ソーシャルメディアとクラウドがつくる新しいビジネスの可能性  ジャーナリスト 津田大介

 1.すべての転機は2006年〜2007に起きている

    ・現在のソーシャルメディア関連の出来事はすべて、2006年〜2007年に転機が起こっていると考えられる。

      @ツイッターは20077月にSXSWWebAwardを受賞して、今後の動きとして注目され始めた。

      AFacebook2006年に一般開放した。(それまではハーバード大学の学生に使わせていた。)

      BiPhone20071月に発表され、爆発的な人気が出てきた。

      CAndroid200711月に規格が策定され、色々な人がアプリが開発されるようになった。

      Dニコニコ動画は20071月にβ版が開始された。

      EVstream20073月に設立された。

      Fイー・モバイルが20073月に定額データ通信サービスを国内で初めて開始した。

     Gウイキリークス2006年に開始した。

      Hクラウドコンピューティングを2006年にGoogleのエリック・シュミットCEOが初めて言及した。

    ・日本のソーシャルディアのPCユーザ数は、ツイッター1374万人、ファースブックは1673万人、Mixi567万人

     Google401万人である。一時期はMixiが多かったが、今ではツイッターやフェースブックが非常に多くなっている。

     日本のソーシャルメディアの人口は、閲覧者を含めると5060万人、書き込みを行っている人は3090万人である。

     2010300万人であり、ここ2年くらいで急に増加した。


 .ソーシャルメディア現象を読み解くキーワード

     @リアルタイム :独り言のように日常の行動を投稿する場合が多く、速報性と伝搬力がある。

     A共感・協調 :喜びや悲しみ、怒りなどの感情や思考の共有化が図れる。

     Bリンク ;感情がリンクして爆発的に伝わり、具体的な行動を促進している。

     Cオープン:参加し易く、脱脂し易の特徴で、熱し易い部分で行動に移る傾向がある。

     Dプロセス:情報の公開が進んでおり、透明性があり、興味喚起が怒り易い。

    ・ソーシャルメディア革命が起こっており、モルドバやチュニジアなどでは政治活動に繋がっている。

     しかし、ソーシャルメディアは社会変革が起きる革命だと言う人もいるが、ちょっと違うと思う。

     ソーシャルメディアは、人が行動する時に、背中を押してくれるだけであり、ソーシャルメディア革命は「動員の革命」

     であると思う。従来、繋がらなかった人達がソーシャルメディアで自然につながり、ムーブメントが起きることである。

     例えば、629日の官邸前のデモに集まった人の37%がツイッターで、口コミが18%ウエブが20%ファースブックが

     10%である。従来、中心であったマスメディアのテレビは4%で、新聞は2%であり、非常に低くなっている。

    ・マスメディアの情報を届ける速度と人数を考えると

     テレビは、速度は瞬時で、人数は数百万人〜数千万人でラジオは、速度は瞬時で、人数は数十万人数百万人、

     新聞は、速度は半日で、人数は数十万人〜数千万人である。

     一方、ブログは、速度は随時であり、人数は数十万人数百万人ある。ギネス記録があり、上地雄輔さんの

     ブログが123万人というのが最高である。 ウエブサイトは、速度は瞬時で、人数は数万人〜数百万人である。

     動画は、瞬時〜随時で、人数は数千人〜数十万人であるが、ツイッターは瞬時に数百万人〜数千万人に伝わる。

    ・ツイッターは、瞬時に数千万人に情報を届けられる拡散力の高い初めてのインターネットメディアであり、個人が

     持てるところが特徴である。


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.ソーシャルメディアンのビジネス利用
    ・企業がツイッターを使う目的は、情報の発信によるPRやユーザサポート、ブランディグなどである。企業がツイッター

     を利用する場合、情報集型、直接型、間接型、内部型の4つのパターンがある。 

    ・ソーシャルメディアと上手く付き合うには、@オープンにする、A専門の担当者を配置する、B顔が見える運用を心

     かける、C複数で利用する場合はガイドラインを作る、Dコミュニティに話題を投げかけ盛り上げる、E企業の周辺

     情報のハブになる、ことである。

    ・クラウドがもたらすものは、@コスト削減、A運用管理の効率化、B意思疎通の迅速化、C端末と場所の制約から
     の解放であり、これによりコンシューマライゼーシンが進んでいる。今はコンシューマが最新技術を使っている。


 4.具体的な事例

    ・ロサンゼルス市では、Gmailに移行することにして、Google5年契約をした。3万人の職員がGmailを利用した結果、

     サーバのハードは500万ドル、予算は2000万ドル削減することが出来た。

    ・政府が持っているビックデータを分析し、利用するデータジャナリズムでは、データからストーリーを描くことであり、

     デザインからプログラミングまで非常に幅広い分野の手法を統合させ、ひとつの重要な物語を紡いでいく。


 5.まとめ:ソーシャルメディア
×クラウド×モバイル 〜本当の変革が起きて、まだ3年弱である〜

    ・ソーシャルメディアは人の意見を拡散し多数の動員を可能としており、クラウドはコストと技術の制約を取り払う

     ことで、迅速に人の意見を具体化でき、モバイルは端末や場所に縛られず、人が行動が起こせる特徴がある。

    ・ソーシャルメディア時代では、最大化するのは人の意見であり、それを支えるために、IT技術が使われている。

     また、トライ&エラー革命が起きている。このため、インターネット社会を変える意識を持つ必要があると考えている。

    
 (感想)
   NTTコミュニケーションのフェアでお話を聞いた。周りがにぎやかで聞き取り難いところがあったが、良くまとまっていた。
   技術者はメディアや技術に関心を持つ傾向が強いが、人の意見を中心に説明されており、面白かった。