国際情勢から読む明日のビジネス  岡本行夫  H23.6.3


 1.はじめに

    ・今回の東日本大地震はあまりに酷い状況であり、現地に行ったが、涙が出るだけであった。

    現場の切実感が大事である。現地では、津波対策はやっても無理だという意見が多い。

    市長や町長に会ったが、津波対策より、津波がきても住民の生命を守ることだと言っていた。

    みなさん、早く生活を直したいと言っている。そのためには、何よりも必要なのは人とのことである。

   ・このような事態では、上の人は責任を取ることで、作業は現場に任すことが大事である。

    危機だということを認識することがポイントであり、ボタンを押す必要がある。

    現地に行くとガレキの撤去は進んでいる。これは、自衛隊と市町村に任せたからである。

    政府は方向を決めたら、後は現場に任すべきだ。

   ・日本の現場力は凄い。羽田飛行場の拡張も各団体との打合せを3000回も行い、41ケ月で完成させた。

    米軍も114千人の軍隊が良く活躍している。中国は14人が1週間来ただけである。

    このような時期だからこそ、日本にとって、ありがたいか良く分かる。

    今回の災害では世界中が日本を支援してくれている。この状況に対して、ODA2割削減する政府の

    考えは正しいとは考えられない。日本は国際社会と共に生きていることを忘れてはいけないと思う。

    東北は、国内でも豊かな漁場であり、漁業の復興が重要だと思う。早急に立て直さないと漁期を逃す。

    港の復旧が急がれる。漁業を復興させるには冷凍庫の復旧が急がれるとのことであり、冷凍庫の

    会社の社長に頼んだら、早速手配してくれた。冷凍庫を運ぶトラックも会社に頼んだら手配してくれた。

    日本の会社はトップの決断が早くて、迅速に動いてくれる。

   ・今の日本には、電力問題、労働規制(派遣法)、環境規制、円高,FTA/TPP、法人税、増税、と課題がある。

    このままでは、企業が海外に出始める。世界の多様性の包摂力が要求されている。

    現在は、世界で大きな問題が起こると世界中のタレント(能力)を集めて、チームを作り対応している。

    今の日本政府は、福島原発の問題に対するフランスや米国の提案を拒否した。

    介護の問題でも、東南アジアの介護士を排除する方向である。日本が孤立する方向に進んでいる。

   ・企業の尖った人を活用するのが世界の潮流である。ロッキードのスカンクチームは好きなことをやらせ

    効果を上げている。多様性を統合して新しいプラットフォームを作っている。

   ・今の日本は居心地の良い国である。次世代の先食いしているからであり、若い人の覇気がなくなっている。

    IT技術で世界中の知識(タレント)を集めることが出来る。世界中の空間が一体化している。

   ・これまで、潜在成長力は生産性の伸びと人口の伸びを加えたものであると言われてきた。

    しかし、生産性の伸びはIT技術の進歩により、世界のどこでも活用できるようになったことから、

    人口の伸びが経済の伸びに繋がることになった。そのため、新興国の経済が伸びるようになってきた。

    世界が急速に変化しているため、世界がどう変わっているか、トレンドを見ることが重要である。

   ・中国は、ベトナム、台湾、韓国、日本など7ケ国が中国の領土であるという考えがある。

    尖閣列島で中国が日本に妥協すれば、中国は台湾でも妥協しなければならなくと考えている。

    そのため、尖閣列島のトラブルが簡単に解決するとは考えない方が良いと思う。

    このようなことを考えると、親日性が大事なようであると考えている。

    このため、中国は難しいが、ウクライナやベトナム等は親日的である。

    ブラジルは移民も非常に沢山おり、日系の人がブラジルで重要な立場にいるため、大事にするべきだ。

    今後はアナログ的な感性が重要になると考えている。シナリオに基づいて考えることが必要になる。

    これからは、世界を広く見て、我々から環境を変えていく気持ちが必要だと思う。