ソーシャルとクラウド化がもたらす日本社会の変化と今後のあり方 佐々木俊尚様 H23.11.17


 1.垂直統合と水平統合
    ・ソーシャルメディア、グローバリゼーション、クラウドという言葉が話題になっているが、良く見ると世の中の
     考え方が大きく変わってきていることが分かる。

    ・以前、垂直統合から水平統合になると言われてきたが、最近、現実味を増しているように感じている。
     情報チャネルからレイヤーとして、ソーシャルメディアが台頭してきていると思う。
    ・以前、日本では使い勝手の良いワープロ専用機がワープロとしては使い勝手が良くないパソコンに変わった。
     ワープロは使い勝手が限られているので、APソフトを入れ替えると使い勝手が変わるパソコンに変わった。
     スマートフォンAPソフトを入れ替えると使い勝手が変わるので、急速にスマートフォンの利用が増加している。
     このように、日本では、機能が限定されている機器はオープンな機器に置き換えられることがある。
 2.プラットフォームモデルとは何か?
    ・これまでのテレビは、番組とCMをセットにして送られてくるのをチャネルを切り替えることしか出来なかった。
     グーグルテレビでは、アプリケーションを選ぶことで、テレビを見ることが出来るようになり、大きく変わった。
    ・将来のプラットフォームは、配信プラットフォームと決裁レイヤ、広告レイヤ、番組の4層になると思う。
     その場合、配信プラットフォームや決済レイヤは放送局でなく、Yahooなど放送局以外の業者が行うことがある。
     水平統合が進むと番組とCMのパッケージが崩れ、放送局はコンテンツ(番組)のみになり儲からなくなる。
 .プラットフォームモデルにおけるソーシャルメディアの重要性
    ・ソーシャルメディアのレイヤーは、流通プラットフォームと簡易決裁、ターゲティング広告、ソーシャルレイヤ、
     コンテンツ・商品 の5層から構成されており、水平統合が進んでいると考えられる。
    ・コンピュータの世界も昔はディスク、マザーボードなど色々な装置のすり合せが必要であった。
     日本のメーカはレイヤーとレイヤーの境目のところのすり合せが得意であった。今は必要がなくなってきた。
    ・今秋、クラウドの意識が変わっている。キンドルの本音はクラウドである。ありとあらゆる本はアマゾンにある。
     端末単体のビジネスでなく、モジュールとクラウドをセットにしてサービスするビジネスモデルである。
     日本は端末を良いものを作りたがるが、クラウドとして全体を見ないから、クラウドと上手く繋がっていない。
 4.国ごとの垂直統合の終焉とクラウドの波
    ・国毎の垂直統合が解かれるのがグローバル化である。テイムオライリーがGov2.0ということを提唱している。
     Gov1.0では政府が垂直統合した形にして情報を提供したが、Gov2.0は政府はデータのみ提供することになる。
    ・ワシントンでは各種のデータを公開してデータを活用したアプリケーションソフト開発のコンテストを実施した。
     予想した以上に沢山のアプリケーションソフトが開発され、データの有効活用が出てきた。
    ・今後、政府自体がクラウドのプラットフォームになり、企業や個人がその上で様々なAPLを作るようになる。
     政府のデータを解析し、ビジアル化してその意味を読者に伝えるデータジャーナリズムが出てくる。
     (データジャーナリズムをソーシャルクラウドという人が出ている。)
    ・政府のデータを構造化していき、企業や個人が使い易くするように、Excel化していくことになる。
 5.二極化する世界
    ・最近はソーシャルメディア日本製が減少し、,facebooktwitterなど海外の製品のみになっている。
     これはユニコードを活用することにより、グローバル化が進み易くなり、海外の製品が入り易くなっている。
    Facebook はソーシャルメディアとしてだけでなく、メールやチャット、動画が融合して使えるようになっている。
     更に、音声も利用できるようにする計画であり、総合的な通信ネットワークになり、非常に便利になってくる。

   →このような動きを考えると、個人、企業、政府は強力なクラウドを擁するプラットフォームになるか、ノマド化した
     モジュールになるか選択を迫られるようになる。