商社に学ぶグローバル人材の育て方  三菱商事  占部様   H23.9.29

 1.三菱商事の現状

    ・三菱商事の2010年の利益は4632億円で、投資額は4兆円である。2012年には利益が5000億円、
     投資は
2兆円から2.5兆円を見込んでいる。社員数は6000人で、連結会社を含むと6万人となる。
     今後の戦略的な投資は、インフラ環境の整備とインド、中国、ブラジルへの投資である。

    ・利益について国内は20%で、海外が80%であり、取引の利益は25%で、70%は投資によるものである。

    ・商社は10年毎に会社の根幹を揺るがすような出来事が起きており、その都度、大きく変化してきた。

     当初の仲介によるビジネスも数年経てば、自ら商売を行うようになり、商社が外れるようになった。

     現在は海外を中心に、投資をして、会社を起こしてビジネスをして利益を受けることが主流である。  

     しかし、投資をして利益を受け取る形態では、時間がかかり、当初は持ち出しとなる傾向が強い。

     この結果、今では日本と海外との取引より、投資会社による第3国間の取引が急増している。

 2.グローバル人材の育成

    ・三菱商事としては、1980年頃からグローバルに活躍できる人材の育成に取り組んでいる。

     1980年代は北アメリカ中心に採用や大学等への派遣等を行ったが、今では一切動いていない。

     1990年頃はNational Core Staffの考えで、本社・現地雇用スタッフの育成に取り組んだ。

     1990年中頃からは、アジア中心に育成することに取り組み、香港に人材会社を作ったりした。

    ・今は、若手社員には、6ケ月から1年間若手研修を実施しており、毎年100名程度育成している。

     語学研修としては、1〜2年現地での研修を行っており、毎年2030名育成している。

     ビジネススクールとしては、12年間の研修を実施しており、部長以上はすべて受けている。

    ・NSキャリア開発支援として、毎年150名を本社に集めて仕事を覚えて貰ったり、人脈を作っている。

     しかし、日本語が出来なくても現地投資会社で活躍している人が増えており、本社に連れてきても

     成果が上がらない状況になっている。

 3.今後の取り組み

    オールマイティの解決策はないため、地道な活動を行うが、実行、スピード、継続がポイントである。

     ・事業モデル自体がFromJapanToJapan から日本を離れた事業が増加している。

     ・MCグループのidentityを共有し、会社、国を越えて、MCグループとして束ねることが必要である。

     ・国を越えた人材獲得、活用等のためのプラントフォームインフラを構築すると共に、本社社員と

      現地投資会社社員の相互交流を促進する。