ソフトバンク、ドコモ、KDDIのモバイル戦略

1.ソフトバンクの考えるソリューション戦略  プロダクト統括部長 多田彰様

   ・法人向け革命として、情報通信を通じて様々な人に幸せにという考えで取り組んでいる。法人の市場の動きは早くない。

    法人という企業は変化が起り難く、ITの自由な活用は難しい状況である。ここ半年位の取り組みを説明する。

   ・スマートフォンによるバックエンドと現場間の革命であり、すべての従業員がリアルタイムにつながることを目指している。

   (1)最初はiPadによる電子化とプレンゼンの革命である。イオンは業務の全フェーズでトータルにサポートすることにした。

     ウルトラ集客策としては、お客様に当選メールを送ったり、来店ポイントを送信する。商品選びには、かざした商品の

     レシピをスマホに表示する。Wifiではおすすめ情報を送信し、音声検索で商品検索や駐車場検索を行い、表示する。

    ・売り場革命として、集客・分析・最適情報配信に対して、企業の目線でなく、お客様の目線で考えると大きく変わる。

     シームレスな売り場の実現により、強い市場の開拓を実現することが出来た。

   (2)2つ目の取り組みは、太陽のトマト麺で取り組んだ、ペーパルのスマートフォンによるカード決済である。

     PayPalと戦略的提携を行った。ペイパルスマートフォンにスマートデバイスをつけるとクレジット決済が可能となる。

     クレジット決済でもPayPal3日間で入金が出来るため、簡単導入により、販売機会損失への対応が可能となった。

   (3)コラボレーションに使ったGoogleAppsに取り組んだ。

     Gmailなら25Gの動画が可能であるので、セミナーの案内やプレゼンテーションが可能である。そのため、ソフトバンク

     全社員にGoogleAppsを導入して、セミナー動画送信や共同編集による顧客リストの作成を実施している。

   ・お客様の要望に対応するため、多数の海外企業と協業してきた。強いパートナーシップにより様々な成果を上げている。

2.スマートフォンがもっと活きる〜ドコモならではの徹底活用術〜  ドコモ 法人ビジネス戦略部長

   ・ドコモはAnswerからSolutionに転換している。AnswerではNoも答えである。そのような時代ではくったと考えている。

    今まではお客様からの問合せで、電話、メールで11で通信して対応してきた。今後はスマートフォンとクラウドを組み

    合せて、お客様の業務を変えていきたいと考えた。モバイルでどんなことに対応できるか考えると“サシスセソ”がある。

    サはサービス、シはシステム、スはスマートフォン、セはセキュリティ、ソはソリューションの5つがある

   ・ドコモのサービスについて考えると、現在のサービスでもちっとした付加価値をつけると結構なことが出来ると思う。

    しゃべってコンシェルの流用として、ひろしま菓子博では音声で聞くと会場の混雑状況を説明してくれるようにした。

    しゃべって翻訳では、医療などの業界専門用語の追加と認識率を上げると活用範囲が拡がることが分かった。 

   ・システムでは、牛温恵により牛の分娩事故を大幅に減らすことが出来た。出産間近の24時間前には牛の体温が下がる。

    牛温恵を膣に入れて監視し、下がったら通知することにより、分娩事故が1割から0.08%に減り、損失を大幅に減らした。

   ・スの取り組みはスマート決済である。金融会社と連携して、クレジット、ポイント、プリペイドすべてに対応している。

    プリンタもついているので、領収書も出すことが出来るようになっている。

   ・セはセキュリティ問題である。スマートフォンはどこにでも持って行けるが、それはどこにもリスクがあると言うことである。

    子供向けサービスであるスマートフォンforジュニアを企業でも利用できる。ペアレントモードにより制御することが出来る。

   ・ソはソリューションであり、サービス、システム、スマートフォン、セキュリティを組合せて新しいソリューションを実現する。

    JR九州ドラッグストアでは、スケジュール管理、情報共有を実現している。更に、オフィスリンクにより、日本中の事業所

    が内線電話とすることが出来ている。更に、電子コンテンツアプリのビジドコでセミナーを動画配信している。

   ・お客様の要望に対応するため、要望されるソリューションを提案していき、お客様に満足して頂きたいと考えている。


3.
KDDIソリューションのGoal  KDDI ソリューション推進部  有泉理事

   ・KDDIとしては、知を持ったITで、コンシューマにも企業にも気持ち良い社会を創りたいと考えている。

   ・モバイルのソリューションは、モバイルソリューション2001に始まり、OneNumberを実現したFMCキャリアクラウド3M

    進み、現在は、お客様は本業に専念して価値をつけるため、業務のアウトソーシングを受けるBPOの時代となった。

    その間に、ソーシャルネット経済圏、コンビニ経済圏が出現してきて、時代が大きく変化してきた。

   ・企業もB2BからB2B2Cに向かっており、お客様のビジネスパートナーになる必要が出てきた。スマートフォンタブレット

    が今後も増えていく。若い人は60%以上スマートフォンを利用している。若い人はソーシャルメディアを多く使っており

    Weの利用時間が長い。面白いと思ったら直ぐ発信もする。オンラインショッピングの利用も50%を越えている。

    シニア層についても10年後には65歳以上のシニア世帯が1200万世帯を超える見込みである。

   ・KDDIでは新しいValueとして、“気持ちの良さ“を創りたいと考えている。気持ち良さを創る基本形は、センサーで情報を

    収集し、分析して予測し、情報をタイムリーに、マルチデバイス、マルチキャリアでプッシュ型でコメントすることである。

    例えば、GoogleAppsで訪問する予定を登録すると、訪問の前に、訪問先のデータや最近の記事などをスマートフォンに

    表示することで、訪問をより有効なものにすることが出来る。

   ・ソーシャルメディアで市場の声を分析し、肯定と否定、中立などを判断し、表示することで、状況の把握が容易になる。

    シニア層は、大きな画面でブラウザを操作する必要があるが、GUIに触れたら、センタのオペレータが対応して、操作

    を代行してくれる機能があればシニアには喜ばれると思う。

   ・KDDIとしては、コンシューマにも、企業にも、気持ちの良い機能を実現して、社会に貢献していきたいと考えている。


  「感想」
    ソフトバンク、ドコモ、KDDIの担当者から最近の戦略を聞き、違いが明確になった感じがする。
    ソフトバンクは大胆な言葉を使っているが、お客様の要望に合わせてソリューションを開発しており、
    ドコモは現在のサービスを使いこなすことに重点を置いている。KDDIは気配りを考えたシステムを
    実現したいとの考えのように思えた。