情報セキュリティ政策の最近動向 総務省 谷脇審議官 H24.11.14
1.情報通信産業の5つのミッシングリング
・情報通信分野では、光ファイバは全国で利用できるようになり、高速移動通信のLTEも急速に普及している。
しかし、電子行政や医療、農業分野での情報化は非常に遅れており、国際的にも低い位置になっている。
・今の日本の情報通信産業には、次の5つのミッシングリングがあると考えている。
@機器とサービス、A供給者と利用者、B情報通信産業と他産業、C国内と国外、D官と民
・機器とサービスのミッシングリングについては、これまでの日本のモバイルでのキャリア主導の垂直モデルから
グーグルやアップルが中心とするネットワークに依存しないサービスを中心とする垂直モデルへの変化である。
新しい垂直モデルではスケールアウトが容易であり、急速に発展しており、ユーザコミュニティが増加している。
・供給者と利用者のミッシングリングに対しては、仮想的な情報通信基盤を作る必要が出てきている。
データを利用者が工夫するために、オープンデータ戦略を進めたいと考えて、会議を設置検討を進めている。
更に、ハードウェアとソフトウェアが一体化が進んでおり、ソフトのβ版的な文化を活かす必要が出てきている。
情報通信産業と他産業のミッシングリングでは、クラウドがカギとなる。行政や医療、教育や農業などのフラット
化が求められており、道路や橋では老朽化が進むため、予防保全への取り組みが必要になると考えている。
クラウドを有効に活用するには、オープンイノベーションやイノベーションの分割化が進んでいくと考えている。
2.もののサービス化
・デジタル機器の効率化と低価格化により、デジタル機器は急速に普及して、コモデティが進み、日本の競争力が
落ちている。これからはハードとソフトが一体化して、もののサービス化が進んでいくと考えている。
iPhoneの部品が日本製が多いことからも分かるように、日本はもの作りでは現在も強い競争力を持っているが、
これからはもの作りから、もの作り+サービス作りに移行する必要がある。
・最近のモバイル端末などでは、インターネットで情報を連携させて、新しい価値を作るようになっている。
インターネットの自由ということに対して問題が出ているが、国が関与して良いのか難しい問題が出てきている。
セキュリティ対策のため、国が強く関与している国があるが、新しい事業の立ち上げを阻む恐れがある。
インターネットではデータが国境を越えて流通しているため、国境を越えたデータ流通の仕組みを作る必要がある。
・パーソナルデータの利用・流通では、プライバシー保護とデータを利用する新しい事業の枠組みを検討している。
総務省は2012月10月に、「パーソナルデータの利用・流通に関する研究会」を設置して、検討を進めることにした。
情報セキュリティ政策に対しては、総務省は官民連携と技術開発、利用者普及、国際連携などに取り組んでいる。
情報流通連携基盤については、API流通、パーソナルデータの活用、セキュリティの強化に取り組む必要があり、
クラウドに立脚したスマートな社会を構築すると共に、グローバルな展開が必要であると考えている。
「感想」 短い時間で説明されたため、かなり概念的な説明であったが、総務省では色々な取り組みをしていることが
分かった。しかし、色々なことに取り組んでいるため、官が行うことと、民が行うことが明確でなく、連携方法
など、総括的なイメージは分からなかった。