港区財政の現状について 財政課 湯川課長
1.港区の財政状況
・港区の歳出決算ベースでみると、ここ10年間1000億円レベルである。22年度ではリーマンショックの影響で歳出は減っている。
歳入は人口に影響する。27年7月1日の港区の人口は243094人で増加している。歳入には、一般財源と特定事業用の特定
財源がある。港区は一般財源が70%を超えている。一般財源が多いほど自由度が高いが、港区は23区の中では住民税の
割合が高い。歳出については、民生費、教育費、土木費などである。性質的には義務的経費と投資的経費の2つがある。
港区の義務的経費は35%と低く、投資的経費とその他の経費が多い。歳出の内訳は、民生費が多く、教育費も増えている。
・港区の基金(貯金的なもの)は1254億円であり、区債(借金)は54億円で年々減少している。財政の健全性としては経常収支
比率が72.1%であり、一般に70〜80%であれば健全と言われている。
2.27年度の予算
・予算編成方針は、区民一人ひとりが誇りに思える成熟した国際都市を実現する予算である。一般会計は1141億円で、3つ
の重点施策、@快適な都市機能と地域のにぎわいを創出するための取組、A子どもの健やかな成長に向けた取組(言い
換えるなら、子育てするなら港区)、B高齢者や障害者など、誰もが安心して暮らせるための取組、を重点にして取り組む。
・一般会計は26年度より減少している。26年度は港パークや朝日中学校、などの支払いが集中したので増えていたためである。
27年度のトピックスとしては、基本計画事業に取り組んだことである。また、消費税引き上げ分の使途を明確にした。
歳出の3つに重点施策として、港区に多いがけに対して、がけ擁壁の改修の助成事業を開始した。待機児童の解消では56億円
をかけており、港区スポーツセンタのプール跡地に100人用の保育所をつくる。学童保育の充実や子育てコーディネータ事業を
スタートさせた。高齢者や障害者支援として、3.5億円をかけて南麻布4丁目に100床の施設をつくる。
・港区の歳入構造としては、特別区税が58.3%と他の23区に比べると非常に高い。一方、地方交付税に相当する特別区財政調整
交付金は非常に少なく、1.1%である。一般財源が72.7%であり、他の区に比べるとかなり高く、特定財源は27.3%と他区より低い。
歳出は、投資的経費が26年度の33.2%から14.5%と大幅に減少しているのが特徴である。1万円の使い道をイメージしてみた。
・経常収支比率は、適正な水準を維持しているが、今後も、緊急課題等に的確に対応できる財政構造を維持していく必要がある。
財政運営としては、削るところは削り、出すところは大胆に支出していく考えである。
「感想」港区は住民税の収入が多く、財政的にはしっかりしていることが理解できた。特に、首都直下地震対策として
1200億円も蓄積していることは頼もしいと思った。しかし、財政のほとんどが子育てや高齢者の設備に使われて
おり、都市の環境整備や災害対策に使っていないのが気になった。