社会貢献とリーダーシップ 社会学部 明石教授
・リーダーシップは自分の企業の成果を上げる場合に使われることが多いが、地域活動でのリーダーシップ
について考えたい。チャレンジコミュニケーション大学の設立趣旨は、“チャレンジコミュニケーション大学は、
高齢者や高齢を迎える方が、学習を通じて個々の能力を再開発し、自らが生きがいのある豊かな人生を創造
するとともに、今まで培ってきた知識・経験を地域に活かして、地域の活性化や地域コミュニティの育成に積極
的に活躍するリーダーを養成することを目的としています。“ である。
・マズローの欲求の5段階説というのがあり、自己実現が満たされたら幸せになれるという説である。食欲や寝る
ことの生理的欲求、生きていたいという安全欲求、仲間が欲しいという所属と愛の欲求、認められたという承認
欲求、やりがいや高い評価を受けたいという自己実現欲求、の5つの欲求である。これらの欲求は段階を踏む
ものではなく、混ざることが大半である。難民を考えると、食べることと生きていたいということが第一であるが、
高校の卒業証書を持って出た若い人もいる。認められたいという欲求をもっているのである。男女の差はある。
男性は会社を退職したら、所属と愛の欲求を探している。年齢的にも欲求は変わってくる。
・社会貢献について、ドラッカーはどのような貢献が出来るか自問するが、みんなで考えるプログラムになっている。
社会貢献は一人では出来ないので、チームの中でコミュニケーションが生まれ、自分も成長していくのである。
・港区の立ち位置を考えてみる。2012年の23区の所得水準は、港区は903.7万円で1位である。2位は千代田区の
763万円、3位が渋谷区で684万円、4位は中央区で547万円、5位は文京区で546万円で、最下位は足立区の323
万円である。23区の平均所得水準は429万円で、全国平均は321万円である、港区が全国で1位である。全国では
兵庫県芦屋市で567万円で4位であり、武蔵野市が6位である。所得水準とは納税の人の課税対象所得である。
・港区の所得が上がったのは2003年に六本木ヒルズが出来て、若い高所得者が集まってきたためであり、その後、
都市型の高額の人が増えていった。また、外国人の高額所得者も増えている。リーマンショックで所得水準は一時
下がったが、また、増えている。大卒者の割合は、2010年には千代田区が53.4%であり1位、港区は52.2%で2位、
文京区が51.5%で3位、中央区が48.7%で4位、世田谷区が47.7%で5位、最下位は足立区で19.9%である。
・合計特殊出生率は、人口動態統計では、2013年の全国は1.43であり、東京都は1.13で全国最下位である。港区
は1.16であるが、港区の人口は増えている。また、子供の数も増えている。子供(0~14歳)の人口比率は全国
平均は13.2%であり、東京都は11.4%で全国最下位である。23区は10.8と更に低い。2000年と2010年を比べると
全国は9%減少しており、東京都は4%増加している。その他で増加しているのは神奈川県の03%のみである。23区
は5.1%増えている。0~4歳児を見ると、全国では10.3%減少しているが、23区は8.2%増えている。これは23区は
就労機会が多いということだと思う。
・人口の高齢化について、高齢化に歯止めがかかった区は、千代田区、中央区、港区である。1995年のバブル期の
高齢化ランキングの1位は千代田区で、3位は中央区、港区は6位だったが、2010年には千代田区は16位、中央区
は23位で最下位、港区は22位となっている。港区は高齢者が増えているが、高齢化率は22位と低くなっている。
・ シルバーパワーとして高齢者就業率を見ると、1位は千代田区で44%、2位は台東区の42%、3位は文京区の36.7%、
4位は中央区の36.3%、5位は港区の36.2%、23位は北区の24%である。シルバー人材センター登録率は代田区が
1位で8.1%、2位は港区で,7.9%、3位は荒川区で7.0%、4位が墨田区で6.4%、5位は品川区で5.8%である。台東区は
町工場などが多く、高齢化しているが、働いている人も多い。北区はサラリーマンが多いためか、高齢化していると
同時に働いている人は少ない。シルバーの働く機会が少ない感じである。
・地域住民の活動事例としては、品川区の八三運動がある。朝8時と夕方3時は外に出ようという運動であり、PTAの
自治会長が提案して、品川区が取り上げている。品川区の“まもるっち”は、子供にGPSの付いたお守りを持たせて、
子供を守る体制を作っている。住民が発案し品川区が採用している。
・ハーズバーグの動機づけ・衛生理論がある。人が動機づけられる要因としては、労働環境、時間、金銭、身分などの
衛生要因があり、これは不満感をもたらす。一方、達成感、自己成長、エンパワーメントなどの動機付け要因がある
が、これは満足感をもたらす。衛生要因が満たされない状況では動機付けを行ってもモチベーションは上がらない。
リーダになることをためらっている理由を分析することが必要である。動機付けを阻むものを残しておくと動機づけが
あっても上手くいかない。他人からやれと言われても続かない。自分からやりたいと思わないと続けていくことが出来
ない。社会貢献で資金が必要となる場合は、資金調達などにクラウドファンディニングなどを使う方法もある。
「感想」私達がCC大学を終了後に地域貢献を行うリーダーになるために、説明された講義と思うが、今一つ頑張りたいと思う
気になれない感じである。自分が高齢者であるため、健康や体力に自信がない状況では他の人と一緒に生きていく
ことは出来ても、支援するということには自信が持てないことがあると思う。」また、色々とNPOなどが活動している状況
では、自分がなにか新しいことが出来るかというと不安があるという状況だと思う。自分が好きでやっていることの延長で
貢献できることがあれば、したいと思う。