能力を超えるようになる。将来は、人はITが人の能力に及ばない
アイデアで活躍する必要があり、沢山の人のアイデアがITによりジナシー効果を生み出すことが出来るようになる。
4.価値創造に向けたNTTデータの取り組み
・生産技術の革新としては、次にすべきことを教えてくれるインテリジェントワークベンチによるソフト開発がある。
デジタルプロトタイピングにより、お客様との意識合せを行うことで、お客様に満足される開発を実現できる。
・ビックデータによる未来予測に取り組んでおり、ツィッターのデータによる経済予測など、社会現象にも未来予測を
行うことを目指している。未来を予見するためには、未来の予測が必要である。
・技術の進化では、10年前は、光ブロードバンド、オープン化、ユビキタスであり、現在は、クラウド、ビックデータ、
ソーシャルメディアである。未来としては、Internet of Things、人工知能、ウェラブルコンピュータが考えられる。
・NTTデータでは、世界に変化をもたらす社会動向と技術を組合わせて、政治、経済、社会、技術の分類で検討
している。その結果、近未来のトレンドしては、@競争力の源泉は知識、ノウハウになる、Aマス重視から個重視、
B環境変化に対するリアルタイム予測、C誰でも活用できるITが普及する に集約されること分かった。
・経営とは何かということ調べると、孔子が言った“これを経し、これを営する”が最初であったようである。これは
新しいことをする時に、事前にきちんと準備することである。新しい環境に対応していくことである。
このように、これからの経営するためには、新しい環境に対して積極的に対応していく必要があると考えている。
「感想」NTTデータは世界企業として発展しているためか、社長のお話は特異な内容が多いが、岩本社長のお話は
成長と淘汰という言葉で、これからの時代の流れを説明していた。淘汰という言葉を聞くと多少違和感を感じるが
国際的に競争し、生き残るためには必要な考えではないかと思った。