iPhone、iPadによるモバイルインターネット時代のビジネス革新 ソフトバンク 孫社長 H24.7.11
1.100%ということ
・2008年7月11日にiPhoine3Gを発売した。これらの商品を生み出したスチーブジョブスはたった一つの作品で世の
中を変えるということを何度か行った人物であると思う。iPhoneには100万種類のアプリがある。これを使えば、
医療、教育、ゲーム、健康管理に使えるようになり、これによりライフスタイルは一気に変わったということである。
・ソフトバンクには2万人の社員がいるが、iPhoneが出て、即刻100%の全社員にiPhoneを持たせた。iPadが出たら
これも即刻100%の全社員に配布した。100%ということが大事である。100%の全社員が持っているということで
ビジネスワークスタイルを変えられる。大半が持っているということと、100%の全社員が持っているということでは
大きく違い、100%の全社員が持つことにより、会社のプラットフォームを変えていくことが出来るというである。
・100%の社員が持っているということで、紙で指示書を出す必要がなくなり、自席のパソコンで初めて情報を確認
することがなくなったのである。全社員が持つことにより、会社のプラットフォームが変わるということである。
・ソフトバンクではホワイトワークスタイルを実現している。メールも、全社員が持っているということを前提にグーグル
の企業向けメールを使っている。商談などでも紙ベースにした提案書を持っていくということは原則なくなった。
今年の4月には社内業務ペーパーゼロ宣言を行い、紙をコピーすることは不要であるということで禁止している。
ペーパーゼロ会議が当たり前になっており、これらにより、コストが下がり、生産性が上がっている。これからは
すべての企業で当たり前になると思う。100%利用できることにより生産性を上げることが出来るが、同じ通信業者
であるNTTやKDDIでは実現できていない。その結果、NTTの一人当たりの営業利益が390万円、KDDIが1050万円
と低く、ソフトバンクの一人当りの営業利益は2574万円と大きな差が出ており、非常に高い生産性を実現している。
営業マン一人当たりのお客さん訪問件数は2倍に増えた。これまでは訪問の前処理、後処理に膨大な時間と手間が
かかっていたが、ビジネススタイルが変わたということである。
2.iPhone、iPad事例
・ANAでは、何キログラムもある業務マニュアルを持っていかないといけないが、iPadに入れた結果、軽量化が図れた。
更に、自己学習も進んでいる。LIXILは6000台を導入し、500冊のカタログがiPadに入っており、説得能力が上がった。
野村証券では8000台を営業マンに持たせている。最近は、バックヤードの人も必要だと言っている。
・HONDAでは、iPhoine,、iPadを各5000台導入し、業務や商談ツールに利用している。また、3G回線がカーナビにも
搭載されて情報を送れるようになった。ファイザや佐賀県の救急車、三井住友信託に800台などと導入されている。
・日産が2000台、カリバーが2200台、ダイキンが1300台、トッパンが400台導入しており、トッパンではペーパレス化
により80%コスト削減を図っている。大成建設は設計の図面を現場で確認できるようにしている。
・2年間に、iPhoneは15万社以上導入され、IPadは6万社以上が導入している。拡大する革新的ワークスタイルのため、
織田信長がいち早く新しい武器を取り入れて勝ったように、文明の利器をいち早く取り入れることが大事である。
3.皆様の疑問
・セキュリティは大丈夫なのか?大事な情報の入ったものを忘れたとか落としたら企業は報告する義務がある。
iPhone、iPadでは、遠隔操作でリモートでデータをロックし、消去する(ワイプする)ことが出来るため、中の情報は
守られるように出来るようになっている。会社のパソコンで仕事は出来ても、自宅のパソコンでは会社の仕事が出来
ないとか、出張先で仕事をしたり、判断することも出来ないため、 iPhone、iPadの利用を勧めている。
・ウィルスはどうか? iPhone・iPadのアプリケーションソフトは100%アップル社に事前承認を得る方式を取っている。
androidは完全なオープンな思想を持っているが、これではウイルスを仕込んだソフトを容易にばら撒くことが出来る。
アップルはコントロールしながら、オープンという思想を持っているので、ウィルスは入り難くなっている。
・ソフトバンクはつながるのか?
これまでいろいろと指摘されてきたが、7月25日からプラチナバンドが使えるようになる。急ピッチで工事をしている。
これまでは2.1GHzだけしか利用できなかった。プラチナバンドでは基地局のカバーエリアが3倍になる。2.1GHzでは
ビルで跳ね返されるが、プラチナバンドでは回り込んで、ビルの後ろの窓から電波が入るためつながるのである。
iPhone4、iPhone4s、iPad2、新しいiPad、今後の全機種がプラチナバンドのアンテナを標準搭載されている。
その結果、都心のビルが群立しているところや、地下鉄の入り口、田舎の湿気の多いところも、木の裏にある民家も
届きやすくなる。今でも他社とは98%と99%程度の違いであるが、その差が解消することになる。
4.ソフトバンクの歴史とビジネス革新
・ソフトバンクは、1989年ソフトウェア流通事業から始まった。赤字を垂れ流していた時期もあった。不良在庫が山積みになり、
価格の引き下げなどがあった。そのため、一日一日が勝負と思い、意思決定を早くして、不良在庫が出ないようにして、
競争相手に打ち勝てるにした。日本には稟議という制度があり、これが意思決定を遅くしている面があった。
・日本で初めて電子稟議に切り替えた。同時並行して稟議して行い、24時以内に意思決定しないと承認されないという
制度を作った。しかし、24時間以内に判断しない場合はイエスと見なす稟議ルールと作った。これで、イエスでもノーでも、
条件付きイエスでも、24時間以内にはっきりするようにした。他社が1週間とか2ケ月かかる意思決定を24時間に短縮した。
これが実現できたのは、1989年にLANでつないでいたから出来た。更に、1994年にはノートパソコンを全社に支給した。
このように、ソフトバンクの競争力の源泉は24時間情報武装ということになる。
・100%の社員が持つということで物事は変わるということである。“情報革命で人々が幸せに”ということだけのためにソフト
バンクは頑張っている。情報革命で何をするのかだが、銭金のためとか、生きていくだけとか食っていくだけではむなしい。
正義なき力は世にとっては害かも知れないし、力なき正義も無力ということで世の中の役に立たない。
・正義、正しい義のために、命を懸け、志を高く持ち、正しい義をなすのに、合わせて情報武装という現代の最新武器を持つ
ことで、ワークスタイルが変わり、ライフスタイルが変わり、競争力をもう一度取り戻すことが出来ると思う。
・日本の企業や産業全体が世界に比べて著しく競争力を失っている。高い人件費、減っていく人口、老齢化した社会という
状況の中で失われた20年という日本になっている。成長を失ってしまった20年ということになっているが、もう一度日本が
競争力を取り戻し、世界の様々な企業と戦って、頑張って、生産性を高めていけば、国民、家族やお客様に幸せや豊かさ
を提供できるということになると思う。それが直接的に人々の命を救うことになる場合もある。
・何のために情報武装するか?情報武装することがどれ程ワークスタイルを変えるのか、どれ程競争力を取り戻すのか、
思い起こして欲しい。武士は24時間手の届くところに両刀を置いていた。私は24時間、iPhone とIpadを両手の届くところに
持っている。情報武装して24時間戦える状況を作っている。24時間手の届く手の中にあって、いかなる緊急の仕事にも
応えられるようにしており、思い立ったことを伝えられるようにしている。
9時から5時、6時まで働くという状況では、、現代社会か戦えないと認識して頂きたい。ワークスタイル改善をして頂きたい。