究極の競争優位をもたらすものとは何か  一橋大学  楠木教授   H24.1.27

1.商売の話は当たり前の話である
  ・商売は科学技術のようにみんなが驚くような発明はなく、ほとんどが当たり前の話である。しかし、人は

   当たり前のことが出来ない。商売では理屈が20%であり、残りの80%は幸運とか野生の勘である。

  ・ユニクロのコンサルをしているが、理屈にうるさい柳井社長からは商売は理屈でないと良く指摘される。

   商売は理屈でないから、理屈が大切である。それは、理屈と直感は表裏一体であるからである。

  ・儲けるためには、違いを作り、それを繋げることである。完全競争状態になると余剰利益は出ない。誰も

   儲けることが出来ない。世の中には完全競争はない。そのため、違いを作り、つなげることが重要となる。

   つなげると言っても、静的なものでなく、動きのあるつなぎである。色々な人の戦略を聞くことが多い。

   しかし、良い戦略か悪い戦略か、良く分からない。ビジネスモデルやアクションリストを聞かされても、

2.ストーリーとしての競争力

   アクションのストーリーが分からないから、戦略が良いかどうか分からない。ビジネスモデルは空間的な

   取引を表しているが、ストーリーはつながり(因果論理)の時間的な展開を表すものである。ストーリーが

   分かると、違いとそれを繋げる仕組みが分るようになり、戦略が良いかどうかが判断できるようになる。

  ・戦略ストーリーの5Cとして、競争優位、コンセプト、構成要素、クリティカル・コア、戦略のジレンマ がある。

   利益(P) = お客様の支払いたいもの(WTP)−コスト であるたるため、利益を増やすには、お客様が

   高いお金を支払いたくなるものを作ることである。

   ホットペーパーは、消費の80%2Km以内で行われるため、地域の情報を提供する戦略をとり、優れている。

  ・競争では他社と違った良いことをやれば良く、事前の非合理的なものが事後では合理的になることである。

  ・部分的な非効率があることが人にとっては幸せとなる。しかし、部分的非効率とバクチは紙一重である。

   相乗効果を梃子にして・・・ということは、ストーリーが分かっていれば、話にならないと戦略だと分かる。

   必殺技や飛び道具などはありはしない。このようなことを前提とする戦略は話にならないと考えるべきである。

  ・経営者に出来ることは、誰がセンスがあるか見極めることで、センスのない人にはやらせないことである。

   商売丸ごとを早くから、小さい単位で任せることで育てることが出来る。経営は数字ではなく、筋である。

   そのため、経営者は「こうなるだろう」と言うことではなく、自らの目標に向け「こうしよう」と言う必要がある。

   人間はイメージできないものは実行できない。そのため、経営は「見える化」ではなく、「話せる化」である。

  ・優秀な経営者に共通する点は、自分が一番面白がっている。これがリーダーの条件である。

   自分が詰まらないと思っていることが上手くいく筈がない。経営者が詰まらない話をすることは、犯罪に匹敵

   する行為である。   → (感想) 最初は分かり難かったが、後半は面白かった。