最近の世界情勢と日本外交  岡崎久彦様  H23.9.10


 1.日本の政治について

    ・総理大臣が変わってホッとした感じである。

    ・鳩山さんは東アジア共同体を言い出した。東アジア共同体は中国が言い出したものである。

     ASEAN10ケ国を中国が取り仕切るため、中国が言い出したが、既に、ASEAN諸国と日本、韓国が

     定例的に打ち合わせる場があったので、インド、オーストラリア、ニュージランドを追加する提案を

     して、中国の意向と合わなくして、潰した経緯がある代物である。それを鳩山さんが言い出した。

     過去の経緯も知らないで急に言い出したことから、誰も相手にしなくなった。

    ・思いつきで言い出して、上手くいかなくなり、外務省は仕事が出来ない状況になった。

     最近の政治は、政治主導の問題というより、人の上に立つことを知らないことが問題だと思う。

     部下を信頼しないでは、部下は動かない。官僚は判断を求める時には選択肢を持ってくる。

     上に立つ人は選択肢を選び、責任を取ることを求められる。急に、思う付きで言い出すのが最も悪い。

     部下が振り回されて動けなくなる。

    ・震災が起きてからも、次々と諮問委員会を立ち上げるが、評論家ばかり集めるので、言い放しになる。

     実務者が入っていないため、何も出来なく、役に立たない。無茶苦茶だ!

    ・今回の組閣で50代の人になった。全共闘時代の人が去った。欧米でも68年世代の人はすべて去った。

     学生運動に嫌気をさし、自民党が大勝した時があった。その時の当選した政治家は違っていた。

     上の言うことは聞かないで、自分の言うことを聞けと言って、佐藤首相に会わせろと要求してきた。

     忙しく会えないと言って断ったが、佐藤首相に会せたら何も言うことを持っていなかった。


 2.これからどうしたら良いか

   ・今の国際情勢はリビアの問題などで特別な時期であると考えた方が良い。

   ・日米同盟が大事である。1588年の英国艦隊の時代から400年が経ち、大きな流れが続いている。

    日英同盟の時代は楽だった。海軍の力は英国が第1位で、日本が第2位で世界中を抑えていた。

    第2次大戦の占領思考として、マッカサーは大正デモクラシーに戻せば良いと考えていた。

    しかし、マッカサーの部下は、愛国心を含め日本の軍事的ポテンシャルをすべて壊すことであった。

    戦争デモクラシーは国民に根付いており、平和で安全なら民主主義が良いが、日米同盟が大事である。

    日米同盟は日本には都合が良いが、米国にとってメリットはなにがあるか考える必要がある。

    日本は集団自衛権を制限しており、日本に期待しているアジア諸国は日本は無力と考えるようになった。

    中国や北朝鮮の横暴に対し、日米同盟を維持するためには集団的自衛権を行使する時期に来ている。