港区の防災対策について        防災危機管理室  高橋室長

   ・東日本の大震災では、一般家庭や事業所の他、区有設備でも被害が出た、区有設備では建物や道路、公園などで被害

    が出た。そのため、東日本大震災に伴って、港区の防災対策を見直した。首都直下型地震も今後30年間には80%でくると

    言われている。公共施設も優先的に取り組むものと先送りするものに区別して見直した。安全性、緊急性、必要性から判断

    して、優先度の高いものは子育て支援、高齢者支援、障害者支援とした。検討するものとしては、田町駅東口北地区公共

    施設など8施設と都市計画道路の整備など3施設である。田町の駅の近くに出来た港パークについても、津波のことを考えて、

    非常用発電機を地下から高いところに変更した。事務事業でも当初予算対して、前倒しや執行停止などを検討し、37%の

    事業を見直した。子ども課長の時に保育所や幼稚園も一律でなく、個別に状況を見て、マニュアルを作ってやってきた。

   ・節電対策や夏期電力不足対策では、港区節電対策基本方針に基づき、区有施設における電力使用量を25%を節電した。

    港区でも福島第一原子力発電所の事故以来、放射能対策にも取り組んでおり、港区役所にモニタリングポストを設置したり、

    給食の放射能調査も行った。これらのことから港区防災対策基本条例を2310月に制定した。集合住宅に対する震災対策

    を制定したり、高齢者や帰宅困難者対策も検討した。

   ・港区の防災対策の基本的な理念は自助、助、の他に共助を考えた。自助は自らのことは自らが守る。公助は区が区民等

    の安全を確保することである。共助は地域においてお互いが助け合うことである。自助といっても、高齢者や外国人などがおり、

    自助そのものが出来ない人もいる。単身世帯でも若い人が増えている。リスクも増えている。そこで、共助が必要となってくる。

   ・法律に基づいて作った港区地域防災計画があり、東日本大震災の教訓を生かし修正した。港区の防災対策に女性の視点に

    立った修正を行った。災害対策では男女共同参画で取り組み必要があり、女性の視点を反映した避難所運営体制を構築した。

    プライバシーの確保や妊産婦や育児中の女性に配慮、女性・子ども等の防犯対策などと共に、女子専用トイレを配置した。

   ・港区では津波シミュレーションの結果を踏まえ津波対策も検討した。以前の経験から見ると海抜2.5mまで津波がくるとの考えから、

    海抜表示板を設置したり、津波ハザードマップを作成したり、津波避難ビルを指定した。避難者に対する名簿も作っている。

    高層住宅の災害対策として、共助体制づくりや「居住者の防災知識・意識の向上、長周期地震対策、備蓄スペースの確保の

    充実策をつくり、新たな助成制度を開始した。また、帰宅困難者対策として駅周辺滞留者対策推進協議会を設置した。

   ・港区は23区の中でも最も起伏に富んだ地形を形成しており、麻布・高輪地区には急な坂道が多く、急傾斜地崩壊危険個所が

    118所もあり、土砂災害対策も行っている。2610月に台風18号の接近に伴い、避難勧告を出したが、避難勧告の発令時期

    や地域を明確にしたマニュアルが整備されていなかったので、大変混乱した。そのため、避難勧告の発令基準を整備している。

    最近は大雨でも避難勧告が出て、区では避難場所を設置するが、来れない場合もある。普通の家では安全なところに避難する

    とか、マンションなどでは急に動かない方が良いこともあるので、安全なところに留まることも大事である。

  「感想」港区にも危険な個所が多く、防災対策も幅広く取り組んでいることが分かった。災害時には高齢者だけでなく

       女性に気をつけていくことは良いことだと思った。現実的には、帰宅困難者の問題は大きな課題だと感じた。