「人と地球にやさしい情報社会」の実現に向けて  NEC 矢野会長  H23.10.4

 1.大震災を乗り越えて

   ・輸出企業のマインドは震災前に戻ったが、回復は非常に緩やかで、リーマンの前まではまだ戻っていない。

    消費者マインドはまだ回復していない。今回の震災の回復で感じていることは、現場力の強さである。

   ・大型小売店は震災前より良くなったが、港湾は54%、農地は37%と回復が遅れている。ギリシャ問題もある。

   ・ICT関連で見ると、投資は戻ったが、消費はまだ回復していない。現在の日本は6重苦と言われている。

    GDPと同様にICT市場は新興国が伸びている。新興国のICTが伸びているほとんどがモバイルである。

   ・震災で分かったことは、日本が世界に誇ってきた電力が不足する事態が起こったことだ。

    これからは、我慢の節電から快適な節電に向かったエネルギー対策に取り組む必要があると考えている。

   ・世界の課題は、金融システムの不安と国家資本主義の台頭のニューエコノミー、水・食糧不足やエネルギー

    不足などの資源エネルギー問題、安全・安心である。これらのことをICT技術で対応していく必要がある。

 2.人と地球にやさしいスマート化

   ・インターネットの利用は拡大しており、先進国の普及率は70%となっているが、新興国はまだ20%である。

    ネットワーク的には、ブロードバンド化が進化しており、現在はモバイル、ソーシャルネットなどの利用が

    増加している。今後は色々な技術を組み合せ、スマートイノベーションを起こす必要があると考えている。

   ・スマートイノベーションとは、新しい変化であり、5つの層の要素から構成される。

    第1層はワイヤレッス・ブロードバンドネットワークで、第2層はクラウド、第3層はスマートフォンやデバイス

    から構成されている。これらの上に、第4層は新しいサービスであり、第5層は新しいビジネスである。

    新興国では固定通信は普及する途中で伸びなくなっており、移動通信だけが伸びている。

    インドでは携帯の普及率が92%であるが、電力の普及率は69%、アフリカは携帯が82%で、電力は45%である。

    新興国では携帯と電力の利用に対する考えが異なっており、蓄電器などが伸びると考えて対応している。

   ・これからはマシン・ツウ・マシン通信が増加する見込みであり、データトラフィックが急増する見込みである。

 3.スマートイノベーションに向けて

   ・経済学者のヨーゼフ・シュンペーターは、イノベーションが低迷すると経済は不況になると言っている。

   ・イノベーションは新しい組み合わせであり、常にイノベーションを起こしていく必要がある。

   ・欧米では先進的サービスや公共性の高いサービスが進み、日本は先進的インフラと個人利用が主流となり、

    BRICsではPCや携帯の急増とインターネット、政府・企業の利用が進んでおり 各国の事情が異なっている。

   ・横断的課題としては、セキュリティ対策、人材の育成、グローバル化、プレイヤーとビックデータがある。

   ・NEC としては、クラウドサービスとクラウド基盤、クラウド端末やセンサーを組み合せて取り組んでいく。