目標達成へのプロセス−チームワークとコミュニケーション 佐々木監督 H25.1.25
1.世界のナデシコになろうというビジョンをたてた。
・日本では男子サッカーは盛んになっていたが、女子のサッカーは少なかったので、男子を支える女子のサッカー人口
を増やそうと、30年前から日本サッカー協会が取り組んできた。日本女子サッカーには30年成長してきた歴史がある。
・日本女子サッカーの監督になった時、最初にしたのが、世界のナデシコになろうというビジョンをたてたことである。
・日本女子サッカーが活躍した結果、国民栄誉賞を受けたり、園遊会に招かれるなど、スポーツの力も強いと感じた。
・日本女子サッカーにはプロの選手もいるが、アマチュア選手が多く、3月11日の震災では帰宅難民になった状況である。
しかし、東日本大震災の時でも、サッカーが出来るという喜びが、その後の選手たちの強いパワーになったと思う。
・日本女子サッカーは世界一小さいチームである。身長や年齢などでは欧米のチームには勝てない状況である。
そのため、緻密に忍耐強くやらないといけないと考えた。選手にはリーチがないので、スライディングに力を入れた。
日本人は緻密で忍耐強いことから、自分達の弱いところを考えて、強くするところを決めて強化してきた。
2.日本女子サッカーの育成
・日本女子サッカーの育成については、最初の1年半は監督主導でサッカーのベースとなるものを植え付けていった。
その結果、2010年にはアジア競技大会で優勝した。翌年のFIFA女子ワールドカップへの出場権を獲得した。
・その後の1年半は選手主導で、協調性、自主性の強化に力を入れた。その結果、選手から色々な発案が出てくるよう
になり、問題が出れば選手同士で考え解決するようになった。それと伴に、集団でパワフルにやるようになった。
・最初はベスト4に入ることを目標設定し、次には五輪に出場すること、最後は世界一になることと目標を設定してきた。
選手の成長と共に自主性や団結力を強化した。それに伴い、指導陣を充実し、健康的な活動を徹底してきた。
スポーツには怪我は付きものだが、準備をきちんと行うことにより、怪我を防ぐことが出来る。それが重要になる。
3.世界のナデシコになると目指したものは
・ナデシコジャパンの具体的な目標としては、(1)日本女子サッカーをメジャーなスポーツにすること (2)なでしこジャパン
が世界のトップクラスになること (3)世界基準の個を育てること である。
・日本の女性はサッカーに適していることが多い。日本の女性はひたむきで、明るく、芯が強く、礼儀正しい性質がある。
女性には守備でパワーが出てくる特徴がある。日本女子サッカー選手が目指す姿として、なでしこらしい選手とした。
・佐々木監督の好きな言葉は “歩々是道場”で、学ぼうと思うと何事からでも学べるということであり、信条としている。
NTTに24年勤務し、料金徴収も担当したが、学ぶことが多かった。色々と学んだことをサッカーの指導につなげてきた。
4.教訓
・サッカーの監督をやったことからの教訓としては、(1)ソーシャルフットボール集団的知能のサッカーが世界で戦える
要因である。(2)成功の反対は、失敗でなく、チャレンジしないことである。(3)成功へのプログラムはない、それに向けて
準備することである などである。特に、指導者として人格を高揚してきたことにより、人生が変わったと考えている。
「感想」
日本女子サッカーの佐々木監督のお話を聞いた。講演には良く準備されており、非常に有意義であった。
チームを育成するためには、まず、目標を設定し、基礎をしっかりと植え付ける。その後は、自主的に成長
させるように環境を作り、我慢強くメンバーが育つように支援する。そのために、監督のスタッフを充実させ、
怪我をしないように健康管理を強化するということは、システム開発でも同様で、多いに参考になると感じた。