| スマートイノベーションを支えるドコモのネットワーク ドコモ 岩崎常務 H23.10.6 |
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1.モバイルの動向とスマートフォンの拡大 ・世界のモバイルは53億契約になり、固定通信の12億加入を大きく上回り、通信の中核となっている。 モバイルのブロードバンド化は日本では100%近くなり、アメリカも普及が進み、東南アジアも急増している。 2010年のブロードバンドの状況はモバイルは5.6億契約となり、5億加入の固定通信を追い越した。 ・日本のモバイルの平均通信速度は1Mb/sを越えた。年々高速化し、2015年には5倍となる見込みである。 データ通信の売上比率は、ドコモは52.8%となり、米国は40%、韓国は35%、欧州は33%となり、増加している。 ・スマートフォンは、2010年4〜6月では0.6億台で、,Androidが17%、Symbianが40.9%、iosが14.1% であったが、 2011年4〜6月は1.1億台に増え、 Androidが43%、Symbianが22%、iosが18% となり、Androidが主流である。 Android はオープンなOSで自由度が高く、端末のラインアップも豊富だから、ドコモはAndroid を選択した。 ・ドコモのスマートフォンは、2010年は252万台を販売したが、2011年第1四半期には130万台を販売した。 7月は83万台を販売しており、急増している。8月の国内のスマートフォンのシェアhは55.9%となった。 ・2011年夏モデルではスマートフォンを 9機種+2機種 を出しており、10機種が Android2.3 を利用している。 iモードサービスをスマートフォンで提供することも進んでおり、冬モデルからはiコンシェル、コンテンツの課金 マイメニューを提供する予定であり、課金認証により、スマートフォンに変えてもコンテンツが引き続き使える。 2.増大するトラフィックへの対応 ・パケットのトラフィックは2009年から2010年に1.7倍増加した。2010年から2011年には2倍伸びる見込みである。 今後、5年間で5倍程度増加する見込みであり、帯域に制限があるため、周波数を有効利用する必要がある。 ・Xi(LTE)では周波数の利用効率を上げて、3倍の大容量化を図り、10倍の高速化、1/4の低遅延を実現した。 Xiエリアの拡大を図り、2011年8月は30万契約であるが、2011年末には100万、2014年には1500万にしたい。 10月からタブレット端末を2機種、スマートフォンを4機種販売する予定である。Xi向けサービスを充実するため 2種類の動画サービス:Hulu、Jooky とビデオチャットqik、ゲームGCLOUD を提供する予定である。 2つの料金体系があり、7Gを超えると、128kに制限する方法と2G毎に2625円/月追加する方法を選択できる。 ・一部の大きなデータ量を通信しているお客様に対し、動的なネットワークコントロールを利用し効率化を図る。 現在は,5%のお客様がネットワーク全体の50%を使っている状況であるため、混雑時には300万パケット/3日を 越えている利用者にはQoS制御により、現行の定額制でも普通の利用者が迷惑を受けないようにする。 混雑時には、送信スケジュールを普通の利用者の優先度を上げる ことにより、対応することにしている。 フェムトセルやWifiを活用してデータをオフロードすることにしており、2012年上期には3万ポイントを設置する。 更に、今年の10月から公衆無線LAN接続オプションの無料化を実施した。 3.ドコモのネットワークの進化 ・ドコモのネットワークは4つの階層から構成している。 一番基盤となる部分は、WCDMAからHSPA、LTEと発展し、2015年には4G(LTE-Advanced)を完成させたい。 4Gでは下り1G、上り500Mb/sの通信速度を実現する見込みである。高速化には100MHz帯域が必要であるが 20MHzしかないので、20MHzを束にして利用する技術を開発した。LTEのマイグレーションにも配慮している。 ・2番目のモバイルバックホールは、TDMからATM化を進めており、更に、ATMとイーサ系に更改する。 伝送路も10Gから、40G、更には、100Gに高速化することを進めている。 ・3番目のコアネットワークは、ATMから ATM/IP化に進めており、音声も含めすべて IP化していく。 IMS(IPマルティメディアサブシステム)を導入し、音声のIP化を実現すると共に、VoLTEにより、音声をLTE化 することにより3Gに比べて、音声についても 2〜3倍の収容を可能としている。 4番目のドコモネットワーククラウドはサービスの基盤であり、ドコモサービスイネーブ群と呼ぶ機能群(部品) をドコモが用意し、お客様が容易に短期間でサービスを開発し、提供できるようにする。 現在、ドコモでは日本語と英語の通訳通話の研究を進めており、11月には実験を行う予定である。 ドコモとしては、大きな処理能力を必要とする機能をネットワークに持たせることにより、端末だけではできない サービスを実現することにより、多彩なサービス実現したいと考えている。 ・総合サービス企業に向けた取り組みとしては、マルティメディア放送で、リアルタイム放送と蓄積サービス放送 実現する予定である。モバイル空間統計では、大学等と連携して街づくりや防災計画の利用を研究している。 4.安心・安全ネットワークへの取り組み ・震災に対して、安心で安全のためのネットワークを目指して、大ゾーン化、衛星回線の活用、原発20km圏内 のエリア化など、各種の研究開発や導入を進めている。 今後、重要エリアの通信確保や被災エリアの迅速な対応とサービス強化に取り組んでいる。 ・今回の震災では、復旧エリアマップを作成し配布したり、無料端末や電池の充電器の貸出しなどを行った。 更に、今回の震災では音声通信が不通になったが、パケット通信の方は繋がったことから、音声をファイルに 変換して、蓄積して連絡できる音声型メッセージサービスを開発し、これから導入する予定である。 今後、ドコモとしては、総合サービス企業に向けて、積極的に取り組んでいく考えである。 |