障害者雇用の現状とその行方            八木原先生

1.働くということがどうなっているのか、制度等を説明する。

   ・就労支援とは、障害をもっていても働きたいとか働き続けたいと思っている人の多くが、働くチャンスと周囲のちょっとした工夫と

    手助けがあれば、十分働くことが出来るので、その支援を行うことである。働くための準備学習や職場体験、実習を支援していく。

   ・働くことで周囲から期待され、社会的に役立っているという実感が得られれば、自信が生まれ、勇気を持ってチャレンジしていく力

    を得ることが出来る。ILOは働き甲斐のある人間らしい仕事の実現を進めている。

   ・日本の障害者の雇用促進に関する法律があり、障害者の雇用の安定を図り、障害者に対する差別を禁止している。従業員が

    50以上の企業にしては障害者雇用率制度があり、障害者を従業員の2%以上の雇用を求めている。港区では、1000人以上

    の企業が多いので、2.6%となっているが、全体では半分以下である。雇用指導官が企業を回って指導している。未達成なら1

    5万円/月の課徴金が課せられている。また、障害者の職業自立を図るために、職業リハビリテーションを推進している。

   ・障害者の権利条約を20141月に批准しており、2016年からは国連に取り組み状況を報告する義務が出てきている。

    障害者にちょっとした支援やコミュニケーションスキルを大切にするため、ナチュラルサポーターがいる。指示された仕事の順序が

    途中で分からなくなったり、困ってその場で立ち尽くしたりすることがないように、事前に起こりうる事態に備えて学習したり、同じ

    事態を招かないように繰り返し学習して送り出すようにしている。

   ・就労支援に良く出てくる支援機関としては、病院や保健所のディケアやクラブハウス、就労移行支援事業所、就労継続支援B

    事業所、就労継続支援A型事業所、ハローワーク、障害者職業センター、障害者就業・生活支援センターなどがある。

   ・就労支援の制度としては、トライアル雇用、ジョブコーチ支援、職場訪問・振り返り、就労ミーティング・OB会などがある。

2.障害者就業・生活支援センターのワーキング・トライについて

   ・雇用支援ワーカーの下園美佳さんから、実例に基づき説明があった。板橋区には、JHCという心の健康と福祉を守る会があり、

    32年前から活動しているとのことであった。障害者就業・生活支援センターでは、相談支援、障害者支援、企業支援を行っており、

    コーディネート機関としても活躍している。東京都は5359センターを設置しており、広域か、在住かで少し違いがある。

    ワーキング・トライについては半年の定着率は100%であり、1年のトライでは93%になっている。

「感想」障害者を支援するため、非常にたくさんの組織があり、制度があることが分かった。企業にも障害者支援を求めていることも
   
     分かったが、役所が企画ばかりするのではなく、もっと役所自体が中心になり、雇用を創出したり、障害者を直接支援すること

     も重要ではないかと思った。現実に雇用支援ワーカーとして活躍している下園さんから説明を受けたのは良かったと思う。