ケイタイの今とこれから   ドコモ:小森常務  H23.6.10

 
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モバイル通信の進化

   ・10年毎に世代交代している。1980年代に自動車電話に始まり、1990年代はデジタル(MOVA)方式となり、

    2000年代はデジタル(FOMA)方式が普及した。これからはLTEの時代になると考えている

   ・1999年に移動通信の加入者数が固定通信の加入者数を抜いた。この頃は年間1000万加入が増加した。

    今ではドコモではFOMAの加入者が98%となっている。米国では70%台、欧州では40%程度である。

    新しい方式ほど、電波が有効に利用されているため、FOMAの利用が進んでいる日本は世界でも最も電波が

    有効に利用されている。LTEを導入しても、3世代を運用する必要がないため、コスト的にも有利になっている。

   ・LTEとスーパー3G3.9世代の呼称は同じ意味である。LTEでは、周波数利用率を向上させるOFDMA

    複数アンテナを利用し通信品質を向上させるMIMOの技術を採用しており、第4世代に繋がるようにしている。

    第2世代は方式がバラバラであったが、第3世代にW-CDMACDMA2000に集約され、LTEでは統合される。

   ・パケットトラヒックは2009年から2010年には1.7倍となり、2010年から2011年には2倍に増加する見込みである。

    増大するパケットトラヒックに対応するため、動的なネットワークコントロールを行い、高速、高品質、低遅延の

    Xiエリア(クロッシィ)の拡大を20101224日から開始した。

    Xiサービスでは速度は10倍の高速で100Mb/s、容量は3倍の大容量、遅延は1/4の低遅延である。

    Xiサービスエリアの展開計画として、20117月には6大都市で、2011年末には全国県庁所在地で利用できる

    ようにし、2011年には100万加入の契約を目指している。また、3年で3000億円の投資を行う予定である。

   ・LTEはクラウドとの相性が良いため、端末の機能を軽くし、ネットワークに機能を持たせるようにする考えである。

    第4世代はIMT-advancedとして規格化しているが、欧州、米国ではWiMAXLTEを第4世代と呼ぶことが多い。

 2モバイルサービスの進化

   ・iモードサービスはITの進化に始まり、生活インフラ、パーソナル化と10年簡に急速に進化してきた。

   ・スマートフォンの販売が拡大している。2010年は252万台であり、2011年は600万台を計画している。

    スマートフォンの魅力は、購入した後でネットワークを利用し、アプリケーションを取り込み利用できることである。

    iモード端末でも、後でアプリケーションを取り込んで利用する機能はあるが、限定的であることが問題である。

   ・ドコモではスマートフォンの端末について、選んで、使えて、楽しめるように、ライイナップを揃えている。

    すべての端末が、Android2.3を利用し、最速14Mb/s、おさいふ機能、ワンセグ、防水、赤外線機能がある。

    これからは、iモード系のサービスのスマートフォン化とiモードコンテンツもスマートフォンで使えるようにする。

    これからのケイタイの特徴は、本人性と常時性、位置の特定などの機能を生かしたものにしていく考えである。

 3融合サービスの進化

   ・お客さまの利用シーンにあわせて、 便利で快適なサービスを実現する「融合サービス」にチャレンジしている。

    「融合サービス」により、契約数の拡大と新しい付加価値の創出を目指している。

    携帯電話の通信機能と、既存のコンテンツやサービス、機器を組みあわせて、新しい利用が可能となる。

    ・産業機器との融合:FOMAを内蔵した自動販売機の遠隔制御や在庫管理、電子マネーによる購買 など

    ・車(ITS)との融合 :日産リーフに通信ユニットを持つカーナビにより、電池残量や充電スタンドなどを支援する

      更に、SANYOやパイオニアとカーナビとスマートフォンを結合したサービスや製品を検討している。

    ・放送との融合 : マルチメディア放送を2012年に開始する

    ・情報家電との融合 :家庭内の様々な機器をネットワーク化することで、家の外から操作したり表示する。

    ・電子図書との融合 :大日本印刷と様々なデバイスに対応した電子出版コンテンツの配信サービスを検討中。

    ・金融との融合 :ドコモが資金移動業者(資金決済法7)になり、電子クーポン電子トルカの効用を拡大を目指す。

    ・モバイル空間統計 :ネットワークの運用データから全国の人口分布(500mメッシュ)を分析することにより、

                 東大や工学院大学と街づくりに利用するの研究をしている


 4.震災対策

   ・東日本の大地震では、312日に4900局がサービスを中断したが、426日には全局的に回復した。

    東京電力福島第一原子力発電所の30キロ圏内についても、移動基地局車の設置や伝送路の迂回、指向性

    の強い高性能アンテナの設置などを利用することにより、413日にはかなり回復させることが出来た。

    災害の時には、無料端末の貸し出しや災害用伝言版の活用、エリアメール(緊急地震速報)を活用した。

   ・ドコモの新たな災害対策として、人口密集地や行政機関が密集するエリアの通信確保、被災エリアへの迅速な

    対応、携帯電話ユーザーのさらなる利便性向上 の基本方針を発表し、2011年には235億円を投資する。

   ・広域災害時の通信手段を確保することを目的に、人口密集地の約7Kmをカバーする 大ゾーン方式の基地局

    を設置する。基地局は災害発生時のみに稼働し、大都市圏に複数局、道府県に2局、全国100カ所に設置する。

   ・都道府県庁や市町村役場などの自治体機関をカバーする約1900の基地局については、24時間の無停電化

    するため、基地局バッテリーの容量を増やすほか、発動発電機の設置を進める。

   ・被災エリアの通信手段復旧に、衛星通信を活用するため、衛星携帯電話と衛星エントランス基地局の倍増を

    計画して、避難所での通話サービスを迅速に提供する考えである。

   ・災害時でもつながりやすいパケット通信を使った音声ファイル型のメッセージサービスを開発する。

    端末で録音した音声をファイル化し、パケットで伝送するサービスを開発し、2011年には提供する予定である。