運動不足による体の変化と運動      明治学院大学 森田教授

   ・現代の健康阻害としては、ストレスの増加、運動不足、栄養問題がある。労働の機械化や交通手段の発達、家電の発達により、便利になった

    ことから、運動不足が起こり易い。身体にある程度の刺激を与えることによって、心臓や骨などを活性化する必要がある。運動するとストレス

    が解消できるが、運動不足が長期的に続くと精神疲労などが出てくる。筋力低下により、運動機能障害が出てくる。栄養の取り過ぎで肥満に

    なる。そのため、運動的刺激が重要になってくる。特に、肥満が問題になってくる。肥満の定義は、全身の脂肪組織に脂肪が過剰に蓄積して

    いる状態である。除脂肪体重が重い過体重は肥満ではない。しかし、体脂肪は必要である。体脂肪は体温を保ったり、内臓を正しい位置に

    保つように調整するためにも必要である。

   ・摂取エネルギーが消費エネルギーより多く、エネルギーを過剰に摂っていると体重とし貯まってくる。長期にわたると皮下脂肪や内臓脂肪

    として貯まってくる。内臓脂肪が多くなると血糖を取り込むためのインシュリンの効果が低下され、高血圧となってくる。

   ・肥満の判定は体重(kg)と身長(m)で計算できBMIという数字で行っている。BMI18.525が普通である。家庭の体脂肪計ではインピー

    ダンス法で測定している。男性は20%以上、女性は30%以上で肥満としている。人によってこの数字は変動するので、体重が増えてきた

    場合は増えてきた分が過剰になっている場合がある。数値は参考として、大きく増えた場合は、医師と相談して、食生活を改善するのか、

    生活習慣を改善するか判断して貰う必要がある。

   ・各身体活動レベルを見ていき、低い、普通、高いと分類する。生活の部分が座位で、静的な活動が中心の場合は低い、移動や立居の

    多い仕事への従事者やスポーツなど活発な運動習慣を持っている場合は高いとする。一日トータルでどれだけエネルギーを使っているか

    算出する。成人の推定エネルギー=基礎代謝量×身体活動レベル である。これを基に食事を考えていく。まず、食事のバランスを、ガイド

    を
使って崩さないようにする。水分については、尿で1.5L、不感蒸泄で0.9L、便で0.1Lの合計2.5Lが出ていく。運動した場合は、始める前と

    後で
体重を測定し、その差が水分が出ていったことになる。水分が不足すると流動性が悪くなるので、一日のバランスを取るようにして欲しい。

    厚生労働省から食事摂取基準の目安が出ているので参考にして欲しい。摂取と消費のバランスが上手く回るようになる。太らない生活習慣

    としては朝食をしっかり食べ、昼食はバランスを取り、間食は控えることである。夕食は寝る3時間前には済むようにする。一日の食事では、

    朝25%、お昼50%、夜25%を摂るのが良い。食料は買い置きしない方が良い。アルコールを飲むは、アルコール自体にカロリーがあるので、

    食べ過ぎに注意する必要がある。糖分は控えて、適当な運動をすると良い。

   ・平成8年までは成人病と言っていたが、それ以降は生活習慣病と言うようになった。生活習慣と関係の強い、心臓病や脳疾患、動脈硬化などを

    いうようになった。メタボリックシンドロームの定義はインスリン抵抗性・動脈硬化惹起性リポ蛋白異常、血圧高値を個人に合併する心血管病易

    発症状態である。この症状は飽食、運動不足の現代社会で急速に進んできた過栄養を基盤としたマルチプルリスクファクター症候群である。

    死の四重奏として、高血圧、脳室異常症、糖尿病、内臓型肥満症で指導する必要が出てきた。内臓脂肪の蓄積が原因になると考え、腹囲が

    男性
85cm、女性90cm以上をメタボリックシンドロームを判断する。心臓病は虚血性心疾患があり、動脈硬化により生じる。短い発作は狭心症

    で、長い間
血管が詰まった場合は心筋梗塞と言う。心臓病になり易いのは、高血圧や脂質異常の人が多く、運動不足やイライラする人が多い。

   ・体重が増えた場合は、骨などが増えたのか、内臓脂肪が増えたのか考えて欲しい。数値は個人個人で違ってくるので、身体が活動し易いと思う

    ところが目安と考えて欲しい。教材にある心臓病チェックで判定した場合は、問題点を順次改善して欲しい。

    脂質異常を判断するのにコレストロールがあり、総コレストロールは120220mg/dlHDLコレストロールは4082mg/dlLDLコレストロールは

    140mg/dl以下が正常である。コレストロールが不足すると細胞が崩れやすくなったり、血管がもろくなる。コレストロールと運動の関係について

    長距離運動する人はHDL72.9重量挙げは49.4一般が44.9と大きく違っている。HDLは余分なものを運んでいるものである。APoA1は長距離

    運動の人は148.9重量挙げ138.1一般の人は128.8と低くなっている。短時間の運動はコレストロールには効果がなく、30分以上歩くことが

    大事である。生活習慣は健康診断を受けることで、4大危険因子があれば治療していく必要がある。リンゴやバナナ、豆などを摂り、カルシュム

    も摂って骨の弱くなるのを防ぐ。予防には、有酸素運動が重要であり、ウオーキングやジョギングをしていく。運動強度はトレーニング条件や効果

    を期待する上で重要であり、適度な運動は運動強度設定方法で算出する心拍数を目安に運動する。ただし、血圧の薬を飲んでいる時は医師と

    相談して欲しい。身体の代謝を良くし、無駄な脂肪を蓄積しないためには歩くことが基本となる。成人なら80001万歩を週に3日以上歩く必要が

    ある。歩幅は最初は身長の40%の普通からはじめ、身長の45%とやや速く歩き、その後、身長の50%の歩幅で速く歩くようにすると良い。

    歩く時は、顎を引き、背筋と腰を伸ばして歩くのが正しい歩き方である。また、骨格筋を刺激する運動もするようにして欲しい。しかし、転倒による

    打撲やねんざ、骨折には注意が必要である。

   ・良く歩くことで、適度な運動量を確保し、心地良く太陽を浴び、姿勢良く身体の安定性と脚の筋力を保ち、生活習慣病のリスクを減らし、より健康

    な人生を歩むようにして欲しい。また、歩くことで、人との出会いが多くなると思う。

  「感想」 肥満の話は非常に興味があった。結局のところ、毎日歩くようにしたり、骨格筋を刺激する運動をすることが大事だと思った。


        食事は朝25%、昼50%、夜25%が良いと言われたが、私の食事を考えると夕食が多い感じがする。