「貢献力の経営」   NTTデータ山下社長 H23.9.16

 1.NTTデータの事業状況

   ・NTTデータは、NTTから分社し、電信、電話に続く、第3の通信とするデータ通信により、社会的課題を解決し、豊かな

    社会を実現するために設立された。そのため、NTT時代は社会貢献ということを徹底的に頭に入れられた・

   ・民営化するまで20年間は赤字であったため、民営化後は利益を上げることに専念させられた。民営化は初年度から

    黒字となり、これまで黒字経営を続けている。最近になって、民営企業と公営企業は差がないと思うようになった。

    民間企業も社会に役に立つことにより、売上が上がり、利益が上がるのだと思う。

   ・ITサービス産業が社会の課題を解決できているか考えてみると、非常に残念な状況であると考えられる。

    成長産業は不在で、低酸素問題やワーキングプアなど生活は破たんしている。人口は減少し、少子化の時代になり、

    治安は悪化している。政府は財政難で、地方の過疎化、大都市集中など、インフラクライシスを起こしている。

    多くの社会的課題に対して提案が出来ておらず、受け身的になっているため、課題はそのまま残っている。

    ITサービス産業は労働集約状態が変わらず、3Kと言われて若い人に嫌われ、職業としてのイメージが低下している。

   ・野村総研の社長と話をしたら、同じように考えていることが分かり、社会的な課題に対して共同で取り組むこととした。

    社会的レベルではクリエイティブシテイを、業界レベルではシステムアーキテクチャを検討していくことして2年経った。

    今年は東日本の震災に対する取り組みをFacebookで募集したら、社会人を含めて、6212チームの応募がった。

    4チームを選定して、8月には仙台で集まって貰い集中的に検討して、実践する段階になった。是非、成功させたい。


 2.
NTTデータの課題

   ・NTTデータの社内で意見を聞くと、大企業病という意見が70%となり、改革が必要という意見が80%となった。

    人材流動性が低いという意見が80%、自分の業務以外に興味を持っていないが60%、会社の将来に危機感を持って

    いるが57%、リーダシップのある人材が少ないが60%、指示を待つ人が多いが48% とNTTの時の悩みが出てきた。

    NTTデータも大企業病になり、多様化するお客様のニーズに対応出来なくなってきていることを心配している。

    NTTデータになった時から、NTTのように人材流動により専門的な知識が不足すること避けて、専門家を育ててきた。

   ・企業は規制緩和により、新しいビジネスを立ち上げようとしており、NTTデータに対して対応することを要求してきた。

    このようなお客様の要望に応えるためには、プロジェクトやチームを越えた能力が必要となったきた。

   ・セクショナリズムは、協調を促す和の文化や終身雇用制により、出てきたと考えられる。

    更に、成果主義の導入や効率化の追求により、協力する文化が損なわれたと考えている。

   ・社員の提案により、社内SNSを立上げたり、デザイン支援チームを作った結果、他の社員を支援するようになった。

    SNSでは実名を出すこと、公私共に利用して良いこととしたことで、上手くいった。働く人には貢献心が存在すると思う。

    専門的知識を持つ人は、他の社員を支援する気持ちが強いと思う。他の人を支援することで自分が成長している。

   ・社会が個人を支援しない場合が増えたため、企業が公私をダイナミックに組み合わるフラットな組織を作る必要がある