日本人のわすれもの 作家 五木寛之様 24.7.20
1.ブータン
・ブータンの国王が来たが、国王は31歳、王妃は21歳と若く、さわやかな感じであった。
・私は2006年にブータンに行った。ブータンは1670年頃は外国からの入国を禁止していた国である。
・前国王がインドに行った時、記者からブータンのGDPを聞かれた時に、少ないGDPではなく、国民幸福度の話をした。
今の国王には4人の妃がおり、10人の子供がいる。しかし、一妻多夫も認めており、男尊女卑の国ではない。
2.青い鳥の物語
・チルチルとミチル兄妹は幸せを招くとい青い鳥を探しに出かけるが、いくら探しても見つからず、家に帰った。
・目が覚めると、家にいる薄汚れた歯とが急に青い鳥に変わり、病気の子供を治して、元気にした幸福の鳥となった。
・しかし、青い鳥をかごから取り出そうとすると、かごから飛び出し、空高く飛び立ってしまった、という話です。
・幸せは身近にあるが、気付かず、手元に置いておこうとしても、何処かに行ってしまうようなものだという話だと思う。
3.プラス思考とマイナス思考
・金子みずずの詩に、港では大漁という時に、海の中は沢山の魚の弔いをするだろうというものがある。
・柳田国男は「涕泣史談」で、日本人は誰かの為に心底泣ける優しい民族だったといっているが、日本人が最近泣か
なくなったと指摘している。柳田さんは、日本人は泣くことで表現してきたことが多いと説明している。
・私は明治維新以降、太平洋戦争に向けて、国民が突き進むのに、泣くということが邪魔だったのではないかと考えて
いる。そのため、当時の人は泣きたくても泣けなかったのでないかと思う。
・それと共に、戸惑うことや、疑うことは良くないことで、頑張ることや前向き、強いことなどのプラス思考を大事する時代
が続き、明るく,笑顔で生活するプラス思考が神話になったと考えている。しかし、プラス思考とマイナス思考は表裏
一体である。プラス思考だけでは無理があり、悲しむ、ジメジメするマイナス思考も一体として考える必要がある。
・仏教では慈悲という言葉がある。慈悲は仏教の教えの基本であるが、慈と悲は別の言葉を合せたものである。
慈(いつくしみ)は、マイトリーという言葉であり、ヒューマニズムのようなもので、理性的に考えることが出来るが、
悲(憐み)は、カルナーという言葉であり、感極まって思わず知らず漏らす呻きのようなものである。
仏教では一切の生命は平等であり、慈悲を持って幸福を願う心こそが、人間の目指すべき理想であると伝えている。
4.今の日本とこれから
・笑いは健康に良いといって、みんなが笑うことを求めているが、笑いと悲しみも表裏一体であると思う。
地面に倒れて、地面を叩き、泣き崩れたことがある人でないと、本当に腹の底から笑えないと思う。
・今の日本は青い鳥が逃げっていた状況と似ていると思う。3.11の東日本大震災などで、日本人が自信をなくしている
状況にある。今の日本人は、ありのままに悲しいことや辛いことを受け入れ、立ち上がることが必要であると思う。
五木様のお話を聞いたが、なかなか面白かった。上昇志向だけの日本に少し、嫌になっていたので、非常に聴きやすく
共感できる部分が多かった。聞いている部屋が非常に暗くて、記録を取ることが出来なかったので、私の感じたことを
中心にまとめることになりました。五木様のお話と少しずれているところも多いかも知れませんが、ご了解して下さい。