高齢者の実像と高齢者福祉                             

1.高齢者の実像

   ・高齢者という時、個別に捉える時と平均で捉える時がある。昔は定年は55歳だった。今は60歳から65歳にしようとしている。定年になり60歳から

    延長して嘱託で勤務することになると、企画をやっていた管理者が60歳になった途端、受付になることがでてきた。

   ・高齢者として自覚するのはいつなのか。年齢により区分する方法がある。社会的には60歳〜65歳から様々な社会福祉が受けられるようになる。
  
    色々な年齢の人に聞くと、自分の年齢より
5歳以上年齢が高い人を高齢者と言うことが多い。昔は女性の方が定年が早いのが普通だった。

    国連では高齢者を65歳からと考えている。しかし、途上国では55歳とか60歳と若く考えている国もある。日本も年金の財政が苦しくなったので、

    年金の支払い開始時期を60歳から65歳に変えた。支払い開始時期を75歳にするともっと年金の財政は楽になるが、国民が納得しない。

   ・高齢者については個人差が大きくなった。制度等を考えると平均で括らないといけないが、個人の状況とは大きく違っている。


2.高齢者に関する基礎知識

  ・日本は内戦もなく、疫病もない中、人口が減っている世界で初めての国である。日本も当初は貧困による堕胎を認めたが、その後も減っている。

   日本の人口が増えた方が良かったのかどうかはからないが、これから人口を増やそうとしても難しいと思う。日本では子育てが難しい状況である。

   その理由の一つは男性の子育てへの参加のなさである。

  ・日本では65歳以上が3960万人であるが、今後は75歳以上の人が増えていく。75歳以上は後期高齢者に扱っているが、世界でも珍しい制度である。

   今後は、75歳以上の人口増加率が高くなっていく。以前、100歳以上の人を調査した頃は1000人くらいで、ほとんどが寝ていた。今は100歳以上の

   人は5万を超えているが、結構歩いている人が多い。今後は120歳になる。世界では平均寿命が40歳台の国がある。シエラレオネでは内戦が続き、

   平均寿命は46歳である。アフリカでも高齢者問題が起きている。中年の人がエイズで亡くなっているので、高齢者が子供の世話をしているのである。

  ・高齢者になると誰でも五感が衰える。目は眼鏡をかければ良い。耳は補聴器がある。耳からの情報も多いので、出来るだけ補聴器を使って欲しい。

   触覚が衰えるとアザが出来ても理由が分からないことが出てくる。味覚が衰えると味が濃くなる。酢を積極的に使って欲しい。酢は一番感覚が残る。

   高齢になるにしたがって、肺活量は低下する。ローソクの火を離れて吹き消す距離を調べることで肺の衰えが分かるので、息を強く吹くようにする。

  ・認知症になる割合は85歳以上になると4割になり、多くの人が程度には差があるが認知症になる。認知症の人に対し、おためし言葉は言わないで

   欲しい。認知症の人はおためし言葉が出てこないし、自分が認知症であることを意識しているので、一番傷つく。最初に自分の名前を言って、会話

   を楽しむことが認知症の人には大切である。三世代世帯は減少しているが、反対に五世代世帯が出てきている。特に、北の方に多く出てきている。

  ・介護保険の制度が出来たことに外国人が驚いている。介護保険を作った当初は無料だった。次の年には半額になり、その後全額とるようになった。

   今後、介護保険の保険料は高くなっていくと思うので、今後の扱いを検討する必要があると思う。高齢者は自宅で介護して欲しいと思っているが、

    女性は家族に介護されたくないと思っている。男性は妻の介護を求めている。妻の介護をしている男性が増えており、課題が出てきている。

  ・高齢社会は人口に占める高齢者の割合が高い社会である。若い人を増やせば高齢社会は防げるかと言えば、持続可能な社会を作るには若い人

   を増やすことでは解決できない。どの国も高齢社会になる。高齢社会の問題は扶養の問題である。若い人は教育が終われば、働いて税金を払って

   いるが、高齢者はずっと税金で負担することが続く。昔から社会保障費は考えられていて、防衛費を減らして社会保障費を増やせということもあった。

   戦争があると社会保障が進むことがあった。今後は防衛費と社会保障費のトータルで考える必要が出てきた。

3.高齢者を理解する

   ・個人差が大きいことを考えていく必要がある。経済状況や身体機能状況、精神機能状況、家族状況など色々と環境が違っているので、平均で語る

   のは難しい。生まれた時が最も個人差が少ない。成長するに連れて個人差が大きくなるが、その後の環境により大きく変わってくる。個人に対応した

   社会保障を考えないといけないが、そこが難しい。デイサービスも今は5時が過ぎると終わるということになっているが、サービスする時間を融通する

   必要がある場合がある。これは子供の保育と同じである。身体的な問題については、20歳をピークに低下していくが、衰えを遅らせることは出来る。

   更に、自助具や補助具を使うことで、カバーすることが出来ることが多くなった。

  ・問題は精神的な機能である。気分を自分でコントロールすることが必要であるが、年を取ると悲しいことが多い。孤独なることが増えてくるが、問題

   は孤立することである。孤立は、経済的な問題の場合もあるが、周囲との関わりを自分で断ち切ることである。孤立感が増えるが、活動的にすると

   元気が出てくる。話をすることが大切である。一人で考えていると更におかしくなる。声を上げて、早期に病院にいき治療するのも大切である。

   60歳前後の高齢者はこわい。自殺につながる場合がある。年下の友達をつくることが大事である。若い人と話をすることで精神的に良くすることだ。

  ・認知症をこわがらないで欲しい。認知症になる率は高い。認知症の人が外にるのは理由がある。認知症の人の行先は周りの人に分からないこと

   も多い。  それでもまわりが受け入れて上げることが大事である。大事にならないようにバランスをとっていくことである。

  ・家族が難しくなっている。家族が高齢者の面倒を見ると言ってすべての財産をとることも増えている。高齢者には住宅事情によっても大きく変わる。

   高層住宅に入った人も自分の部屋が分からなくなり、帰れなかったことでがり、部屋を出なくなった例がある。高齢者は2階より一階の方が良い。

  ・マスコミによる高齢者像の一般化に、かなり悪い影響を持っていると考えている。海外旅行に何度も行っている高齢者を取り上げたり、生活保護も

   受けられない高齢者が取り上げている。しかし、ほとんどの高齢者がその中間にいるのが実態である。バランスを取ったマスコミ像が必要である。

  ・望ましい高齢者像は元気で、経済的に自立し、地域社会で活躍する高齢者であり。国も推奨しようとしている。

   高齢者には生活保護を受けている人が多いが、年金を充実していくと生活保護者は減る。しかし、年金を充実することは国がやってくれない。

   経済的な問題は自分で頑張るしかない。高齢者が一番いけないのは孤立である。孤独は周りとのことであるが、孤立は自分で決めることである。

   地域とのつながりを守っていくことが大事である。

「一言」高齢者というのは、自分の気持ちのあり方で大きく変わるのだと思った。世の中で高齢者という言葉を出来る限り使わない方が良いと思う。

     昔は定年が55歳であったが、その頃は55歳で老人という人が多かったが、今では65歳でも元気な人が多い感じがする。先生の言われる

     ように個人差が大きいならば、高齢者と言わないで済むようにすることも大事だと思った。