日本の歩むべき道 小泉元総理大臣  H2444

1.大震災から1

   ・戦後最大の被害が出て、2万人が死亡した。津波の映像をリアルに世界に発信したのは、初めてであった。

    日本は色々なピンチをチャンスに変えてきた。今回の震災に対しても必ず復興すると考えている。

   ・この100年を振り返ると1923年の関東大震災があり、105千人が死亡した。2次大戦では300万人が亡くなった。

    戦後初めての国勢調査では本の人口は7200万人となり、東京は300万人であったが、今では1300万人になった。

   ・大戦後には石油ショックがあった。中東戦争が起こり、石油が2ドル/Lが10ドル/Lに跳ね上がった。このため、

    物価が急騰し、トイレットペーパーや石鹸の買占めに走った。政府は買占め防止や売り惜しみ防止法案を作った。

    何故か買占めが起こったか調べたが分らなかった。その後、石油が150ドル/Lになっても、パニックは起こらなかった。

   ・当時は金を出せば石油は買える。省エネも熱心でなかった。石油の液化や太陽エネルギーにも真剣でなかった。

    当時は、日本の石油依存率は70%であったが、今では40%まで引き下げた。今はきれいな国に復興した。

2.原子力発電からの脱皮

   ・産油国が集まって石油を武器にし始めた。これに対するため、石油を沢山使っている国が集まり、サミットが出来た。

    日本は石油の備蓄、省エネ、代替エネルギーに取り組んだ。石油依存率が40%まで下がったのは原子力発電である。

    しかし、今後は原子力発電に依存出来ないと思う。今の原子力発電は住民説得コストが非常に高くなっている。

   ・原子力発電を進めている中国等と違い、日本の国土は狭く、人口は多いので、原子力発電から脱却する必要がある。

    代替エネルギーで伸びることが出来ると思う。バイオエタノール技術も出てきている。LEDなど省エネも進んでいる。

    最近では、国民が捨てた家電製品からレアメタルを取り出している。それも民間が取り組んでいる。都市鉱山である。

    政治が自然エネルギーに変えていく。国民も原子力発電から自然エネルギーへの転換を支持すると思う。

    今回の原子力発電所の事故が日本を大きく変えたと思う。


3.戦争のない長生きできる国

   ・日本は駄目だという日本人は多いが、外国人が見直してきている。

    第2次世界大戦の後、日本は戦争がない、長生きする国を目指してきた。安保闘争もあったが、米国と手を組んだ

    結果、戦後から今まで日本には戦争がなかった。中国や韓国、ロシアなど近隣の国はすべて戦争が起こっている。

    日本の自衛隊も海外では軍隊と見られているが、海外協力をしてきている中でも、一発の銃も撃っていない。

   ・昔は長生きできることは良い国だと思った。昔は食べるものがなくて死んだ。今は食べ過ぎが問題となっている。

    衛生面も改善している。水道水もきれいにした。今では150/Lのガソリンよりペットボトルの水の方が高くなった。

   ・食料も豊富になった。病院も各地に作った。衛生環境も良くなった。世界一長寿の国になった。

    小泉さんが厚生大臣になった24年前ニは100歳以上の人が2000人になったが、昨年は47000人となった。

   ・目標を立てて実現した時は想像しなかったことが起きる。政治的な課題は絶えることがないということである。

    昔は長生きすることが目的であったが、今はどうやって元気で長生きするかということがテーマとなってきている。

   ・外国人は日本の文化や秩序を学びたいと言っている。日本人は拘らない方が良いと思う。例えば、昔の外国人

    は生さかなを食べないとか米を食べないと言っていたが、最近、外国人で最も人気のある日本食は寿司である。

    日本人が長生きするということから、日本食は健康に良く、見た目も美しいということで食べられている感じがある。

    回転寿司も昔は機械が握って上手くいくかと言われてきたが、今では職人が握ると同じように出来るようになった。

    イクラを作るのも、外の皮を取るが、内側の皮は壊さないで作るという難しい力加減も機械で出来ようになった。

    日本人の様々の技術は素晴らしいと思う。


4.日本人の変えてはならないもの

   ・明治時代は良かったという人が結構いるが、何万人の人が殺し合い、非常に苦労しながら、新しい国を作っている。

    幕末の戦い、10年後に西南戦争、その10年後は日中戦争、更に、10年後は日ロ戦争と殺し合いが続いている。

   ・明治に学ぶべきものは、2つあり、一つは、Samuel SmilesSelf-help である。 「天は自らを助くる者を助」という

    独立自尊の精神を広めた。最も大事なのは人間である考えである。

   ・もう一つは福沢諭吉の「学問のすすめ」である。身分制度がなくなったのだから、学問をしなさいということである。

    一身独立するために学問をしなさい。自分が立つために努力しなさいということである。

   ・ケネディ大統領就任式では、諸君は国家は何をしてくれるのかを問うな。諸君が国家に何が出来るか考えて欲しい  

    と演説した。オバマ大統領も就任式で、責任の時代であり、自分自身に対する責任、国家に対する責任を表明した。

   ・日本でも、尾崎行雄は33歳で立候補し、25回連続当選し、60年以上、政治家として活躍した。

    尾崎記念会館、今では憲政記念館となっているが、入り口の記念碑に、尾崎行雄が94歳の時に、「人生の本舞台

    は常に将来にある」と表しており、何歳になっても努力する必要があることを強調しているのには驚いている。

   ・これからの日本人は自分で学習し、努力する必要があると考えている。