「ビックデータ」の本質と戦略的データ管理 栗原潔様 23.12.21
1.「ビックデータ」の定義
・ビックデータは、大量データを、構造化と非構造化のデータ型とリアルターム性により、4種類に分類される。
定義が曖昧なことと概念が必ずしも新しくないという点や長期的な重要性では、Web2.0という言葉に似ている。
・ビックデータの応用分野はデータ分析のみということが多いが、マリチメディア配信、コンテンツ・リポジトリもある。
(注)コンテンツ・リポジトリとは、データや情報、プログラムなどが体系立てて保管されている場所のことであり、
コンテンツの設定情報などがまとめて記録されているファイルやフォルダのこと指すことが多い。
2.ビックデータのビジネスへのインパクト
・ビックデータについてのマッキンゼーの調査では、米国のヘルスケア産業で3000億ドルの価値があり、ロケーション
データの活用により消費者に6000億ドルの価値を提供し、欧州の政府機関に2500億ドルの価値を提供する。
米国はデータサイエンティストの需要が急増する兆候があり、14万人〜19万人のデータ分析の専門家が不足する。
3.企業はビックデータをどう捉えるか
・大規模ネットワークサービス企業では、ビックデータは従来型のデータソリューションから大きく発展する分野と見て
いるが、一般企業にとってのビックデータは従来型データソリューションと重複する部分が多いと考えている。
・ビックデータの目指す方向は、大量・非構造化したデータを活用した新しいビジネスを創出することであり、経営者
に対してデータの戦略的価値を再認識させることである。
・企業には日々の業務やプロセス改善、顧客との対話などを反映するデータを独自の資産として蓄積されており、
このようなデータを差別化要素とする必要があり、ビックデータの時代には差別化効果は更に強力になると思う。
・ビックデータの多くのテクノロジーはクラウドから登場しており、データの急増が予想されるビックデータのアプリ
ケーションではクラウドの弾力性と従量制課金が有効と考えられるため、クラウドとビックデータは補完的である。
・ビックデータ時代に求められるデータサイエンティストは、データから新たなビジネス機会を創出したり、ビジネス
の問題をデータにより解決するため、統計・分析スキルとITスキル、ビジネススキルが要求される。
4.ビックデータの活用ポイント
・ビックデータ戦略を進めるには、社内データ資産の調査、データを活用した新ビジネス機会の検討、管理ポリシー
の立案、テクノロジーへの落とし込みの4ステップで進める必要である。
・ビックデータの活用ポイントとしては、想定されなかった利用の可能性を想定し、様々な切り口を残すために、
データの収集時点では、生データのままで保管し、データ資産の社内での流通を促進する必要がある。
・多くの企業がデータの戦略的重要性を考慮した社内の管理体制が出来ていないが、ビックデータが起爆剤となり、
この状況が変わる可能性がある。特に、最も重要な顧客の重要なニーズにフォーカスすることがポイントである。